
人跡未踏と化した山中に延々と続く雪の荒野。
吹雪の二日間に耐え、単独行最後の食料も残り
わずか。春の天候は、めまぐるしい。半日ほど
の晴天を狙って登頂の賭けに打って出た。
明日はまた悪天候の予報だ。
森林限界をすでに越え、山頂直下に踊り出た。
正午前、20年ぶりの頂きが、突然眼前に!
福島県桧枝岐村を後にしたのが三日前のことだ。
今迄の苦難、不安、喜びが凝縮された瞬間である。
『うわ!・・・すげえ!』
雪煙を上げるそれは、まるで白い魔物に見えた。
ああ、燧ケ岳の頂上! 叫び狂うかのような烈風の中に、その頂きが聳えている。
すさまじい突風が襲ってくる。一瞬よろめくほどだ。バタバタバタ、バタバタバタ。
ウィンドヤッケの風防を激しく叩く風の音に翻弄される。
双耳峰の西峰、柴安嵓(しばやすぐら)北面の爆裂壁。
その威容に、しばし言葉を失うばかりだ。
山頂は、目前である。だが、今日中に下山しなければならない。
ふもとの村まで復路20キロの雪道が待っていた・・・
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山の日記 | 旅行/地域
Posted at
2006/04/15 22:40:19