<純正スピーカーは侮れない>
最近の純正スピーカーの音が意外に良い事に気づかれた方は少なくないと思います。純正ドアスピーカーの場合、スピーカー自体を取り出してみますと、ご覧のような枠一体式で必要最小限のローコスト部材(超小型マグネット、他各最低限素材のコーン紙、枠部材)で構成されていて非常に軽量なのにはびっくりしてしまいます。それにもかかわらず結構な音(特に低音)が出るのは内装パネルほか各部品も含めてすべて装着した状態で初めてうまく全体がバランスするように合理的に設計されていることによるものです。
<しかしその純正品にも限界点が>
ただ、実にうまく構成されてはいるものの、その限られた予算、重量内での産物には自ずと限界点があります。ダイナミックレンジの大きいソースでは音量を上げると(またはちょっと低音をブーストすると)必ず無理が出てきて音割れしたり歪っぽい音になってしまいます。
そのあたりで不満、役不足を感じ始めた時が社外スピーカーへの交換時になります。ただぼんやりとカロッツェリア、アルパインの名前だけで交換しても何の意味も持ちません。
<社外スピーカー交換したが、かえって音が悪くなった?>
純正スピーカーを社外の高価なものに交換しても極端に違いが分からない、むしろ悪くなったように錯覚してしまうことがままあります。その場合たいていは中高音が勝ちすぎ低音が甘くなりスケール感が鈍ってしまった事に起因します。音のスケール感を決める基本は低音にありますが、つまりその低音がスピーカー交換でうまく引き出せていない(取り付けが甘い)ことによります。もちろん取り付け直後では高級スピーカー特有のエージング(鳴らしこみ)不足によるところも大きいのですが。
単にユニット交換しただけではそうと聞かされずに聞き比べるとおそらく純正の方が心地よく感じるでしょう。
<その取り付けの甘さ、原因①>
ならば、ということで大がかりなデッドニングを考えることになろうかと思われるが、ここでちょっと待っていただきたい。その前にチェックしたいのが内装ドア内張り面⇔スピーカー前面がとうまくフィットしているかどうか、だ。
純正スピーカーでそれなりに低音が出る理由の一つに、ドア内張りとスピーカー前面がぴったりフィットするよう構成されていて、ドア内張りそのものをスピーカー前面パネルとしてうまく活用していることにある。ドア鉄板+ドア内装内張りの2点で考えられているのだ。
まずはこの点(内装ドア内張り面とうまくスピーカー前面がフィットしているかどうか)をしっかりチェック。
隙間があるようなら厚めのエプトシーラー等をスピーカー外周にぐるっと貼り付ければ大抵はそれだけでOKだ。これだけでかなり低音が改善されたはずだ。
余力があればついでに内張りの要所(スピーカー穴周辺やビビりやすいところ)にその制振材類を貼っておくと良い。これでさらに見違えるほど低音は改善されたと思う。内装のビビリも出にくくなったと思う。
デッドニングはそれでも不満が残ればそれから考える。何と言ってもデッドニング⇒ドア鉄板穴、隙間をつぶす⇒ドアのメンテナンスは一切できなくなる、その辺もよく考えてからにしたい。
仮にいくらドア鉄板を完全デッドニングしたつもりでもスピーカー前面と内張りの密着が悪いと音が内張りの内外で乱反射してしまい相殺され本来の低音が出ないばかりか内装が共鳴してビビリが発生したりする。
<上記スピーカー前面⇔内張りのアタリチェック方法、対策>
内張りオモテ面のスピーカー網目のところからスポットライトを照射して内貼りを押して見てみるとある程度のアタリ具合は見えるし押した時の感触で状態がつかめるはず。
※非常に残念ながら、スピーカーメーカー供給の高価なボード類が以外にも内装とうまくフィットしないケースが多いのは事実です。
<安価に仕上げる裏ワザ、邪道?>
画像のように純正スピーカーを分解して枠部分だけを生かしてそれにスピーカーを接着剤で固定。内側に制振材を貼れば結構なものが出来上がります。何といっても純正品そのもの利用なのでドア鉄板、内張りとの密着性は図らずとも最良な状態に持って行けます。もちろん費用も接着剤代程度だ。
①純正スピーカーを分解
オモテは白い枠のところをペンチで挟んで引っ張ればはがれます。
次に裏の支持部をカット。
②枠とコードを残してコーン紙を除去。
※この時コードは再利用するのでマグネットの付け根で(コードが最長に残るよう)切る。
裏面の突起をカッターで除去。
③スピーカー部を完全に分離、枠とコネクタ、コードのみ残し、
枠裏面の突起をカッターで平らにする。
④枠オモテ面の突起部分をカッターで平らにする。
既存のカットしたコードにチューブを通して平型端子を付ける。
裏面に制振材を貼り付ける※ここではオトナシートを貼ったがブチルゴム系の方が良いかも
⑤制振材は凸凹部分に合わせてドライバーなどで細部まで貼りつめる。
完成したら、取り付け部分に接着剤を乗せてゆく。
⑥今回は万一の失敗(接着材の過不足や位置ずれ)に備えて、補修可能なように弾性のある接着剤「コニシ速乾GPクリア」を使ったが本来ならもっと強力で速乾性のあるものを選んだ方がよかったかもしれない。
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最後にオモテエッジ外周にエプトシーラーを貼って完成。

※このボンドだと乾くまで丸1日おく必要があるが細かな位置調整、部分補修が可能な分、失敗なく気楽にできる。
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こんな感じで出来上がりました。決して面倒ではありませんが、接着剤が硬化するまでちょっと時間がかかります。それが難点と言えば難点ですが。
元々付いていたスピーカー枠ですから高さ大きさともにぴったりです。
以上、あくまでも個人的な独断と偏見に満ちた邪道での製作になります。いろいろなご意見があろうかと思われますが半素人的作業&意見ですので、その辺どうぞご理解ご了承願います。
今、下記新車のカローラにて活躍中ですが、なかなか快調です(35Hzくらい~順調に出ています、ビビリなし)。
Posted at 2012/08/29 23:06:21 | |
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