
この間、運転免許証の更新に行ってきました。「通常」講習なので、2時間の講義を受けました。その中で、車間距離不保持違反の罰則が厳しくなったのを、初めて知りました。もう既に、2009年の10月から施工されているのですね。
罰則は、「5万円以下の罰金」から、「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」に引き上げられました。素直に考えれば、煽り行為への罰則強化となるのでしょう。煽り行為を、厳しく取り締まって欲しいかと、国民に尋ねれば、ほとんどの人が「Yes」と答えると思います。しかし、ちょっと引っかかるものがあります。
3つあります。ひとつは、現実との乖離です。ふたつめは、車間距離は、警察官による現認で、判断しているのではないかという、疑問です。最後は、罰金刑にするのか、懲役刑にするのかの、その境目はどこになるのだろうかという、部分です。
安全運転をしていれば、関係ない、という考えもありますが、例えば、速度違反をとってみても、空いている高速道路ならば、100kmを超える速度で、クルマが巡航しているのが普通です。空いている湾岸線の追い越し車線を、制限速度の80kmで、走っているクルマを見つけても、私自身は、非難するつもりはないし、意地悪などもしませんが、常識的に考えて、「通常」ではないと言えると思います。
ポール・フレールも、「もっと楽しいクルマの運転」という本で、日本のように、結果として、一般市民に、常に違反行為を起こさせるような、交通規則は、かえって、市民の遵法意識を失わせるので、良くないと、書いていたように思います。
さて、車間距離不保持違反ですが、どのくらい、車間距離を保たないといけないかというと、講師は、だいたい速度を、メートルに直せばよいと説明していました。つまり、100kmの速度ならば、100mは、車間を維持しなければならないということです。
これは、理屈の上では安全でしょうが、余程、空いている高速道路でなければ、現実的にありえない距離です。
もしこれを実施すると、前にどんどん、他のクルマが、割り込んでくるでしょう。そのたびに、車間距離を空けるように、ブレーキを踏んで、速度を落とせば、いずれは、ずっと後ろのほうで、渋滞が始まるでしょう。煽り行為自体は、違法ですが、煽ってくるクルマがいるでしょうし、それによって我が身を危険にさらすことになります。
速度違反や、車間距離違反というのは、常識と、法律がかけ離れていて、一般市民を、いつでも、犯罪者にすることができる、便利な道具といえるかもしれません。また、国や自治体の、良い小遣い稼ぎになるとも言えるでしょう。
さて、どれほど厳しく、取り締まわれているかというと、速度違反での逮捕は、今までも、ありましたが、車間距離保持違反でも、施行に先立って、2009年から、逮捕者が出ているようです(高速道路を、80〜90キロで走行、車間距離は30メートル以下)。
確かに、今は、明らかな煽り行為を、摘発しているだけなのかもしれません。しかし、速度違反の摘発の仕方や、飲酒運転捏造行為などを見ると、のちのち、どうなるかは、推して知るべしです。
実際に、どのくらいの車間距離が適正なのでしょう。警視庁のサイトでは、心理学者の話の引用として、「2秒間隔」が目安と、シレッと、示唆しているだけです。さらに、調べたら、驚くべき記事を見つけました。
------------2009年毎日新聞からの引用------------
その結果、約100メートルの距離内の道路脇数カ所に計器を設置して速度と車間距離を計測し、複数の警察官が違反状況を確認すれば一般道での取り締まりが可能と判断した。
中略
違反内容は「時速46キロで車間距離約8メートル」と「時速54キロで車間距離約7メートル」。乗用車だったため、運転者に反則金6000円、減点1点を科した。
中略
同課は「
車間距離が何メートルだと違反なのかは法令上は明確に定められていないが、速度や天候、路面状況、交通量などから総合的に判断していく」としている。
------------引用終わり------------
凄い話ですね! 現場に居る彼らの胸先三寸で、逮捕、拘留、起訴、有罪に出来ると言っているようなものです。無謬の「神」にでもなったのでしょうか。法律の肝心なところをわざと曖昧にして、現場の役人の判断で自由裁量できるというのは、日本らしいと言えば日本らしい話です。
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クルマに関わる話 | 日記
Posted at
2012/03/07 14:35:14