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イイね!
2013年10月26日

インタークーラーの圧損と重量の比較

秋めいてきましたね、一年で一番ワクワクする季節。ATSUです。

今回はターボ車とは切っても切り離せないインタークーラーの話。

競技をしていて「もう少し早くブーストが掛かればいいのに」と思うことが多々ありました。この「ターボラグ」はブーコンの設定やアクチュエーター、更にはタービンの大きさや羽の形状によってコントロールする事が出来ますが、大きな要因の1つとしてインタークーラーが関係しています。


考察を始める前にまず基本として、ターボの仕組みは最近紹介された以下の動画に良くまとまっています。


英語だとチャージエアクーラーと呼ぶらしい。

なぜタービンで圧縮された空気を冷やす必要があるかというと、wikiによれば

過給機付きエンジンは自然吸気より圧縮比が低くするため効率が下がるが、インタークーラーによる吸気温度低下に比例し圧力が低下する(圧縮空気の密度は変わらない)ため、そのぶん圧縮比を高く設定出来る。

とあります。つまり冷やして空気密度を上げる=単位容積当りの酸素濃度が増えるためパワーを出す事が出来るわけです。


しかしこのインタークーラーを設置するためにはパイピングが長くなってしまい、空気の圧損が生じてレスポンスが悪化します。

これを解決するために上記のwiki内でも登場したフォルクスワーゲンのTSIエンジンではコチラのHP様の「新型TSIエンジンの構造と特徴」という項に載っているように、パイピングを短くしてインタークーラーを小さい物にしています。短く小さいインタークーラーによって冷却効率が落ちた所は水冷式にして補っています。

この様に短く小さいインタークーラーにすればスポーツ走行において重要な低速からの立ち上がりが良い、(レスポンスが良い)吸気環境を構築する事が出来るわけですね。故に純正の小さめのインタークーラーが一番レスポンスが良いわけです。

しかしながら小さめのインタークーラーだと冷却効率が悪く、ジムカーナと言えどすぐに熱ダレしてしまいます。(夏場は特に)
そこで登場するのが社外品。様々なメーカーから色々な種類が出ています。しかしながら上記の理論より社外品の大きなインタークーラーだとレスポンスが悪化するのは必至です。

じゃあ純正より冷えてレスポンスが良い物はあるのか、現在発売されている空冷式インタークーラーについて調べてみました。






まず一般的なインタークーラーの代表例としてトラスト社のスペックLS。
ちなみに現在自分がつけている製品です。





このサイズはタービン交換車やサーキット連続走行、ドリフト走行時には冷却効率が良くて重宝しそうですが、純正タービンでジムカーナをする車にランエボ並の大きなコアはいらないです(笑)
しかもこのコアが重たい・・・。車の一番鼻先についている部品が重いというのは厄介です。それにS15はリアが軽いのでフロントの軽量化が必須です。

なによりサイドターンなどの立ち上がりでブーストが掛からず、モタつくのはコイツの圧損が大きいことが一因として考えられます。






じゃあこの圧損とはそもそも何故発生するのか。


それについてはココのHPの動画を見ると非常に簡単に説明されています。


空気の通り道に障害となる部分が多いと損失が大きくなるわけです。だから純正より大きなインタークーラーにするとレスポンスも悪くなりますし、ブーストを制御しないまま純正と同じ設定で乗るとピークブーストが下がってしまう訳です。

ではこの圧損を防ぐ方法は無いのかと言うと、勿論コアを小さくして抵抗を減らす事も1つですが、コチラのHPでやってらっしゃるような事をすると圧損を減らす事が出来るわけです。
(⇒続編でインタークーラーの圧損はそのままにアクセルレスポンス改善できないか考察してみました。


一見すると当たり前のようなことですが、意外とこの「小さな努力」をされているメーカーさんは少ないようです。
それらの事と、重量を踏まえて各社のインタークーラーを比較してみました。

メーカーとしては

・トラスト
・BLITZ
・HPI
・HKS
・ARC

などが挙げられます。自分のは純正タービンなのでそれぞれ一番小さいサイズのコアを検討しました。


まずHPIとBLITZは先日ドリフトマッスルで優勝した彼に聞いてみたところレスポンスが宜しくないみたいなのです。考えられる理由としては、これらのコアの中は、フィンが2層構造(オフセット構造)を取っており冷却効率は高いのですが圧損が大きいためだと考えられます。
トラストの製品は1層との事ですが、フィーリング的には似たような物と言う話なので一番知名度が高いトラストのスペックLSで詳細を検討。



コアの内部


ドリフト天国より

形状も一般的ですね。
こちらのコアは600×280×76mmと大きめで、重量約6.2kgですが定価も5万400円と手頃です。



また一方で彼曰くARCの物が一番レスポンスが良いということでした。



レスポンスがよい原因は何なのかと調べてみるとHPには


こんな形で上記のHPで紹介されているような形状をしており、トラストと比べると明らかにインナーチューブに空気が流れやすそうです。
コアサイズはGT-Rやランエボと同じサイズで5.9kgと、コレぐらいのサイズの中では確かにレスポンスも軽量化も両立できているので¥165,900円という値段は高いですがクオリティも高いですね。
ただS15にしてはデカイことは間違いないので、いくらこのサイズにしてはレスポンスが良いと言っても純正に比べると・・・な気がします。



そして使っている人が少ないので分からないと言われたHKS。Sタイプのコア。



サイズは600×244×65mmと他のメーカーに比べて圧倒的に小さいです。
インナーフィンの形状はHPに



こんな絵が載っていたのですが、正直これだけだと良くわかりません・・・。ただコア重量は4.5kgという回答でなかなか軽いです。調べてみるとHPIの製品は5kg位でそちらも軽いのですが、上記したようにインナーが2層構造ということで圧損が凄そうです。
このHKSは1層構造のストレート形状の上、価格も¥123,900円というARCに次ぐ高価格ということで小さな努力を期待しても良さそうです。

また小さいと言えど、500psのD1タービン交換車でも装着している車両がいるのでそこまで冷却効率も悪くないんではないかと考えられます。










ということで買って実験してみました(・∀・)





奥が今まで使っていたトラストのスペックLS、手前がHKSのSタイプです。
明らかに小さくなりましたし、軽くなりました。
コアに繋がるパイプの刺さり口も斜めに付いていて効率が良さそうです。

そして一番気になる内部構造ですが



コチラがトラスト。フィンの目が細かく空気が良く冷えそうですが、向こう側が見えないぐらい混み合っていて圧損率が高そうです。






コチラがHKSのSタイプ。
向こう側が透けて見えています。おまけに上記のHPのようにテーパー形状をしており熱交換効率は悪そうですが、圧損は少なそうです。
ためしに両者にコンプレッサーで空気を吹き込んでみましたが明らかに反対側から出てくる空気の圧力に差が出ました。勿論HKSの物の方が勢い良く空気が出てきます。冷却効率については自分のお手手センサーでは感知できませんでした(爆)





装着。トラストより3~4cmステーが長く、前側に出てくるのでレインフォースを切断したり、バンパーを削ったりで大変でした・・・。

でも効果は歴然。レスポンスが全く違います。
スタートダッシュ、サイドターンからの立ち上がりが早くなってしまい運転の仕方まで変える必要性が出てきました(汗)


とまぁ色々社外品を見たり実験したりしてみたのですが、それぞれに一長一短があるので「冷却効率」と「圧損」のバランスをどう取るかで選んでみると良いのかもしれません。

でも大きいインタークーラーにしたとしても上記した小さな努力をすることである程度は圧損率を低くする事ができる訳ですね。
もし現在のインタークーラーの熱容量には満足しているけれどもレスポンスが・・・という方は一回インタークーラーのコアを取り出してテーパー形状にすれば改善されると思われます。
アルミ溶接できないとですが(^^:)

今回は考察と言えるほど深い内容ではありませんが、一昔前のターボ車に乗る上で避けては通れないターボラグ改善の糸口の1つであるのではないでしょうか?
ちなみにインタークーラーの中はブローバイガスで汚れると冷却効率もレスポンスも落ちるので定期的に洗浄することをオススメします。



※10月27日追記


本日HPIの製品の中身を見せて頂く機会があったのでちょっと紹介を。
写真を撮り忘れたので簡易的に描いてみました。



先に使ったこの写真は上のHKSのインタークーラーを黒矢印のように横方向から覗いたものです。これを赤矢印のように上から覗いた時の模式図を以下に示します。




コレがHKS。分かりますかね??
右から熱い空気が入ってきて上の写真の三角形のフィンに入ってストレートに出て行くのを表したもの。



コチラがHPIのHi-specシリーズのフィン構造。SD-specはトラストなどと同じなので注意です。
この様にかまぼこ型の入り口になっていて、中がウェーブ状に空気が通ることで冷却効率をアップさせようと言う物。
また図だとなっていませんが、このかまぼこ型の入り口はHKSより1.5倍ほどの面積があり、一つ一つのフィンの口径を大きくする事で空気の通りを良くし、軽量化しているとの事。
実物を見る限りHKSよりフィン口径が大きいので圧損少ないのかなぁ?と思ったりしましたが、ウェーブ状になると言う事は空気の経路が長くなってしまうと言う事と、上記の動画を見ていただくと分かるように、空気の触れる面積が増えれば増えるほど圧損していくので結局微妙なような気もします。乱気流も発生しそうですし。。。メーカーの人は1000馬力も大丈夫と言うぐらいなのだから相当の冷却効率なのでしょう。(冷却効率と圧損は上記したように、ある程度トレードオフなのでこのコアのレスポンスは??)

ドリフトやられる方には軽いですし、冷却効率は良さそうなので気になる商品なのではないでしょうか?
逆にHKSは経路がストレートで短く、フィン面積も狭いのでレスポンス重視なのかなぁ?

以上、参考になればと思います。

(2018年8月22日 続編として圧損はそのまま(インタークーラーはそのまま)にアクセルレスポンスを改善できないか考察してみました。
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Posted at 2013/10/26 21:59:32

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この記事へのコメント

2013年10月27日 4:37
j実験スバラシイですね♪
コメントへの返答
2013年10月27日 22:25
どうせ買うなら良く調べたほうが良いですよね(^^)b

本日気になる製品を見てきたのでそれについても↑追記しました。
2013年10月27日 7:54
すごいですね(´ε`;)そこまで考えたことないです(^^;
自分は付いてればいいって考えです(笑)
コメントへの返答
2013年10月27日 22:26
実際の所、エンジンをある程度回している状態だと違いなんて分からないと思います(爆)

なのである程度冷却してくれて、ノッキング出なければそれで良いかと(笑)

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