
こんばんは。
先週末はシュツッドガルトまで出かけてきました。
今回の目的はポルシェの工場見学をすること。
当然ですが平日のみの工場稼動なので有休を取る必要がありました。
3月にコンタクトを取り始めたのですが,金曜の工場見学で日程調整をするとなかなか工場側の
調整がつかず,今の時期になってしまいました。
グラーツ~シュツットガルトまでせっかく来るので,ポルシェミュージアムと
メルセデスミュージアムも再度見学しました。
前回(2014年12月)来た時は前の会社の同僚も一緒だったのでゆっくり出来ませんでしたが,
今回は自分のペースでじっくり見学できました。
木曜の仕事後に飛行機でグラーツからシュツッドガルト空港まで移動,電車で中央駅まで移動し
宿泊しました。
金曜日,お目当ての工場見学です。
見る工場はポルシェミュージアムのすぐ横,本社もあるツッフェンハウゼン工場です。
ここはスポーツカー(911シリーズ,カップカーとケイマン,ボクスター)でパナメーラやカイエン,
マカンはライプツィヒの新工場で作られています。
ドイツ語と英語のツアーがあり,自分は英語のツアーに参加。1チーム10人前後,
6~8チームが同時に工場を見学していきます。
私は”918 spyder”というチーム名でした。
もちろん工程をずらしながらお互い重ならないように見学していきます。
時間は約2時間です。
もちろん写真撮影は禁止。
今回私が見れたのは下記の工程です。
・エンジン組み立てライン
・エンジン組み立て⇒完成車組み立てライン搬送用ロジシステム
・インパネSUB ASSYライン
・完成車最終組み立てライン
建物で言うとエンジン工場と完成車組み立てラインの3F,2Fを見た感じです。
911シリーズ,ケイマン,ボクスターの混流生産で、クーペもタルガもカブリオレもラインを
流れてました。
タルガやカブリオレのルーフシステムはラインの横にスタンバイして置かれていました。
ちなみに今月?生産開始のGT3も結構な割合で流れていました。
案内係のおじさんが話していたことの一部を記憶の限りで抜粋するとこんな感じでした。
■ツッフェンハウゼン本社工場の成り立ち
・スタートはボディサプライヤのロイター(後のレカロ)の工場。
ロイターの建物(レンガつくり)は今も倉庫として使われている
・ポルシェ自身は大型プレス機は持たず,サプライヤへ設備投資を行い
ボディパネルを購入している
・ボディ組み立て&塗装工場,エンジン工場と完成車組み立て工場の3棟構成
・ただし3棟は離れているので効率が良いとはいえない
・ボディ組立工場から完成車組み立て工場へのボディ搬送は公道の上に作った
橋の中を通している(これは有名ですね)
・ちなみにCUPカーもラインを流します(工程が大幅に異なるので,その都度必要な工程のみ
ハンドでラインへ投入。私が見たときは工場の片隅でCUPカーの組み立てをやってました)
■労働環境
・完成車組み立てラインは1ラインのみで2シフト制
・ワーカーは1時間ごとに休憩,休憩ごとに組み立ての持ち場を変わる
⇒これはワーカーがモチベーションを維持できるよう,違う作業をして脳を活性化させるため
■各工程の説明
●完成車組み立てライン
・1つの建物で階層を分けて(1F,2F,3F)構成
・ボディ工場から公道上のブリッジを渡って塗装済みのボディを完成車工場の3階に投入
・3Fは艤装部品関連,2Fはシャシー及びパワートレインの組み付け,1Fは最終検査・・・で出荷
●エンジンASSYライン
・最終検査:通常シリーズはcold test (モータリングでフリクションと各部プレッシャーの計測)
で工程保障,GT3系はhot test (いわゆるファイアリングでエンジンチェックして工程保障)
■その他
・911ターボは社内的には”911top”と呼んでいる(全車ターボになってしまったので)
・普通のGT3はGT3 Straße (cupカーと区別するため) と呼んでいる
・2020年に向けたmission-E用の工場を敷地内に新設中(建設中でした)
■ラインを見て感じた私個人の印象
・ラインタクトは日本のOEMと比べるとかなりゆっくり
・各工程ごとに人が多い
・近くの人と会話をする余裕がある
・ペットボトルの水とかを適宜飲みながら作業している
・工程によってはラジオ?音楽?がかかっていて緩急(やるときはやる,
リラックスするときはリラックスする)をつけて仕事してる感じ
自分が知っている日本のOEMのエンジン組み立てライン,完成車組み立てラインとはまるで
雰囲気が異なりました。
設備や工程を紐解くと基本同じだし壁に貼ってある工程標準などの書類も基本同じなのですが,
決定的に工場の雰囲気が異なりました。
ワーカーに悲愴感が漂っていないし工場も殺伐としていない,むしろ笑顔さえあるといった感じです。
特にワーカーが1時間ごとに工程を変わる理由など日系企業ではありえません。
突き詰めた言い方をすると,人を”人”として扱うか否か?の差のように感じました。
これがまたVW本体やSKODAなどの量販車の工場だとまた事情は違うのかもしれませんが,
少なくとも私の知っている日本の量販車OEMとは
まるで雰囲気の異なる世界にカルチャーショックを受けました。
また自分のケイマンはちょうど1年前,2016年の6月生産であり,ちょうど1年前にこのラインを
流れていたと考えるとなかなか感慨深いものがありました。
工場のほかにもポルシェミュージアム,日を分けてメルセデスミュージアムも再び訪れました。
2回目にはなりますが、それぞれじっくり1日楽しめました。
前回と似た写真ですが撮ってきましたので下記にまとめました。
170623 Porsche Museum
170624 Mercedes Benz Museum
自分の車がどういう環境で生産されて手元に届いたのか・・・を知る良い機会となりました。
これが自車の生産に合わせたタイミングで工場を訪れ,まさに組み立てられる様子を見れると
楽しいかもしれませんね。
そんなサービスがあったら顧客の心もグッと捕まえられるし,潜在的なロイヤルカスタマーを
育てられるかもしれません。
日本はそろそろ梅雨明けでしょうか?
気候が変化する時期ですが体調に留意しつつお仕事頑張っていきましょう!