大人への抜け道

昔から｢抜け道｣と呼ばれる道が好きであった。
概ね気の短い関西人(〝いらち"と関西では言います)はよく抜け道を走ると思われる。
私自身も渋滞を尻目に自分だけが知っている道を走りスイスイと進んでいく快感は優越感に浸れてかなりいい気分になれた(笑)｡

一昔前はどうどうと書店に「抜け道マップ｣なるものが販売されていた(購入者である)｡
渋滞を避けるため或いは信号が多いポイントを避けるためなどで知らない道でも脇道に入って行く地元ナンバーの車を追尾し､果敢にチャレンジして痛い目にあうこともある｡単に前方車が帰宅するために走って行って車庫入れを見届けたと言うアホな事もしばしば経験した｡が､｢なるほど･･ここに出てくるんだぁ！｣と新たな抜け道を発見した時などは思わず含み笑いが出るほど嬉しかったもんである｡しかしながら時代は進化して"ナビ"があるので渋滞情報や空いている道を選択してくれてそんな事をする必要が無くなってきているようである｡
フロンティアスピリット溢れるドライバーは減っているのではないだろうか？

｢抜け道｣はハマればスイスイと進んで行き優越感と快感に近いエクスタシーを味わえるのであるが一つ間違えると全くそのエクスタシーは味わえないものである｡むしろフラストレーションが満開になってしまう事がある｡

それは･･･前方に遅い車が走っている時である｡
こんな時はひとり運転しながら絶叫するだけ･･･｢なんでお前がこの道走るんやぁ！｣だの｢なんで知ってるねん！｣だの悪態をついてしまう｡自分自身がよそ者であるにもかかわらずである(笑)｡

今日は埼玉県のとある町へ仕事で行った｡
過去に何度も失敗をしてようやく見つけた最短ルートの抜け道を走った｡特に今日は時間が間に合うかどうかのギリギリと言う状態であった｡案の定前方には信じられないぐらいの低速の地元車が･･･｡

しかしながら今日は何故かイラつかなかった･･･｡

大人になった瞬間ってやつかもしれない･･･｡