今回、小噺です。ゆとり世代だなんて煽り文を使ってしまいましたが、本当に流行りで採用しただけですので、若い世代には申し訳ないと断りをいれておきます。…(笑)イノベーションが無限に湧いてくるのかの話。破壊的創造に繋がるんですからミクロ経済学の話になるんですけど、芸術畑の人間とその類いを話すと、イノベーションは無条件に無限に湧いてくるだそうで、その技術やビジネスモデルには過程がなく、新しい産業の話がきちんと出来ません。それこそ、ミクロとマクロをごっちゃに混ぜてるだけという話なんですが、その根底に、芸術や科学史の歴史という価値観的なワンオフ信奉という物があるという事に気づきました。産業的な価値とは、即ちある程度の大人数による大量生産のための模倣技術です。生産に関わらないワンオフのみで終わる技術なんて、稀少性の解釈を過大評価してるんだかで、産業的な価値と混同して失敗してるんだと思うんですが、産業で重要なのはワンオフのオリジナリティではなく、繰り返し使える模倣技術に雇用がどう繋がるかなんですね。これは技術の否定ではありませんよ、ワンオフの物を作るための技術というのは、狭い芸術の世界だけで通用する話なんです。ワンオフ信奉に対する物を、模倣技術戦略と呼んでみましょうか。その代表例がサムスンだったりします。・サムスンの販売戦略徹底的な低コスト主義でシェアを奪い成長するサムスンの代表的な、戦略は二つに分けられると言えます。その戦略とは・生産拠点の低賃金化・省略規格化かつて、過剰消費という日本のバブルの背景の中で、製造業には、多品種小量生産という豊かさが、これからのジネスモデルなのだとして道が示されました。こまかな市場の需要に合わせてモデルを増やしていくといった類いですね。これは価格販売戦略ではコスト増となり、生産性の維持には有効でしたが、低コスト戦略としては矛盾する道でした。では、多品種多品目がこれからの主流になるのでしょうか、たとえばアップル社の故ジョブズ氏は、多くの商品を一つの携帯端末に納めてしまっています。それがiPhoneですね。市場の最低限のニーズを納めた省略規格化した商品は低コスト化が図れる。実際には需要の先食いがありますから、生産性の低下は小規模な市場ではリスクが支えきれませんが、世界規模に広げてリスク分散するのがサムスン流です。アップル社の戦略と変わらない近頃の主流がここにはあります。省略規格化はワンオフの対極にある考えでしょう?オリジナル一つだけの物を作って世界経済が回るという論理は今の世にはありません。