フロントまわりの異音修理
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
中級 |
作業時間 |
3時間以内 |
1
昨年夏ごろから、どうもフロントアクスル周りから「ゴト」とか「ゴリ」とかの異音が聞かれるようになり、だんだん悪化しておりました。
症状は「ステアリングを切っている時に鳴る」「路面ギャップに片輪だけ乗り上げた時などに鳴る」「エンジンを切った状態でハンドルを左右に動かすと、はっきりゴトゴト鳴る」
今までの経験からすると、こうした時にまず疑うのは図中の赤丸で囲った部分。ゴムブッシュやボールジョイントです。
でも一度下に潜り込んで目視・揺すってみたのですが、そこまで明確なガタはありませんでした。
昨年11月に車検をお願いした工場さんにもこの症状はお伝えしていたのですが、診てもらった結果「足回りからではなさそう」とのこと。
2
※図は左ハンドル用のパワステギヤボックスのため、本体部分は左右逆
工場さんは、
「強いて言えばステアリングタイロッドのギヤボックス側(図では黒いジャバラブーツに隠れている)に小さなガタは感じられるが、ここから異音が発生することはめったにないし、試しに交換して直るかどうかは微妙」
「完治させる意味で電動パワステ丸ごと交換する場合、部品代だけで約62万円」
……ろくじゅうにまんえん!!??
ちなみに工場さんは決して冷たく言い放った訳ではなく(笑)、「ポルシェなんかだとパワステ分解できるショップさんもあるんですが、BMWはどうかなぁ…」と親身に相談に乗ってくれて、件の超高額部品代も申し訳なさそうにご進言頂きました。私が信頼して毎回お願いしているところです。
3
最初は以前にも何度か経験した、スタビライザーとダンパーを繋ぐ「スタビリンクロッド」のジョイント部かとも思ったのですが、音がするときの感触からするとどうもステアリング本体のような気もする。
そんな時に出会ったみんから情報が、しげGODさんの「ステアリングラック不具合修理」のご投稿でした。
修理箇所は「ステアリングヨーク(図中の黄色で囲っている部分、愛車は右ハンドルなので実際には右側)」。
「……これだ!」
海外動画などを見ていても、心当たりのある症状ばかり。
こんな持病があったとは知りませんでした。しかも対策品が出ている?
4
というわけで、部品代もそれほど高額なものではないので、すぐに海外からBMW純正部品と工具を購入。
値段はハッキリとは覚えていませんが、送料も合わせて全部で2万円くらいだったと思います。
5
一番重要なのがこちら、「ステアリングヨーク」または国産車の場合「ステアリングラックベアリング」などと呼ばれている部品です。
ハンドルから伸びてくるステアリングロッドのピニオンギヤに、左右に伸びて車輪を操舵するラックをしっかりと押し付けるための部品。らしい。
これが従来の純正品だと……摩耗するの?理由は分かりませんがどうにかなって(笑)異音が発生するらしいです。
6
ちなみにボンネット開けて覗き込むと、一応修理箇所は見えますが、エンジンベイの最下部にあるため、何とか手は届いたとしても周りの補器類を避けながら作業するのはいかにも大変そう。
そして私は作業中にきっと工具や部品を取り落とすに違いないので、そうなると結局下に潜り込むことになる(笑)。
写真はアンダーカバーをすでに取り外していますが、最近のクルマは空気抵抗を考えてかエンジンベイ下部はかなり厳重に閉じられているので、アンダーカバーの上に落としたものを拾い上げるのは至難の業。
7
というわけで久し振りにジャッキアップして、下から攻めることにします。
エンジンアンダーカバーは8mmと10mmのソケットがあればほぼ全て外せますが、困ったのは黄色の丸で囲ったプラスチックのセルフタッピング(?)。
固着してるしプラ製だからネジ頭すぐなめちゃうし。結局プライヤで頭を引っ掴んで強引に回してすっぽ抜きました。
8
そして下から見るとこんな感じ。
もっと楽かと思ったら、意外に開口部が狭くて、さらに工具の厚みもあるので、オフセットメガネが使えませんでした。
ちょうどサイズの合うエクステンションが無くラチェットレンチも使えなかったので、悲しきかなスパナのみでキコキコやる羽目に……
9
こちらがその工具。左上に半分だけ写っているヨークの蓋を脱着するのに使います。
24mmと書いてあるのですが、なぜか24mmのメガネが入らない。え、インチ工具?いやでも24mmって書いてあるのに。
反対側のスパナを使ったら(ギリギリ)入りました。おかしいな、世界のト〇工具……
ちなみに蓋はネジ部にシーリング材みたいなのを噛んでいるので、その部分が出てくるまでは固いですが、そこからは手で回せます。
10
ついにこのヨークを挿入するわけですが、まずは全身にグリスを塗ったくります。とくにラックとの接触部には溝や穴が埋まるくらいてんこ盛りです。
そして挿入部とこのヨーク、かなり精密なサイズで、できるだけ正確に、真っ直ぐ挿入しないと入りません。
ちなみに、BMW純正グリスは海外からしか買えませんが、以前にEbay経由でUKから輸入を試みたところ、「Royal Mail(イギリスの日本郵便みたいなやつ)から拒否されて発送できませんでした、ゴメン!」というメールが発送元より届きました。
油脂類は危険物扱いとなって運送会社によっては受託しない、あるいは日本の輸入規制品(危険物)に該当することもあるらしいので、そういうことかも知れません。輸入規制に関しては難しくて詳細には調べていませんので、はっきりとしたことは分かりません。ごめんなさい。
11
最後に蓋を閉めておしまいです。
工具は車種別(というかたぶんステアリングギヤボックス別)に販売されており、そこに締付トルクは「一般的に55~75Nm」とか書いてあります。……アバウトだ……。
で、ここはしげGODさんのご投稿を参考に、取外し前の蓋の沈み具合(目視でほぼギヤボックスと同一面上)を確認しておき、同じ高さになるよう締め付けました。
12
そしてすべて終了し、ドキドキの試運転。
その結果、異音もハンドルに感じる小さな違和感も、全て解消です!
BMW本来の滑らかながらかっちりと精密なハンドリングが戻ってきました。
よかった!
最初に希望の光を与えてくださったしげGODさんのご投稿に感謝を!
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