
先日までWOWOWで放映していた「ザ・パシフィック」、このためにWOWOWに入会しました。
(DVDが新作で出たとして、それを借りるより安いので)
これは、あのリアルな「プライベート・ライアン」のスタッフ(監督:スピルバーグ、主演:トムハンクス)が作成した「バンド・オブ・ブラザーズ」、その太平洋戦争版として同じスタッフで作成したドラマです。
これまでは、アメリカ発の太平洋戦線を描いた映画は殆どがステレオタイプの勧善懲悪ばかりしたが、イーストウッドの硫黄島二部作でもう少し深いところまで触れるようになったので、期待してみました。
元々、歴史や戦史には興味があって、良く読んだり見たりしてたのですが、これまではその場その場の史実や、作戦やせいぜい戦術レベルまでしか興味がなかったのが、最近はもっと大きな歴史の流れの方に興味が出て来ています。
その理由として、二つの「911」、NY貿易センタービルとその後の対テロ戦争、及び日本の郵政選挙によって、これまで割と無邪気に自由と平和を愛する民主主義の国アメリカとか、ある程度客観性があると思っていたマスコミとかが、決定的に偶像と言うか刷り込みだったと認識した事があります。
またこれについては項を改めて書きたいと思ってますが、例えば今騒ぎになっている尖閣諸島の件。
今の報道を見ると、あたかも領海侵犯をした挙句の行為のようにみえる印象報道になっていますが、実は
日中漁業協定によって棚上げされている水域の可能性もありますが(
水域外との見解もあり)、少なくともこれまでは今回のような態度を取って来なかったと報道するマスコミはないように思います。
僕はこれ、以前書いた事がありますが、先例を無視して急に騒ぎ出した、天皇陛下の政治利用の件に似ている気がします。
WSJですら、「日中間には1997年に定めた漁業協定があり、尖閣諸島の周辺では、日中の漁船が自由に操業して良いことになっている。そのため、なぜ日本の海保が中国漁船を立入検査する必要があったのか不明だ」と書いているそうです。
あと、西松事件以降、検察も必ずしも正義ではないと解ってきましたが、今回の厚生省事件でようやく明るみになってきましたね(トカゲの尻尾きりに思えますが)。
話が反れましたが、同様に、日本はファシズムで好戦的な国だった、戦争犯罪を沢山してきた、と言う刷り込みがされてきましたが、僕は最近これについても疑問視していて、勿論例えば捕虜の虐待など事実としてあると思いますが、必ずしも日本だけではないだろうと思っていて、その辺りも視点として見るようになっています。
例えば、「硫黄島からの手紙」では投降した日本兵を射殺するシーンがありましたが、「ザ・パシフィック」ではそれ以上に、日本兵を蔑視したり、無抵抗な(鉄血勤皇隊?)少年を射殺したり、死体を弄んだり、金歯を取ったり、と言ったシーンが描かれています。
他にも「捕虜は取らない」と言ったり、捕虜に突っかかったりするシーンもありました。
ただ、エクスキューズとして、日本の傷病兵を助けようとするアメリカの衛生兵諸共手榴弾で自決したり、民間人にまぎれて攻撃する日本兵みたいなシーンもあり、その辺りは自国内の声にも配慮したのかも知れません。
今回、同時に
「バンド・オブ・ブラザーズ」も放映してたので、こちらも久しぶりに同じような視点でも見てみましたが、こちらも同じように投降したドイツ兵を射殺したり、ドイツの民家などから金品を略奪するような場面の描写がありますね。
更に8、9月のWOWOWは戦争映画を多く放映していて、その中で
「裸者と死者」と言う1958年放映の古い映画もやっていました。
子供の頃見た気もしますが、物心ついてからは初めて見ました。
日本兵を演じるのが日本人じゃない(日本語がヘン)、いかにも昔のアメリカ映画ですが(^^;)、そこでは同様に捕虜の日本兵を射殺したり、集団捕虜の日本兵を裸にした上で射殺しようとするシーン(上官に止められます)、日本兵の死体から金歯を取ると話すシーンなどがありました。
実は、アメリカ兵が日本の捕虜を虐殺したり、死体を弄んだりする事自体は、リンドバーグ(「翼よあれがパリの灯だ」で有名ですね)の手記に書いてあったり、マキン奇襲事件などでも知られています。
日本の場合、バターン死の行進とか、泰面鉄道(「戦場にかける橋」で有名)の使役、他にもBC級戦犯(映画「私は貝になりたい」など)で裁かれた事件が多くあり、要は裁かれるか裁かれないかは敗者か勝者かの違いだけです。
さて、もう一つの
「セントアンナの奇跡」、一昨年(2008年)の製作だそうですが、僕は全くのノーチェックでした。
R-15指定なので、ちょっとアダルトな映画なのかと思って(^^ゞ 軽く見始めたんですが、全然違った、色々と考えさせられるストーリーでした。
アメリカの黒人兵部隊「バッファロー・ソルジャー」のイタリアにおけるある事件が、住民やパルチザン、ドイツ兵を巡るストーリーの中で描かれています。
その中で当時、いかに白人からの差別が激しかったかも描かれていますが、この辺り、今の日本人からは想像しにくいところで、当時の対日本戦でのアメリカ人の振る舞いも、このような意識がベースにあったと理解しておいた方が良いと思います。
(この、当時と今の価値観の違いは重要で、今の目線で当時を断罪する事は誤っていると感じます)
この辺り、例えば当時のアメリカで、日系人だけが強制収容された背景にもつながっているように思います。
余談ですが、「バッファロー・ソルジャー」同様に日系人だけで編成された442連隊は欧州戦線に派遣され、もっとも多くの勲章を受けた部隊として知られています。
日本でも、当時、朝鮮の人を馬鹿にする風潮はあったと思いますが、方や洪思翊中将のように、将官まで昇進した人もいて、かなりアメリカとは異なる様相だと思うのですが、実態はどうだったのか、もう少し色々見てみたいと考えています。
台湾の人だと高砂義勇隊が有名です。
さて、長々と書いてきましたが、つまるところ僕が言いたいのは、どこの国にも、アメリカにも日本にもドイツにもイギリスにもイタリアにもソ連にも中国にも南北朝鮮にもどこにでも、勇敢な人、立派な人もいれば、卑怯な奴、口だけの奴、品格のない奴はいる、と言う事です。
(しかも同じような比率で)
Posted at 2010/09/30 01:45:08 | |
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