1万人を越える反原発デモが、マスコミで報じられなかったそうですが(そりゃそうですよね、電力会社は大スポンサーですから)、それで去年の尖閣問題の時のデモ報道で疑問を感じていたのを思い出しました。
Wikipediaのまとめで、当時僕が抱いていた印象が正しかったと改めて感じました。
この当時、嵐のように毎日反日デモが報じられ、混乱した世相がいっそうざわつき、中国って酷い国だと感じられた方は多かったのではないかと思います。
日付 都市 参加人数
10月16日 四川省成都市 約2,000人
陝西省西安市 約7,000人
河南省鄭州市 不明
10月17日 四川省綿陽市 10,000人以上
10月18日 湖北省武漢市 約2,000人
10月23日 四川省徳陽市 約1,000人
10月24日 甘粛省蘭州市 数百人
陝西省宝鶏市 数百人
江蘇省南京市 数百人
10月26日 重慶市 約1,000人
11月14日 湖南省長沙市 約10人
これらの報道を見ていて、僕は違和感を覚えてました。
例えば、23日の徳陽市のデモ、現地に
日本人の記者が取材に行っていて、拘束されたそうですが、北京、上海、香港はともかく、こんな地方都市に特派員がいるのは不自然じゃないかと。
インターネットでデモを呼びかけていたから取材に出かけたのかも知れませんが、そうすると実はかなり稀だったのではないかと思います。
(あちこちで同時多発的に起きていたら、取材に行けない)
徳陽市は人口381 万人(2005年)だそうですから、その地方都市で約1,000人のデモが起きたと言う事は、日本で置き換えれば人口38万人の長野市で約100人のデモが起きたのと同じようなイメージだと思います。
逆に置き換えて考えると、そのデモを中国のメディアが取材に出掛けて報道している感じですね。
ただ、この記事、さすが産経と思わせるのが、これらのデモが起きているのは貧しい地方ばかりなんですが、その理由を「(北京や上海では)反政府デモに転化したら取り返しがつかないから、当局がやらせないのだ」といった訳の解らない結論に導いています。
これは普通、Wikipediaにあるような、「この反日デモの背景には都会との経済格差と学生の就職難があり、表向きでは政府に対抗できないので反日デモに参加しているのではないかと言われている」と言う方が素直な見方だと思いますけどね。
また、17日の
綿陽市(529 万人)のデモについては、
「大半の若者は反日というよりも面白がり、興奮した先頭のデモ隊を追い掛けているようだった」とあります。
実際、僕も色々中国の知人から聞きますが、都市と地方の格差(これは経済だけでなく、戸籍など多くの問題がある)はとても深刻で、内政では様々な歪みがあるようです。
でも、インターネットや携帯は普及していますから、誰も政府発表や御用新聞など信じてなくて、(仮に反日教育を受けているとしても)日本がどう言った国かも良く知っているって事です。
そうじゃないと、買い物にしろ観光にしろ仕事にしろ、あれだけの人は来日しませんからね。
ただ、政治的自由はありませんから(これもみんな不満に思っている)、表向き反日デモだとしても、内心は反政府デモに近いようです。
一方、同じWikipediaのまとめに、日本における反中デモも載っています。
日付 都市 参加人数
10月2日 東京都渋谷区 約2,700人
愛知県名古屋市 約400人
10月3日 沖縄県那覇市 約1,500人
10月16日 東京都港区 約6,000人
沖縄県宜野湾市 約700人
10月22日 大阪府大阪市 約1,000人
10月23日 香川県高松市 約300人
10月31日 愛知県名古屋市 約650人
11月6日 東京都千代田区 約4,500人
11月13日 神奈川県横浜市 約3,500人
11月14日 神奈川県横浜市 約1,600人
11月14日 兵庫県神戸市 約450人
11月20日 大阪府大阪市 約3,300人
12月1日 東京都千代田区 約1,700人
12月18日 東京都渋谷区 約4,000人
中国側は「不明」とかありますから、もちろん正確な比較は出来ないのですが、デモ参加者について、日本はだいたい3万人強、中国は2万5千人くらいとみて良いかと思います。
純粋な参加者数だけでも日本の方が多いですし、人口比を考えれば約10:1、参加動機や野次馬などを考えれば信念が強いのも日本側でしょうから、それらを加味すると、日本における反中傾向者と中国における反日傾向者は、人口率で考えると30:1から50:1くらいになるのかも知れません。
あれだけメディアで騒がれた反日デモよりも、反中デモの方が先に始まって、後に終わっているのも興味深いですね。
で、これだけ実態として明白な違いがあるのにも関わらず、反中デモが報じられなかった事について、
「日本国内における報道寡少問題」としてWikipediaにあります。
でも、こんなのは簡単な話で、単純に平和で穏やかな日常生活を営む多くの国民には、「中国は反日国家」であり、日本はフラットで反中デモなど起きない国、と思っていて欲しい誰か、がいるからだと思います。
これも印象報道の一例です。
あと、最近だと、米海兵隊のNBC特殊部隊CBIRFが「世界最強」だと持て囃された報道がされてましたが、これは自衛隊の中央特殊武器防護隊と同様、汚染地域の偵察能力や除染作業が出来るだけで、その地域で戦闘したり、ましてや福島第一原発のような未だに放射線が出まくってるようなところで、放出を停めるような能力も装備も訓練もないでしょう。
(そんな事は世界中誰も経験してない作業ですし)
おそらく訓練兼ねて経験値を積むために来日したのではないかと推測しているのですが、あたかも救世主であるかのような報道はどうだろうと思います。
実際、もう来日後何日も経ちますが、作業しているのはこれまでと同じ日本人ばかりでしょうし、劇的に状況が改善した訳でもないでしょう?
本当に今の報道ってひどいですねぇ。
Posted at 2011/04/16 01:42:19 | |
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