賢明なる読者の皆々様に於かれましては、既にご存知の方々もいらっしゃるとは存じますが、拙者が今暮らしている直ぐ近くで、馬と自動車が衝突してドライバーの方が亡くなり、馬も死んだという、とんでもはっぷんな事故が起こりました。
衝突した車は弾みで対向車に正面衝突。対向車に乗っていらっしゃった方は大きな怪我はされなかったようで、不幸中の幸いといって良いものなのやら、、、
現場付近の状況を知る者としては、午前三時という深夜に街灯もまばらな堤防道路上に馬が居たとして果たして回避出来たのだろうかと考えて見ました。
ヘッドライトに求められているのはハイビームで100m、ロービームで40m先の交通の障害を発見できる事だそうですが、体重500Kgにもならんとする馬とはいえ、脚は意外と細いものです。それにサラブレッドの栗毛や黒毛に覆われているのですからライトの光は反射しにくい物体。巨大な胴体は人間の胸の高さよりは上に存在している訳で、ヘッドライトの照射パターンからすると胴体その物の照射が始まるのは意外と近距離の上、運転者にしてもこの位の高さとなれば夜間視界の中でも通常はあまり注視している位置では無いと思われます。
早い話が昼間見える大きさの割には夜間は近距離にならないと視認できない物体では無いかと。
いしまこさんからご指摘を受けてなる程と思いましたが対向車が居たのですからロービームにしていた可能性は大ですし、これまたいしまこさんからご指摘頂いた自車と対向車の発する光線の中に物体が呑み込まれて見えなくなる【蒸発現象】が発生したのも十分にあり得ます。
この時間帯ですと、事故現場の普段の車の流れからして50km/hは越えていたとも思います。初めて走った人は別としても、多分60km/h以上は出ていたのではないかと推測可能な道路条件では有ります。秒速16m以上です。
調べてみたところ、60km/h からの停車距離は約32m、停車に要する時間は約3.2秒…勿論これは、急停車が必要と認識してアクションを起こしてからの値です。
普段見慣れない物を発見し、即何かを感じて最大限の急制動を掛けてもかなり厳しい条件、ましてや識別や脅威判断に時間がかかったとしたら(多分殆どの場合はこうなるでしょう。)、衝突は避けられなかった可能性は高いのでは無いか?
更に言えば、馬が対向して走ってきていたなら、、、サラブレッドがレースをする際の【平均速度は60km/h 程】だそうです。
無灯火の対向車が対向してきたら、否、自動車よりも視認しがたい謎の物体が対向してきたら…そう考えると背筋が寒くなる思いです。
なお、最初にも述べましたが、現場となった堤防道路は、決して広くない対向二車線、ガードレールも無くハンドルを路外に切る事は転落を意味します(転落=必死の場所では有りませんが、即座にそれを判断し選択できるのは余程特殊な方に限られると思います。)。
左は転落、右は対向車、停車はギリギリ。相手の先の動きも読み難いでしょうから回避行動の選択も修正も困難だったのでは無いでしょうか。
ましてやいしまこさんからご指摘のあった様に、蒸発現象が起きていたら、下手をすれば衝突まで認識出来なかった可能性も有りますね。
全くの災難としか言いようが無いとも思えます。
事故車の画像です。通常の交通事故車両とはかなり異なった破損状況が見て取れます。重量500Kgと言えば360cc 時代の軽自動車か、大型バイク二台分です。それだけの物体に衝突したにも関わらず、フロント周りだけ見ればエンジンも駆動系も問題無く作動しそうな程度の破損である一方、運転席からルーフにかけての破損は押しつぶされたと言っても過言では無いほどのとても酷い事になっています。
馬自体を支えている脚は500Kg(+騎乗者)を支えて走るにしては弱いというか余裕が無い様です。レース中に骨折する事も勿論、何かの弾みで骨折した場合にせっかく治療しても負荷が大きすぎて競走馬に復帰出来ないどころか治癒せずに看病の甲斐なく命を落とす物もいる位です(復帰無理治癒困難と診断された時点で殺処分される事もかなり有ります。)
馬と衝突した時に、強度の弱い脚からはダメージを余り受けなかったものの、その上に載っている巨大な胴体が殆どエネルギーを失うことなく運転席前方にモロに衝突したのかも知れません。もしかしたら馬も必死に飛び越えようとしたかも知れませんが高さが足らなかったタイミングも悪かったという事かも知れません。
結果として、残念なことに画像からは運転者の頭部周りには殆ど生存可能空間が残らない程の衝撃が有ったろうと考えられる破損の程度が見て取れます。
特殊な車両か六点式ロールバーでも入っていない(もしかすると入っていても)限りルーフ越しの衝撃は防げなかった、仮にルーフが潰れなくてもウインドシールド越しの衝撃も強大だったのでは無いか?
そんな様に思えました。
破損状況からしても対向車と正面衝突した為に頭部を強打したとは考えにくくないでしょうか?
…このあたりは軽自動車の方が亡くなられて登録車の方が大丈夫だったからやはり軽自動車は危険性が高い!という意見に対する私なりの意見を書かせて頂きました。
馬が逃げ出さなければ起きなかった事故。早速管理体制の改善が計られましたが、今年に入ってから四回目の馬の脱走との事、その時点で改善していれば防げた事故だと思うとハインリヒの法則を理解しない軽視する風潮がまだまだ蔓延っている事に胸が痛みます。
罰や保証の問題もややこやしくなりそうな予感もしますが、失われた命受けた衝撃に報いるものとなって欲しいと切に願うものです。
最後に、召された御霊の安らかならん事をお祈り申し上げます。
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2013/10/30 00:20:35