今回は10Aロータリーのローターハウジングについてです。
以前にも10Aロータリーの各タイプについて記事にしました(https://minkara.carview.co.jp/userid/1427441/blog/33915818/)が、今回は現物の写真を使って解説します。
今回もマニアックな内容なので、ご興味のある方はお読みください。
いきなりですが、コスモの10Aロータリーの弱点の一つは、ローターハウジングです。
写真の左端がコスモ用のローターハウジングです。
写真の中央と右端のローターハウジングと比較して、明らかに外観が違うと思いますが、左端のコスモ用はアルミ砂型鋳造品で、中央と右端はアルミダイキャスト品です。
重量はコスモ用が最も軽いです。
100g単位でしか計れない体重計で大雑把な計量をしてみたところ、左端のコスモ用が4.0kgで、中央と右端のダイキャスト品が4.3kgでした。
軽量なのはメリットですが、一方で強度的な問題があり、プラグホール横にクラックが入りやすいという弱点がありました。
写真の右端がコスモ用です。
写真はコスモ用のトロコイド面を拡大した写真です。
コスモ用は、アルミ砂型鋳造品にダイレクトクロームメッキを施しています。
ロータリーエンジンの燃焼室はプラグ付近なので、その爆発圧力でプラグホール付近にクラックが入るそうです。
一方で、こちらの写真はダイキャスト製の方です。
ダイキャスト製法は、アルミの密度が高くなるので全体の強度が増します。
しかも、カーボンスティール製の溶射層がインサートされ、そのトロコイド面にクロームメッキがしてあります。
見るからに強度が高そうです。
私のコスモのエンジンが逝ってしまった時は、ローターハウジングのクラックを心配しました。
私のコスモのエンジントラブルの原因はカーボンアペックスシールが虫食い状態になって、圧縮漏れを起こしたことでした。
ハウジングは無事でした。
しかし、ローターハウジングはいつ割れてもおかしくないパーツで、しかもコスモ用砂型鋳造品の入手は極めて困難。
新品だと1ローター分だけで100万円以上ものプレミア価格がついており、中古品でも程度が良いと50万円以上します。
それ以前に、コスモ用ハウジングは市場にまず出てきません。
コスモのオーナーは、希少なコスモ用ハウジングを所有していたとしても大切に保管していて、どんな高いプレミア価格が付いたとしても売る気はないからです。
コスモ用ハウジングの入手はほぼ不可能なので、ローターハウジングが割れてしまった場合の最後の手段として、非コスモ用のローターハウジングを使うしかありません。
そこで、非コスモ用のハウジングを入手して、いざという時のためにストックしています。
左端がコスモ用ですが、私が持っているブツは使用不能なジャンク品で、しかも1枚しかありません。
写真中央の物がファミリア・ロータリー・クーペ用。
写真右端の物がサバンナ用です。
この3種の相違点は、先に解説したとおり、コスモ用だけアルミ砂型鋳造品で、ファミリア用とサバンナ用はアルミダイキャスト品です。
3種のハウジングの排気ポートの拡大写真です。
左端がコスモ用。中央がファミリア用。右端がサバンナ用です。
ファミリア用とサバンナ用では、排気ポートの形状が明らかに違います。
サバンナ用は、排気音抑制のために、排気ポートをハニカムポート形状とし、ポートタイミングも若干変更されています。
ファミリア用はほぼそのままコスモに使えますが、サバンナ用は所々形状が異なるので、無加工ではコスモには使えそうにありません。
サバンナ用は0866型といって、10Aエンジンの最終進化型なので、トロコイド面の精度は最も高く、高品質なパーツです。
専門家に聞いてみないとわかりませんが、加工すればコスモにも使えるかもしれません。
ということで、今回は10Aロータリーのローターハウジングについてでした。
最後まで読んでくださった方、お付き合いありがとうございました。
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Posted at
2017/01/04 16:58:51