
今さらですが、試乗記を一つ。。。
先日、大学時代の友人と連れ立って富士スピードウェイまでスーパーGTの観戦に行ってきたところですが、その道中、友人が購入した後期型の86に約100キロ程度の長距離試乗をさせてもらったので、そのインプレッションを記載しておきます。
まず、試乗コースは京王線高尾山口駅をスタートして国道20号線で大垂水峠を抜け、そこから旧相模湖町・旧津久井町内を通り、「道志みち」で山中湖方面へ。山中湖畔に出る直前でパノラマ台方面へ向かい、そのまま三国峠を越えて富士スピードウェイに至る片道約70キロのほぼ全道程山道のワインディングコースです。燃費については給油等は行わなかったため、不明であることはご了承ください。
最初に、運転席に座った感触ですが、普段乗っているクルマが軽SUVということを差し引いても低く感じる着座位置、そしてまたぐように乗り込む厚みのあるサイドシルなどはまさにスポーツカーのそれ。シートに座っても調整幅が大きく、大柄な私(身長185cm)でも難なく良いポジションがとれました。大きなタコメーターがセンターに来るインパネのデザイン、ダッシュボード先端からフロントガラスまでの距離感も適度で、視界に入る光景の雰囲気はRX-7やNSXで見慣れた90年~00年代のクルマのそれに非常に近く、悪く言えば古典的ではありますが、最近のクルマの着座位置とダッシュボードからフロントガラスの距離が気に入らない私には非常に好感が持てました。
また、インパネ内に装備されているマルチディスプレイには水温、油温が数値で表示されるほか、ラップタイマーや前後左右のGセンサーまで搭載されており、走り屋やサーキットランナーに定番の追加メーターの搭載の必要性がほぼない(しいて言うなら油圧計と吸気計くらい)のも、社長にして現役レーサー「モリゾウ氏」らしい「分かっている」ところだと感じられました。
通常走行でのインプレッションですが、基本的な操作感は普通のクルマと同じです。車幅感覚もタイヤハウス上でボンネットが盛り上がっているのでとても分かりやすく、ともすれば横幅がFD型のRX-7(1730mm)よりも広い(1750mm)ことを忘れてしまうほど。他方で、車両先端が低く落ちているため、フロントエンドが慣れるまでつかみづらいのと、バックの際の後方視界は大きなCピラーがボディ後端まで伸びているせいでRX-7よりも死角が多い(RX-7の場合は曲面ガラス1枚もののハッチバックだったので、意外と見えた。)と感じたのは注意が必要な点です(曲面ガラスでないノッチバックなので、シルビア系で慣れている人は違和感がないのかもしれませんが)。
マフラーはTRD製のものに変わっていましたが、通常の速度域では室内から意識するような音量にはなっておらず、とても静かなものでした(高回転まで回すとそれなりの音はしていましたが・・・)。
乗り心地については、足回りがTEIN製の車高調整式サスに換えられていたこともあって、ノーマルでの乗り心地は不明ですが、以前のRX-7と似たような「適度に硬いアシ」という印象でした(普通の人からしたら恐らく「嫌」な部類だと思いますが・・・)。
スポーツ走行の観点からは、まず、エンジンの吹け上りはNAらしいどこからでも踏んだだけ加速する素直な特性。かつてのVTECのようなバルブタイミングの切り替わりで劇的に加速するような感じはありませんが、これはこれで非常に扱いやすい特性だと思いました。トルクの出方も低回転からしっかり出ていて(この辺はロータリーターボは絶望的)、街乗りもしやすいと思います。ただ、絶対的なパワー感や加速感は以前のRX-7の方があって、その辺は少し物足りなく思わないでもないところです。
また、電子制御スロットルの影響か、普段乗っている軽SUVほどではないものの、発進時などにアクセルを踏み込んだ時に若干の反応遅れを感じるところもあり、その辺はもう少し調整の余地があるのではないかと感じられました。
ハンドリングはFRらしい素直なもの。ハンドルを切ったら切っただけスッとノーズが向きを変える感じです。この辺は低重心のスバル製ボクサーエンジンの恩恵もあるのではないでしょうか。RX-7と比較しても「曲がらない」という印象は受けませんでした。ただ、足回りのセッティングが煮詰まっていないのか、コーナー入り口では素直なものの、出口に向かっていくところでだんだんとアンダーステア気味になってきて、ハンドルを切り足すという操作をしないとならなくなっていたのは気になるところです。操作的にフロントにしっかり荷重を残さないとならないという特性なのか、はたまた、リアのトラクションの掛かりが良すぎてフロントのヨーモーメントが負けてしまうのか、原因は不明ですが、この辺は改善の余地がありそうです。
総じて言うと、この86というクルマは90年代スポーツの現代への再来といった雰囲気で、クルマのパッケージ全体がかつてのスポーツカーの美点を受け継ぎつつ、動力性能的にも突出せずに手のひらに収まる感じで実によくできているなという感じです。初心者から上級者までそれぞれの付き合い方で楽しめるという意味ではまさにトヨタが言う通り「AE86」をうまく体現しているといえると思います。街中でよく見るのも素直に頷けるところです。こういうクルマを待っていた人は多いと思います。
あとは、これに付けられている300万円~というプライスをどう考えるか、ですね。今の私にはちょっと手が出ないですが。。。(汗)
以上、参考にもならないインプレッションでした。
Posted at 2017/08/18 12:53:24 | |
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