昔の話（タクシー運転手）

小学校低学年の頃国語か何かの授業でタクシー運転手の松井さんという人が出てくる童話があったのをフと思い出したのですが、改めて検索するとあまんきみこという作家の有名な童話だったのですね。モデル車はパブリカでしょうか、時代を感じます。

この授業後に将来タクシー運転手になりたいと言い出した同級生が増えたように覚えていますが、小さい頃のこういう記憶が数十年後の人生に影響することはたまにあるようです。

２８歳の時 応募していた青年海外協力隊に受かったのでサッサと勤めていたディーラーを辞めたのですが、出発前になって現地で大統領選挙が始まり、期間中は治安が悪く危険なので 選挙が終わって政情が安定するまで派遣延期するから 半年くらい仕事辞めるのを待って下さいと言われたのですが、すでにディーラーは辞めてしまった後なので 何かバイトでもしようと思ったのですが、どうせやるなら車がらみのバイトをしようと思って折り込み広告に掲載されていたタクシー運転手のバイトをやりました。

当時は規制緩和前だったので今ほど過剰にタクシーがある時代でもなく、まじめに乗務していれば1日当たり6-8万円の売り上げで週2～3日勤務出来ました。
運転手にはその半分近くが入るので、少々キツイですがバイトにしては割のいい仕事でした。
終電後の深夜が一番の稼ぎ時ですが、心配していた酔っ払いのお客様への対応も ディーラーのクレーム対応で鍛えたほめ殺し戦法で難なく切り抜けられることが分かりました。
多少のトラブルはありましたが、お客様対応を心得れば 少し変わったお客様でも色々と応用が利くものだなと思いました。

半年乗務の間にインパクトのあったお客様Best３

３位：ドリアン助川
「叫ぶ詩人の会」で当時ブレイクしていたドリアン助川さんを渋谷からお乗せしました。当時珍しかった金髪が目立ちましたが、お疲れの様子で乗車するなりすぐ熟睡されました。

当時はラジオで人生相談などもされていましたが、後日自分のグループのメンバーが覚醒剤で捕まって、実は他人の人生相談なんか受けてる場合じゃなかったようです。


２位：モーホーなお客様
中野からお乗せしたお客様で「こんなひどいホモを見た」とかそんな話ばっかりするのでイヤな予感はしたのですが、しばらくの沈黙の後・・・
お客様：「と、ところで う、運転手さん、5000円チップ出すからこの後いかがですか？」
コル注：「あ～申し訳ございません、現在そのような対応はしてないんですよ。本当にすみません」
お客様：「そうですか、分かりました。あと この話は誰にもしないで下さいね」

ここでも反射的に出たクレーム対応の習慣が身を助けたようで、目的地で乗車賃をお支払頂き無事降車されました。しかし誰にも話さないで下さいって、そもそもあの人は誰だったのだろう。


１位：イギリスのスパイ
上野からお乗せした 少し忌野清四郎っぽい格好をしたお客様でした。しばらく走った後、
お客様：「私は英国王室から委託されたイギリスのスパイなんだよ。今は日本に来ているが・・・」
コル注：「そうですか！それはすごいですね！そんな方をお乗せするなんて今日はツイています！」
お客様：「今カバンの中に入っているのはプラスチック爆弾で・・・」
コル注：「あぁ、先日テレビで見ましたが、小さくても非常に破壊力があるそうですね！すごいです！」
お客様：「あ、ここを左に曲がってください」
コル注：「はい、かしこまりました。ところで来週のお盆休みはどうされるのですか？」
お客様：「秋田の実家に帰る」

その後お客様は目的地の不忍池ほとりの和菓子屋さんで乗車賃をお支払頂き降車されました。
イギリスのスパイで実家は秋田・・・かなり高度なコントです。
せっかくお客様が振ってくれたのに、何故突っ込みが出来なかったのかと自分を悔やみましたorz