『これでしばらく様子を見て下さい』の危険性

整備屋をしている頃、「ごく稀に発生する」とか「週に１回くらい調子が悪い」なんて再現性の低い症状を訴えて 来店するお客さんが時々居らっしゃいました。

しかし何日も車を預かることが出来なかったり、忙しくてその車ばかりに手を掛けられないような場合は、聞いた症状より推定した部品を交換して『これでしばらく様子を見て下さい』なんて言って、その車から手を切ることがありました。

ただ、走行に直接影響のない部分であれば、推定が外れたとしても修理代を取り損ねるくらいで済むのですが、その後に症状が再現して、出先でエンジンが止まったとか、変速出来なくなった、なんて大ごとになってしまうと、「あの時 車を見せたのに！」と揉める原因になることがあります。

車を生業にしているとは言え 神様ではないですので、症状が再現していない状態で部品を外から見ただけでは、必ずしも原因を突き止められるわけではないですが、だからと言って症状が再現するまで何十時間もその車に付きっきりになれるわけでもありませんので、どの位まで手を掛けたところで『これでしばらく様子を見て下さい』を発動させるかは、悩ましいところでもあると思います。

ただ、ろくに車を診断もしないで安易に部品交換して『しばらく様子を見て下さい』と逃げるのだけは避けるべきとは思いますが、その辺り 今の整備屋さんはどんな感じで対応されているのでしょうか。