コル注のブログ一覧

先日ほたる＆あかねさん宅でレグナムのブレーキエア抜きを手伝って頂いたのですが、その際話に上がった"バルブステムを板金修正したエンジン"のエピソードをご紹介します。

５年ほど前フィリピンのド田舎の学校に青年海外協力隊としてお手伝いに行っていたのですが、教材がないのでスクラップの農耕ディーゼルエンジンを買ってきました。
(日本ではスクラップ品でも、現地では売り物になるのです)

自分でやっちゃえば早いのですがそれじゃ授業にならないので、学生と１ヶ月かけて一進一退の修理で何とかエンジンが掛かるところまでこぎつけました。
しかし、機械式ガバナ(噴射量や噴射時期を機械的に調整する機構)が固着して、エンジンがオーバーレブしてピストンとバルブが衝突してバルブ(緑矢印)が変形してしまいました(変形例)。

「あ～ぁ、もうこのエンジンオシャカだ」と思ったのですが、野次馬の一人が「ハンマーで叩き直せば元通りに直るぞ！！」としつこく言い出しました。
新品バルブへの交換が絶対必要だと思い込んでいた私は、シリンダーヘッドを外して「そんなにやりたければ どうぞご勝手に」とやらせてみたところ、変形したバルブステムを路上の石の上に置き、ぼろぼろのハンマーで１～２回叩きはじめたじゃありませんか。
その後彼が叩きなおしたバルブをシリンダヘッドに差してみたところ・・・
「は、入った！！(ﾟДﾟ;)」

バルブとシリンダヘッドを組みなおしてエンジンをかけると、何事もなかったようにエンジンが掛かり始めました。考えたらバルブステムとバルブガイドのスキマなんてコンマ０何mmです。
ローテクと思ってナメて掛かっていましたが、フィリピン人恐るべし　(ﾟДﾟ;)ｶﾞｸｶﾞｸ
ちなみにバルブを直した人は車と関係ない木工職人で、私のメンツまるつぶれ(^_^;)

最終的にこのエンジンはピストンの棚落ちが発生して(棚落ち例)どうしようもなくなったので、写真のようにカナノコで切って(手で切ったんですよ！)、手で回して動きがわかるエンジンカットモデルとして再度教壇に立つこととなりました(^-^)o