
今回は、ホンダが1985年に発売した初代レジェンドのカタログを・・・
(使用したカタログの前期のものは1985年の登場時のもの、後期のものは1989年。1988年のマイナーチェンジ後しばらくたったものです。)
みん友さんのクロウスバンバンさんが、話題にされていたので影響されてのアップであります。
初代レジェンドは、元々、提携していたイギリスのローバー(当時はB・Lブリティッシュレイランド社)との本格的な共同開発車であり、その点でも発売前より各国で話題になっていた車です。
自分はそのローバーの兄弟車であるローバー800シリーズのカタログは持っていませんが、ローバーはレジェンドを、ホンダは800シリーズを相互で委託生産するなど、とても関係深い異母兄弟なのであります。
昨年のホンダ車のイベントに来られていた、ローバー827。
レジェンドや後の共同開発車、コンチェルトと並んでいるのは必然なのであります(笑)
レジェンドは大きく前期と後期に分かれ、また2ドアハードトップが87年に追加されたりしていますが、今回は最初期と後期のセダンのカタログを・・・

静かなる走りの余韻。レジェンド誕生。
:ネーミングの由来 LEGEND:「レジェンド」とは英語で”伝説”を意味する言葉です。ホンダのクルマづくりに、そして高級車の歴史に新しい伝説をもたらすクルマであることをめざして、命名しました。
とあります。
当時のCG誌では、「やや気恥ずかしい響きを持つ名前を海外でも押し通すつもりか?」てなことが書かれていましたが、その海外(のアメリカ)では高評価で肝心の日本では超マイナー車となってしまったのは皮肉ですね。

塗装の良さをアピールしたページ。
トップバッターの日産がV6エンジンを市販した1983年から数年を経た
同じ頃(86年)にデビューする同クラスの他社のマツダルーチェ(HC系)や三菱のデボネアVなども、同じく塗装の良さ(4コート・4ベーク、マツダはハイクオリティ塗装と謳う)をアピールしたページがありました。奇しくもこのクルマ達はトヨタや日産に追いつき、追い越す使命が与えられ、ともに新開発のV6エンジンが載っていたわけで偶然にもエンジン以外のアピールにも近似性があった、ということですね。

後期の似たような解説のページ

初期の最上級グレードXi
初期は本当にドイツ車のような素っ気ないムード。
それが、マイナー後は

このとおり(笑)

フロントグリルを立体的にして、目立つように。各部にはメッキをあしらって豪華に見せようとしています。


初期は上からXi、Gi、Ziの3種でしたが、後期ではターボのTi、Ti-エクスクルーシブなどが追加され、Xiは、Xi-エクスクルーシブ、GiはGi-エクスクルーシブとなり、更には前期のZiにプラスして最廉価版のMiが追加されます。



このクラスですと高価な上級グレードがよく売れるだけに、上級版の補完はよくあることですが前期から更に安いバージョンを出すのは珍しいのではないでしょうか?
これは、トヨタや日産と違って法人需要が少なかったホンダの苦肉の策だったのでしょう。


内装も


革シートや本木目を配した豪華なものへと様変わり。(もちろん全機種ではありませんし、オプションのものもありますが)
この内装に関しては、後期の豪華な外装には冷めた目の前期ユーザーも率直に「良い」とおっしゃる方が多かった。

上記のとおり、日産についで国内の量産エンジンとしては2番目のV型6気筒エンジン。
DOHCではなく、1カムで4バルブ化したのもホンダらしいと言えますね。
ローバーの方は、2リッターは4気筒の自社エンジンながら、最上級の「スターリング」はホンダのV6、2.5リッターエンジンを積んでいました。

また後期は、2.5リッター車が2.7リッターに排気量アップ。
そして、後期の目玉の一つである、5ナンバー2リッターの「ウイングターボ」。
これは、タービンへの吸入口の大きさを変えることで、タービンの回転を効率化させるもので、85年にY30後期で登場した、日産の「ジェット・ターボ」。2代目RX-7で登場のマツダ「2ステージターボ」などと機構は違えど考え方、効能は近いものがあるでしょう。
このウイングターボは、自分の最初の就職先である、ホンダク○オ店で店長車(試乗車)として使用されていて、入社式の際には助手席に、その後自分でもステアリングを握る機会がありましたが、
確かにターボ車としては、ラグは少ないと思いましたが、それでも一瞬の間を置いて急激に加速するさまはターボ以外の何物でもないwww
そして、足回りやボディ剛性のせいもあるのでしょうが、とにかく乱暴で粗野な乗り味であったと思います。
個人的にはそんなクルマは好きですが、「高級車に乗ろう」と思ったユーザーさんには、なんとも尖った走りで疲れてしまったのでは?と想像します(笑)

そして、足回りはレジェンドに先行して発売されたCA系アコード/ビガーで採用された、4輪ダブルウイッシュボーン・・・ではなくフロントはダブルウイッシュボーン、リアはストラット式となります。
ここも恐らくはローバー絡みで自由にならなかったのでしょう。

しかし、後期では後輪側もダブルウイッシュボーンへと変更されます。
4輪ダブルウイッシュボーンへは、2ドアハードトップのデビューで既になされていましたが、ローバーとの関係性がクリアになったのか、4ドアも採用されることに。

前期。

後期。

後期からは、内外装のリニューアルに加え、「安全性」を売りの一つとして訴求されるようになります。
国内でどうしても上向かない販売対策として、「他にない強力な売り」の一つとしたかったのでしょう。
その思惑はホンダが思っていたほどではなかったはずですが、

エアバッグなどのユーザーの印象に残りやすい装備などは、少しずつ認知され次期モデルの「スーパーレジェンド」では、1番の売りが「安全装備」であったほど。
「TCS」や「ALB」(現在のABS)なども、ホンダが国内では比較的早く採用(4輪ALB=ABSはホンダが最初。トラクションコントロールは、8代目クラウンの方が少し登場が早かったでしょうか)していて、「当社の行く道はコレだ!」と確信したのかも。



初期に比べると、顧客層のターゲットも変わったようですし、クルマ自体の成り立ちもマイナーチェンジ後はかなり変わってしまったように思います。
トヨタや日産とは違うクルマを、というホンダの主張はある程度成功したと思いますが、耐久性や骨格の強靭さ、といった車にとって重要な要素もまたトヨタ、日産とは差がついてしまったのは皮肉ではありますが、ホンダのさらなるステップアップのきっかけとなった記念碑的クルマ、初代レジェンドは現在のホンダの立場からは、特に振り返るべきことではないクルマなのかもしれません。
しかし、「余裕」で”見下ろした”車作りも良いですが、あの頃の「必死」で”上を目指した車”作りのホンダも見てみたい!!
前期、後期を一緒くたにしたため、紛らわしくわかりづらかったり、混同してしまうような記述、文面となってしまったかもしれませんが、お許し下さい。
登場時の1分CM
昔、ホンダ1社のスポンサー番組「すばらしき仲間」でやっていましたね~。
後期ウイングターボ登場時CM
こちらは同じ後期のCM
ウイングターボのCMとテイストは似ていますが、3ナンバーの2700を強調したCM