
久しぶりのカタログネタ、しかも自分が乗ってる
R129のSL・・・
1番最初にやるべきネタでした(汗)
と言っても、このカタログは日本仕様、メルセデスベンツ日本が92年の3月に発行したもの。
自分の129は、95年の並行車ですから違いは、それなりにあるのですが・・・
(94年、95年、99年、のカタログも持っていますが、全てメルセデスベンツ日本発行の物です。)



92年のカタログということで、グレードは当初からの
「500SL」のみ(日本では。ドイツ本国には300Eなどと同じSOHCエンジンの300SL、300E-24Vと同じDOHCの300SL-24Vがある。)、前年の91年に右ハンドルが導入された後の物ですね。
R129は、1989年の春にジュネーブショーで発表され、生産は6月から、日本では早くも同年の秋に発売されました。
が、
世は好景気まっただ中!
日本では、初期に注文が入ったものについては、早ければ89年以内の納車も可能ということでしたが、あっという間に注文過多となり1~2年待ちとなる事態に。
しかし、当時1380万円もする2人乗りのオープンカーに注文が殺到、納車待ちが発生ってどのみち当方には縁のないこととはいえ、
なんてスゴイ時代だったのでしょうか(驚)
もっとも、日本はまだマシで、
ドイツ本国では発表直後で既に6年(!!)待ち、
1番のお得意先のアメリカでも同じく発表直後で2年待ちだったとのこと。
疑問に思いますことは、登場直後とはいっても6年後にはマイナーチェンジされ“旧型”になっているだろうに、
まさか“新型”を横目に旧型が納車されるのだろうか?とwww
R129に限らず、あの時代のメルセデスは、特に本国では納車待ちは当たり前、W201やW124のような量販車でも数年待ちが普通だったようですが、メーカーは
「ウチのクルマは良いから、顧客は待ってくれる 」と、
凄い自信というか不遜wな態度で意に介していなかったところが、また驚き。
現在では、
そんな殿様商売で商いが出来たという事実を、メルセデス自身を含む世界中の自動車メーカーが、
羨ましく思うのではないでしょうか。
閑話休題・・・
R129は、その“R”=Roadstarが示すように、オープンカーなのですが、メルセデスらしく
オープン=危険
とは言わせない気配りが随所に盛り込まれています。
このページでは、当時、日本車でも普及してきていたSRSエアバッグが紹介されています。

当時のメルセデスらしく特別豪華な感じはありませんが、
W201からW140に至るまで全て共通したイメージ、操作感を持つ運転席。

右ハンドルの助手席から眺めた写真。
日本ではその
多くが本革シート車だったようですので、この
ファブリック生地のシートは珍しい かもしれません。
しかし、この
チェック柄のシート&ドア内張りと木目、似合わない気がしますwww
同時代のW201のスポーツラインのファブリック仕様も、同じような内装だったなあw
ドイツのスポーティなデザインって、
全然スポーティに感じない(爆)
最近のメルセデスは、質感もデザインのセンスも随分と良くなりましたが、この時代までは、とにかく
「ダサかった」www(死語w)
でも、そんなダサいところが、
自分は結構好きなんですよ!www
このページでは
「エレクトリック・インテグラルシート」という、シートベルトとシートが一体となったことを特徴として挙げています。
これは、マグネシウム合金のダイキャストを使用したシートフレームにシートベルトとアンカーを一体化した構造で、ヘッドレストを電動で上下させるとシートベルトのアンカー部もシンクロして上下するという機構。
また、ドライビングポジションの調整に合わせてステアリング位置(チルト&テレスコ)、ドアミラー、バックミラーの向きが自動的にセッティングされ、さらにこのデータ3人分をメモリーできるというハイテクぶり!
これはまさにディアマンテですよ!www
まあ、自分の129には、ドラポジのオートアジャストとメモリー機能は並行車なので付いていないんですが、壊れたら大変そうなので無くてヨシ!(負け惜しみw)
また、ココには書いてありませんが
「呼吸するシート」として有名なココヤシの繊維を内蔵したシートが使われていました。
後のモデルでは天然素材でなく
「電動ファンで呼吸」させているのには驚きましたがw


このSLの肝ともいえるワンタッチのオープントップ。
129の次期型R230からは、リトラクタブルのハードトップとなったために消滅しましたが、R129を含めた以前のSLでは、
「フルオープン」
「ソフトトップ」(幌)
「ハードトップ」の3形態から成り立っていました。
ハードトップを着用すれば、ボディ剛性も高まるでしょうし、振動騒音も抑えられる、エアコンの効きなどにも有効・・・つまりクーペと(ほぼ)変わらないとされるため、
日常的にSLを乗り回す方には必需品ではあるのですが、これを載せてると
気軽にオープンに出来ない、という弱点(?)もあります。
ハードトップ自体は前モデルのR107より8Kg(だったかな)軽量化されたとはいえ34Kgもあり、
一人での脱着は難しいwww
したがって、出先でオープンにしたい場合は、
家にハードトップは置いていくしかありません。
自分のように、極力オープンで走りたい人は、
必然的にソフトトップで走ることになるのですが、この幌自体もしっかりできていて、
個人的には、ほとんどハードトップは家に置き去りwにしています。でも、このハードトップを乗っけた状態の姿が本当に美しく、オープンの爽快感と両立できないのが難点です。
このワンタッチのオープンシステムは(当時としては)よくできており、それまでのオートマチックなシステムでも、Aピラーにあるロックは、手動というものが多かったですがこの129のものは、ロックまで自動で、
本当に指一本だけで開閉ができるという優れものです。
但し、何でも良いことばかり、とは行かず経年変化で幌を上げ下ろしする油圧のシリンダーのシールからオイルが漏れてくると、当然自動では開閉できず、シリンダーのオーバーホールにも大金が飛んでいく、という寸法www
また、メルセデスとしては、あくまで「ロードスター」ということもあって、リアの窓はガラスで無くてビニール製。劣化してくると当然のように割れや破れが生じます。
まあ、
ロールスロイスのコーニッシュやベントレーのコンチネンタルのトップを張り替えるとコーンズでは
200~300万以上は軽く飛んでくらしいので、それに比べたら・・・ね(泣w)

やはりカタログでもハードトップの脱着は2人を推奨してるようですwww
左の小さな写真がトップを開閉する赤いスイッチ部ですね。

これまたR129の「ウリ」である
「オートマチック・ロールバー」
これも当時、驚きの声が多かったですね~
従来は、ゴルフのカブリオレなどのようにロールバーは当然固定ですが、ロードスターやスパイダーと呼称されるような、スタイリッシュなモデルの場合、スタイル上の問題がどうしても出てくる(ゴルフやシテイ、ファミリアなどのカブリオレはロールバー自体がアクセントになっていますから、これはこれでカッコイイのですが)、ということで、通常はソフトトップの格納されているトノカバー(?)の前方に格納されたロールバーが、センサーによって
「ロールオーバーの危険がある」と判断されると、
自動的に0.3秒で起き上がるというシステム。
5トンの荷重に耐えられる頑丈なバー、だそうです。因みに自動で起き上がる条件とは・・・
①リアサスが路面に対し26度以上の傾きを検知したとき
②4Gの加減速度を検知したとき
とのこと。また任意で上げっぱなしにしておくことも可能です。

メルセデスとしては、オープンだから安全性が落ちるのは仕方がない、という言い訳はどうしてもしたくなかったらしくw
「特別強固なプレス形状」「優れたプロテクション効果が得られるよう配慮」「三叉式緩衝機構の採用」「変形に対する抵抗力が3倍のフロントピラー」「セダンと同等のセーフティ・ボディを実現」などなど、自信にあふれたワードが出まくってますw

それまでは、市販車に使うことを好まなかった(?)
メルセデスがDOHC(4バルブ)を搭載、しかも
可変バルタイ機構まで採用。思えばこのモデルくらいから日本車に対しての危機感がハッキリとダイムラーベンツに伝わって、商品に反映されはじめたのかもしれません。
最高出力330馬力。最大トルク47Kg(この後、排ガスや燃費向上のために、若干パワーダウンしますが実質上、大きな違いはなさそうです。また、98年以降はSOHCの3バルブへと変更されます。)
現在では、大したことのない数字ですが、当然ながら日本で使う分には必要以上のパワーです。
一気に軽々と吹け上がるこのエンジンは、
5Lという排気量を感じさせないものです。
また、一定回転時には静かでありながら、加速時のエンジン、エキゾーストからの
サウンドは何度聴いてもシビれます!

足回りは、W201~W124と使用されてきたフロント、ストラット式、リア、マルチリンク式のサスペンション形式を踏襲。
これは、使用条件や運転テクニックによっても評価が分かれるところでしょうが、個人的には、W124に乗っていた時には、このレイアウトのサスペンションが「ベリーグッド」とは思えませんでしたが、現在乗っているR129では、不満は感じていません。
複雑なレイアウトのリンク配置ですので、ちょっとした調整の不備で影響が大きく出てしまうようです。
また
ADS(アダプティブ・ダンピング・サス)や
ASR(アクセレレーション・スキッド・コントロール)などの装備も当然あり、ADSは、いわゆる「可変ダンパー」というヤツで、500SLにはオプション、
後に出てくる600SLには標準装着でしたが、自分のにはついてませんので効能はわかりません。なお、ADSが装着されると、オートレベリング機構も備わるとのことです。
ASRは、メーター内のランプが点灯して作動が知れる、といったもので、大袈裟に作動を強調するような動きはまったくないのは、さすがだと思います。
ブレーキも、昨今の高性能車では当たり前の、レーシングカーのようなスペックではありませんが、フロント4ポッド、リア2ポッドのベンチレーテッドディスクは、ガッチリとした手応え(足応え)を伝えるペダルタッチが気に入っています。
以前に乗っていたW124の320Eは、自分のハードブレーキングに根を上げてw何度かディスクローター交換、または研磨してもらいましたが、すぐにジャダーを発する始末(どんな運転してんだかw)でしたが、さすがにR129ではブレーキを酷使しても一切、そんな症状が出ないのはありがたいです(運転の方を何とかしろ!www).

何故かアメリカ仕様のフロントビュー。
“10数年に及ぶ開発期間、500万キロのテスト走行”
とあり、まだまだ現在のようなタイトなスケジュールでなく、じっくりと開発、熟成ができた、ある意味長閑な時代だったのでしょう。
前モデルのR107は、1971年からこの129にバトンタッチするまでの1989年までの18年に亘って生産され、この129も2001年までの12年も造られたわけで、SLというやや特殊な車種ゆえ、ということもあるでしょうが、これだけ次期モデルの開発期間に時間が与えられるというのは、ユーザーにとっても開発や生産に従事される方々にとっても、メリットは多かったように思います。
もちろん、現在では従来以上の結果を短期間に生み出す環境、技術が整っているのでしょうから、
素人は黙っておくことにしますw
デザイナーは、
メルセデス社内のデザイナー、ブルーノ・サッコ氏が担当。
最近は艶やかなデザインも易々とこなすメルセデスですが、この時代は内装のところでも触れたように、SLと言えども、決して華々しさなどはなく理詰めで、ラテン車が好きな方たちからしたら
「面白くない 」デザインではあるかもしれません。
しかし、一見大味に見えるようなエクステリアの中にも、
細かな機能や配慮が盛り込まれており、
自分は大好きですね~
ブルーノ・サッコ氏が手がけた、W201、W124、W126、W140(とR129)など、20年以上を経た現在、「新しさ」こそ見いだせなくとも、今でも目を瞠ってしまう存在感には、恐れ入るばかり・・・
サッコ氏は、イタリア人でした(現在は帰化してドイツ人だそうです。)から、いかにデザインに制約の多かった(であろう)メルセデスでの仕事といえども
「美」に関して手を抜くはずがナイ!というのが自論でありますw
時を経て、新しくは見えなくとも決して古臭くもならない
「クラシック音楽」のようなデザインとでも言えるでしょう。

↑の続きのページですが、
「SLグリル」の変遷が、写真で語られています。
現行モデルは、6代目となっているSLですが、モダナイズされているとはいえ横桟基調のイメージは変わっておらず、
歴史の重要さを感じます。
やはり、
「顔」は重要ですよね。時代とともに変わる、それはイイ!ですが、
ウケたから継続、コケたから「ヤ~メタ」では、デザインの意味がないと思いますw
あ、車選びもですよ(謎)
「ハードトップスタンド」「テレフォンコンソール」「スキーキャリア」といった、ディーラーオプションや、諸元、装備表が載ったページ。
ハードトップスタンドは、自分も愛用中w
テレフォンコンソールは
携帯電話のデカさに悶絶www
スキーキャリアも、ソフトトップ、ハードトップ両方で使用できます、と記されているものの
SLでスキーとは豪気ですなw
全長は4470ミリ、全幅は1810ミリ、全高はソフトトップ時1305ミリ、ハードトップ時1295ミリ。
ホイールベースは2515ミリ。
当時は、2シーター(リアにオケージョナルなシート付きもあるとはいえ)にしては大きいと思ったものですが、現在のワイドな3ナンバー化がコンパクトクラスにまで発達してしまった状況では、
手ごろなサイズ。
重量も同じく
当時は「重っ」と感じましたが、現在では決してそうもいえない
1840Kg
正規物のカタログとあって、
10モードの数値も記載されていますが、その数値は、
4.8Km/l
もちろん悪い数字ですw
でも、5Lという排気量に1.8トンの重量の4段ATということを考慮すれば、やみくもに悪いとは言えますまいw
また、
カタログ値よりも実燃費が良かったりする のも、欧州車の特徴だったりします。
自分のSLも、街中のみで使用(するようなことは、滅多にありませんが)すれば、カタログ値と大差ありませんが、それでも5Km/lは走りますし、街中~郊外と走れば6K後半~7K前半は堅い。しかも上記のようにあまり上品な走らせ方ではない(汗)ので、もっと大人しく走ればそれなりに良い数値がマークできるかと思います。
ちなみに高速でも、100Km/hほどの一定速で走らせれば9Km/lくらいですから
これは立派と言えましょう。
もちろん
最新の「環境対応車」とは比べられませんがw
とまあ、冒頭にも書きましたように、
本来なら自分の愛車(年式こそ違えど)
のカタログですからもっと早く登場させても良かったのですが、ついつい先延ばししているうちに
4年以上も経ってしまいました(汗)
自分は16年落ちを中古で購入して5年が経とうとしていますが、
このクルマは本当にイイです!
自分がもっとお金持ちならさらに理想的な維持もできるのでしょうが、それでも
20年以上前のクルマが、
現在でも不足ナシに使用できるというのは素晴らしいことだと感じています。
自分のクルマ(と同型車)ということで、
熱くなりすぎ(&褒め過ぎw)て長文となりました(本当はまだまだ書き足りないw)が、
キリがありませんのでここまでで・・・(という量ではないですね、スミマセンw)