プリウスはリコールとなりましたが、正直な所このリコールは少々異常といわざるを得ない。
まず、リコールとは「自動車の構造、装置又は性能が自動車の安全上、公害防止上の規定(道路運送車両の保安基準)に適応しなくなるおそれがある状態、又は適応していない状態で、原因が設計又は製作の過程にある場合に、その旨を国土交通省に届け出て自動車を回収し無料で修理する制度」となっています。
逆に言うと、車両が燃えるか、重大事故が多発して死人でも出ない限り、保安基準に適合していればリコールには出来ないとも言えます。(我ながら極論だとは思いますが・・・苦笑)
今回のケースは特定の条件下で制動距離が伸びるという不具合です。
確かに制動距離に関して保安基準は定められていますが、時速20~30キロ という速度域で中途半端にブレーキを踏んだ時の制動距離に関しては規定はありません。
つまり、「制動距離が伸びる」というだけでは通常リコールとはなりません。
かつて
トヨタ車でABS制御プログラムのバグで制動距離が伸びるというという不具合がありましたが、これもリコールではなく改善対策で処理されております。
「ブレーキは重要保安部品じゃないか!」と仰る方もいるかもしれませんが、そういう問題ではありません。(心情的にはわかりますが)
法律で規定されていないものを法律で罰することはできないんです。
よって、今までの前例から言うと、今回のケースは重くて改善対策、通常ならサービスキャンペーンが妥当であったと思われます。
「でもプリウスによる追突事故が数件発生してるじゃないか!安全性に問題があるんだろ!」と仰る方ももいらっしゃるでしょう。
しかし、先日も書きましたが国土交通省によるリコール内容の公表からすると、「この不具合による事故は無し」とされてしまいました。
昨年7月のプリウスによる追突事故を調査していると今月初めに言っていたにもかかわらず・・・です。
これでは「今まで起きたプリウスによる追突事故と今回のリコールは関係ありません」と国交省がお墨付きを与えてしまったようなもの。
リコール制度によってトヨタに改善を迫るどころか、トヨタを擁護しようとしているかのよう。
これではブレーキの不具合のせいで事故が起きたと主張しているユーザーの方々はたまりませんね。
本来リコールはユーザー保護のためのもののハズなのに、これでは今まで事故に遭った方はもうトヨタに文句が言えなくなります。後は某国のように訴訟でも起こすしかないじゃないですか。
おかしいとは思いませんか?
よって(ここからは私の独断と偏見に満ちた主張ですが)今回のプリウスのリコールは、本来リコールに成り得ないものをリコールにしてしまったという稀有な例であり、さらにリコール制度がメーカー保護のための役割を果たしている事を証明してしまった実例と言わざるを得ません。
更に言えば、マスコミの圧力と某超大国からの圧力に屈した悪しき前例と成りかねない極めて情けないリコールであり、某超大国の内政干渉を許してしまった極めて危険なリコールとも言えます。
ここまで書くと流石に誇大妄想になってしまいますが(^^;
あとですね、私はこの「ABS制御プログラムの不具合」というリコールの内容そのものに疑問を感じています。
先週の会見では「回生ブレーキから油圧ブレーキに切り替わる際のタイムラグ」と常務自らが断言していたのに、ほんの2~3日で「ABS制御プログラムの不具合」に主張が変わってしまったのが、どうにも腑に落ちない。
1月の時点で修正プログラムが出来ていたのだから、その時点で不具合の内容はメーカーが把握していたハズなのに何故こうも簡単に主張が変化するのか?
で、先ほど昨日の記事にいただいたコメントへの返信を書いていて気付いたんですが、高速走行時でのブレーキの抜けも「回生ブレーキから油圧ブレーキへの切替時のタイムラグ」なら説明がつくんですよ。
ご存知の通りプリウスの回生ブレーキは、バッテリーが満充電になると回生放棄をしてそれ以上充電しないような仕組みになっています。
よって、高速走行時にブレーキを踏んだ時にたまたまバッテリーの充電が完了して回生放棄が行われ、油圧ブレーキが不足分の制動を補うのにズレがでれば、「大阪在住の主婦」なる人物が主張するような状況が発生する可能性は十分にあります。
ですがこれでは、不具合の原因は「回生ブレーキと油圧ブレーキの協調制御プログラム」となってしまい、「ABS制御プログラムの不具合」とは違ってきます。
どちらもブレーキ制御に関わるものですが、受ける印象はちょっと違いますよね。
そうなるとトヨタは虚偽のリコールの届出を行った事になるし、国土交通省はそれをチェックすることなく受け入れた事になってしまいます。もしくはわかっててそのまま受理してる?
流石にここまで書くと、自分でも「それはないだろう」とは思いますが・・・(^^;
むしろ先週の会見での主張の方が嘘である可能性も否定できませんし。
日本では死傷事故こそ起きてはいませんが事故は数件起きているのも関わらず、「それは関係ない」と知らん振りしてお手軽にプログラム書換えだけで事を済まそうとしている・・・ようにしか私には見えないんですよねぇ。
いったい誰を守ろうとしてるのやら。
まぁ、どちらにしても今回のリコールはどうにもスッキリしないのです。