十角館の殺人～綾辻 行人

表紙の絵につられて、興味があり、やっと読了。

ただ、ちょっと早や読み。いまいち気に食わず。

なぜか？、筋書きがアガサ・クリスティの「そしてだれもいなくなった」のままだから。

それには、孤島におびき寄せられた群衆が、一人ずつ何者かによって殺されていく、ここはまさにパクリでしょ。

学生の推理小説研究マニアグループの登場人物たちがいきなり昔の探偵の名（あだ名）
ポウ
医学部四回生。口髭をたくわえた大柄な男性。無口だがときどき毒のある台詞を吐く。オルツィとは幼馴染。
カー
法学部三回生。中肉中背だが骨太で猫背な男性。三白眼で、青髭の目立つ顎はしゃくれている。捻くれた性格で、なにかにつけて他のメンバーに噛み付くことが多い。
エラリイ
法学部三回生。色白で背の高い男性。金縁の伊達眼鏡をかけている。会誌『死人島』の現編集長。マジックが趣味。
ヴァン
理学部三回生。中背の痩せた男性。不動産業を営む伯父のつてで角島での合宿を可能にする。
アガサ
薬学部三回生。ソフト・ソバージュの長い髪をした女性。男性的な性格。
オルツィ
文学部二回生。頬にそばかすの目立つ、ショート・ヘアの小柄で太めな女性。引っ込み思案な性格。日本画を描くのが趣味。ポウとは幼馴染。
ルルウ
文学部二回生。銀縁の丸眼鏡をかけた童顔で小柄な男性。会誌『死人島』の次期編集長

で呼び合うのは、楽屋落ちで違和感。
犯行理由は、真犯人の恋人だった女子学生中村千織が、大学のサークルの研究会で開催された新年会の三次会で、急性アルコール中毒から心臓発作を誘発し死んだのは、同席した連中のせいだ、あいつらがよってたかって飲ませたから、というのだが。動機が弱い。これが、レイプされたあげくとかなら、わからんでもないが。

疑心暗鬼になって、仲間の学生が撲殺、薬殺、扼殺されていき、さいごに二人になったとき、片方が相手も疑うことをするのは当然（クリスティの「そしてだれもいなくなった」では、それで相手を撃ち殺して、さいご自殺する・・・だれもいなくなった）なのに、真犯人は島のどこかに隠れている、前の事件で死んだと思われた人間が実は生きていて復讐のために、殺人を犯す、という固定観念にとらわれるものかな。

真犯人だけが島を行き来できて、犯行を犯すという都合よさが弱いなあ。

もうひとつ、学生なのにヘビースモーカーがいっぱい登場するのって、きらいだな。

....以下ネタバレ....


ある無人島に７人の大学生が行きます。彼らは大学のミステリ研究会のメンバーで、それぞれエラリイ・アガサ・カー・オルツィ・ヴァン・ロー・ルルウ、といった有名な推理作家の名前がニックネームとしてついています。

彼らの目的は島にある館。建築家「中村青司」のいう人物の起こした事件のあった青屋敷跡（火災で焼失）と「十角館」と呼ばれる館。彼らはそこで寝泊りをします。そこはその名のとおり、形が十角の建物でした。

それと同時期、元ミステリ研究会の江南の家にある手紙が届きます。その手紙には『お前たちが殺した中村千織は私の娘だった』という謎めいた文章が記され、差出人には「中村青司」の名前が。

中村千織は元ミステリ研究会の一員でしたが、サークルの会合で亡くなってしまっていました。

島では殺人事件が発生し、７人が次々と殺されてしまいます。

また本土では江南がミステリ好きの「島田 潔」と、友人で同じく元ミステリ研究会の「守須」でその手紙の差出人と真実を暴こうとします。

結果として中村千織は中村青司の娘ではなく、中村青司の妻と弟の中村紅次郎の間に生まれた子でした。

そして島では６人全員が殺されてしまいます。そうです、７人行っていたはずなのですが６人＝全員ということになっており全員死んでしまったのです。

そして検視の結果、ひとりが自分以外の全員を殺し、最後は自分も焼身自殺して終わった、と結論づけられました。

しかし、真相は７人目が全員：６人を殺し、生き残っていたのでした。