2014年05月20日
ロービームでもまぶしい場合は?
夜間の信号待ちの際に、ロービームであっても消灯すべきか、車高の低い対向車からパッシングを受けたらロービームを切って車幅灯だけにすべきか、という話題が価格コムのCX-5クチコミや、yahoo知恵袋などに見られます。中には車高の低い車と対面した際にはロービームを切って配慮してやるべきだという意見もありました。夜にライトを切っては何も見えなくなりますし、どうせ交差点での発進時には点灯せざるを得ないのだからかえって目くらましになりますよね。そもそも夜間の信号待ち消灯=違法だと教わっていたのでこれには驚きでした。そこで少し考え直してみることにしました。
まず、路上の信号待ちによる停止は、駐車じゃない限り「停車」と定義されます。
(根拠)道交法 第二条十九 停車 車両等が停止することで駐車以外のものをいう。
次に、停車中の点灯義務が有るか無いかですが、走行中も信号中も、路上にある限り点灯義務ありのようです。
(根拠)道交法 第十節 灯火及び合図(車両等の灯火)第五十二条 車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあつても、同様とする。
これには例外があり、
同条2 車両等が、夜間(前項後段の場合を含む。)、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。
そして、この「灯火を消し」と「灯火の光度を減ずる」「等」は並列なのか、イコールなのかが、誤解を招く文章だと思います。普通に読めば並列で、灯火を消すか、光度を減ずるか、他の何等かをすれば良いのだと思います。ロービームはすれ違い前照灯と言い、走行用前照灯(ハイビーム)の光度をすれ違いのために減弱したものにあたります。したがって、あらかじめロービームになっていたら、それ以上に光度を減ずる必要はなく、ロービームで堂々と走行し、そのまま信号待ちをすれば良いと思われます。
しかし、文の読み方によっては、灯火を消すことにより灯火の光度を減ずるとも読めます。灯火を操作しなければならないという部分も、何か新しいことをその場でしなければいけないとも読めます。それで、さらにロービームを消すという発想が出てくるのだと思います。逆に、消灯減光などの措置は、他の車両などと行き違ったり、車両の直後を進む場合なので、赤信号で停まっている状況は含まれないとも読めます。そうすると停車中にもライトは消せないことになり、これは僕が教わったのと一致します。きっと法律家には法律家なりの文章の読み方があるのでしょうが、私を含めた素人が拡大解釈をしてしまう理由もまたそれなりにあるのです。
追記です。これは停車中にロービームを消灯しても良いと言う根拠になり得るようです。
(道路にある場合の灯火)道路交通法施行令第18条 車両等は、法第52条第1項前段の規定により、夜間、道路を通行するとき(高速自動車国道及び自動車専用道路においては前方200メートル、その他の道路においては前方50メートルまで明りように見える程度に照明が行われているトンネルを通行する場合を除く。)は、次の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定める灯火をつけなければならない。
一 自動車 車両の保安基準に関する規定により設けられる前照灯、車幅灯、尾灯(尾灯が故障している場合においては、これと同等以上の光度を有する赤色の灯火とする。以下この項において同じ。)、番号灯及び室内照明灯(法第27条の乗合自動車に限る。)
(原付などについて中略)
2 自動車(大型自動二輪車、普通自動二輪車及び小型特殊自動車を除く。)は、法第52条第1項前段の規定により、夜間、道路(歩道又は路側帯と車道の区別のある道路においては、車道)の幅員が5.5メートル以上の道路に停車し、又は駐車しているときは、車両の保安基準に関する規定により設けられる非常点滅表示灯又は尾灯をつけなければならない。ただし、車両の保安基準に関する規定に定める基準に適合する駐車灯をつけて停車し、若しくは駐車しているとき、又は高速自動車国道及び自動車専用道路以外の道路において後方50メートルの距離から当該自動車が明りように見える程度に照明が行われている場所に停車し、若しくは駐車しているとき、若しくは高速自動車国道及び自動車専用道路以外の道路において第27条の6第1号に定める夜間用停止表示器材若しくは車両の保安基準に関する規定に定める基準に適合する警告反射板を後方から進行してくる自動車の運転者が見やすい位置に置いて停車し、若しくは駐車しているときは、この限りでない。
《改正》平11政321
(牽引される車について後略)
ただし、これは上記の「灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。」という義務とは無関係で、点灯「しなくても良い」という意味になります。
混乱しやすい上に、道交法には安全運転義務の項目もあります。「第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」
この危害とは、例えば消灯により前が見えないために交通事故が起きる事を指すと思われます。ロービームを消した場合は安全運転義務違反に問われ、消さずにまぶしくて事故が起きたら灯火減光義務違反になるなら、どうしたらよいのでしょう。
実例で考えてみます。我が家の近所の急坂の頂点にある国道交差点で(警察署の近くなのですが)、信号待ちの運転席近くにロービームがどうしても当たる場所があります。周囲の照明は暗いです。ロービームでお互いにまぶしいのですが、どうしたものか悩みます。たまに消す車もいるのですが、いったん消した後で走行と同時に点灯されるのでかえってまぶしいです。だからといって、消灯のまま交差点を通行しようとすれば、対向車の後ろに右折車が隠れていた場合には事故が起きるでしょう。
その時には、別な対向車に配慮しての消灯という申し開きは通らず、検察や相手運転手と裁判で争わなければいけないと思います。そして、その際の論点は「他の車両などの交通を妨げるおそれがある」ときに「安全運転を犠牲にしてでも」「他の車両の交通を妨げない水準まで」灯火を減光しなければならないかどうか、だと考えます。つまり、灯火がロービームで、それでもなお相手にとってはまだまぶしい場合にも、自分が安全運転できないレベルまで減光してはいけない、と思うのです。だから、私の結論は「周囲の照明が非常に明るいところでだけ、ロービームを切ることが出来る」と解釈することにしました。
当地は北海道なので、夜が早く、冬が長く、吹雪も多いです。高速道路にもコストをかけておらず照明が暗かったり、対面通行各1車線で中央ガードレールに載せた反射板が頼り、吹雪でそれが隠れたらもう何も頼るものが無いけどごめんね、という道路が、北海道の高速の半分を占めています。そんなところでヘッドライトを消しては、当然事故になり後悔することでしょう。それで、少しでも灯火を点けて自車の位置を明瞭にしようという意図でロービームのまま消灯しない車が多いのかもしれません。夕暮れ明るいうちからライトをつける車も、デイライトも私は歓迎です。明るすぎる尾灯や、つけ過ぎのフォグライトも迷惑ではありますが、視界不良の時にそれらに救われた経験があるので、運転歴が長くなるにつれ、他車の明るすぎるライトを許容できるようになってきました。ひょっとするとネット上で、ロービームを消して車幅灯で走ることを推奨する人は、都会の人なのかもしれません。道路の照明が充分であれば、ライト無しでも車の姿は見えますものね。
最後に、車検は本で読んだ限りはハイビームだけで行われることがほとんどです。販売時には規定値に設定されているようですが、その後ノーチェックかもしれません。従って、ロービームなのに対向車の運転手がまぶしそうにしている事があれば、こちらの光軸が下がっている可能性を考え、一度点検に持ちこむ必要があると思います。信号待ち中の対向車が特別車高の低いスポーツカーで運転手の顔を直射してしまうような申し訳ない状況では、かわりにフォグ(もちろん下向き)、車幅灯、室内灯、私の場合は自作シグネチャーウイングイルミネーション等を利用して、自車の存在を周囲に伝えつつ、ロービームを消す選択も有りかも知れません。信号が変わってその車が通過したらロービームを再開して発進すれば良いわけです。
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CX-5 | クルマ
Posted at
2014/05/20 17:54:06
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