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二つの月のブログ一覧

2006年03月26日 イイね!

ヴィクトル・ハルトマンの思い出 Part2

第1回から間が開いてしまいましたが、再開いたしましょう。

2回目は『第4曲 ビドロ』から始めたいと思います。


第4曲 ビドロ(Bydlo)

ビドロとはポーランドの牛車のことです。
ロシア的な旋律を使って、牛車が田舎道をゆっくりと近づいて来て目の前を通り過ぎ、
遠ざかっていく様子を表している・・・・というのが一般的な解釈ですが、
この曲には隠された意味を持つ可能性もあるようです。

ラヴェル編曲(以下R)版はこの解釈で、始まりは弱く、曲が進むに従って段々高揚し、
最後に向かって静まっていくように書かれています。
ラヴェルには有名な『ボレロ』という曲があり、この曲には最後の静まる部分はないですが、
「ラヴェルってこういうのが好きなん?」って思ったりします。

オリジナルピアノ(以下P)版、アシュケナージ編曲(以下A)版はそれとは異なり、
最初から、重々しく激しい感じの強い音で書かれています。

この曲に当てはまる牛車を描いた絵は、今のところ発見されてはいません。
ポーランド語の「ビドロ」には“家畜”という意味の他に“虐げられた人々”という意味があり、
また、ロシア農民にとっても「ビドロ」という言葉は侮辱的な言葉だそうです。

こちらの「絵№3」は決定的なものではありませんが、
タイトルに見られるポーランドとのつながり、ムソルグスキーがスターソフに宛てた手紙、
それからもう一つ興味深いのは、この曲の伴奏にあたる部分、
こちら「譜例№2」で言うと左手(下の段の五線譜)ですが、一般に葬送行進曲と呼ばれる曲の伴奏形に多く用いられることなどから可能性として上げられているものです。
何かのきっかけで資料に混じって牛車の絵が出てくることも無きにしも非ず・・・ですけどね。

この後に続くのは、田舎道を牛車が通り過ぎたあとの轍を、
雲間から少しずつ陽の光が照らし始めるような、高音域で微かに始まるプロムナード。
“虐げられた人々”の解釈で言えば、手枷足枷を消し去るような天からの救いの光でしょうか。

泥濘から陽に当たって水蒸気が立ち上り始め、この水蒸気が最初は微かに、
そしてあちらこちらの轍からどんどん立ち上り、それがやがて次に続く
ひなどりの興味を惹きつけているようです。


第5曲 殻をつけたひなどりのバレエ

先のプロムナードで躊躇いがちに顔を出したひなどりを先頭に、
ピヨピヨ鳴きながらたくさんの小さなひなどりが出て来ます。
昔、縁日なんかで売っていたひよこがいっぱいいるのをイメージして貰うと良いかも。
中には勢いづいて突進してきたり、ひよこ同士でぶつかってみたり・・・・・。
曲を通して、とにかく鳴き声が聞こえています。
最後は何故か鳴き声も動きもぴたっと止まり、辺りを窺うような動きも感じられます。
その理由は、次の曲の2人かもしれません。

P版とR、A版では楽器が違うので、聴いていて明らかにイメージが変わります。
このひよこの鳴き声や動きの細かさのイメージとしては、
やはりピアノ独特の音色が1番かな~っと思ったりします。
私がピアノ弾きなので贔屓目かもしれませんが。

バレーの衣装のためのデッサン「絵№4」ですが、バレリーナの卵という意味での“ひなどり”と
本物の“ひなどり”を掛けているのかな、とも思ってしまうのは考え過ぎでしょうか。


第6曲 サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ

サミュエル・ゴールデンベルクは金持ちのユダヤ人。恰幅のいい身体でどっしりした彼は、
P版では中低音のユニゾン(両手で高さの違う同じ音を弾く)、R版では
弦楽器と木管楽器(一部を除く)のユニゾンになっているので力強くはありますが、
傲慢な部分も感じられるキャラクターとなっています。

かたやシュミュイレは貧しいユダヤ人。
みすぼらしい様相の彼は、P版では高めの音域の同音連打で、
R版では弱音器付きのトランペットで表され、甲高い声で早口でまくし立てるような
神経質ともいえるキャラクターになっています。

トランペットに弱音器を付けると、ド・レ・ミ・・・と言った楽音が籠もったような音になり、
そこへ金属音的な響きが加わり面白い音になります。

ユダヤの歴史は迫害の歴史とも言われますが、
迫害の度にヨーロッパから東方へ安住の地を求め、
ポーランド・ロシア一帯は多くのユダヤ教徒が住み着いていたようです。
そこではユダヤ教徒の間でも産業構造の近代化から貧富の差も激しくなり、
この曲は、そんな中での対極にある2人の会話を描いています。

最初はゴールデンベルクの話から始まり、続いてお金の無心なのか仕事が欲しいのか、
シュミュイレが話し始めますが、ゴールデンベルクが何も言わないので、
段々声を大きくしていきます。
そんな声を聞いていて我慢できなくなったゴールデンベルクがまた話し出しますが、
二人とも興奮してきて、怒鳴り合ってしまいます。

最後はゴールデンベルクの言い含めるような言葉と、
二人の決裂(喧嘩別れ)とも取れるフレーズで終わります。

この絵は、裕福なユダヤ人と貧しいユダヤ人のそれぞれの絵「絵№5」なのですが、
この2人を会話させてしまう所にムソルグスキーのイマジネーションを
感じさせられてしまいます。

で、これを聴いていて思ったのが、この二人のパートが逆だったら・・・・・って事もアリかなっと。
金持ちの方が実は守銭奴で、金儲けのために奔走する。
貧しい方はどうせお金がないから騒いでもしょうがないや~って感じで、
どっしり構えている・・・みたいな。やっぱり、あり得ないか。

この曲の最後の音はP、A版では長めに(3拍)伸ばし、
さらにその後の休符に充分伸ばす記号が書かれていますが、
R版では短い音に変更されて、次のプロムナードは省略されています。


プロムナード(Promenade)

冒頭のプロムナードと殆ど同じ規模を持ち、
冒頭のものよりは和音の厚みがかなり増しています。
そのため、ここからがこの組曲の第2部とする考え方もあるようです。

A版ではP版に倣って省略せずに演奏されます。
EL&P(以下E)版で第7曲目に収録されているものは、
このプロムナードにドラムを加えたアレンジになっています。


第7曲 リモージュの市場

中部フランスの小都市リモージュ。
陶磁器業で知られ、ロシアの王侯貴族が豪華な食器セットを購入したり、
ロシアの陶磁器工房でもフランスの職人が弟子を持っていたりして、
ロシアとは深い係わりがあったようです。

そんなリモージュの市場に集まった女性達のおしゃべりを描いています。
早い話が、俗に言うオバさんたちの井戸端会議(しかもあっちこっちからオバさんが割り込んだり、割り込まれたり)がエスカレートして、ヒステリックになったり、なだめたり。
う~~ん、想像したくないなぁ、違う意味でちょっとコワいし・・・・・。

この絵も色々な人が描かれている何枚もの絵で、実際に市場を描いた物ではありません。

とにかくけたたましい感じのする曲で、ピアノ弾きの立場からすると、
そうですねぇ・・・・・

「このテンポで、こんなアーティキュレーションと
 アクセントが付いた細かい同音連打が弾けるかぁーーーーー !! 馬鹿ぁーーーーー !!
 うっ、うぇ~~~~~ん(泣)」って感じ。

あ、でも片手ずつなら雰囲気だけは何とかできる・・・・・かも・・・・・です・・・・・多分・・・・・
アーティキュレーションとは、音と音を滑らかにつなげたり、切ったりする奏法です。

そんなオバさんたちが、その様子を遠くで眺めている自分に向かって、
相変わらずおしゃべりを続けながら近づいてきて(想像しながら書いててコワい)、
すれ違った途端に次の曲へと場面は変わります。


では、今回はここまでにするとして、
次回は『第8曲 カタコンブ~死者の言葉による死者との会話』から
始めることにいたします。

今回も読んでくださった皆様、お疲れ様でした。
お付き合い下さって、ありがとうございます。


オリジナル(ピアノ)版はこちらで試聴できます。
関連URLでは、エマーソン・レイク&パーマー版が試聴できます。
ご興味がある方は、お聴き下さいね。


参考資料
 クラシック音楽辞典(平凡社)
 ピアノ名曲辞典(ドレミ楽譜出版社)
 その他参考資料はこちら


Posted at 2006/03/26 00:47:07 | コメント(4) | トラックバック(0) | ピアノ曲 | 音楽/映画/テレビ
2006年03月17日 イイね!

ヴィクトル・ハルトマンの思い出 Part1

皆様、大変永らくお待たせしました。(え? 待ってない?)
ピアノ組曲『展覧会の絵』でございます。

先にお断りしておきますが、今回のブログは長いので、
何回かに分けてご紹介することにいたしました。

さて最初なので、この曲の成立などについて述べてみたいと思います。
この曲は19世紀後半のロシアで指導的役割を果たしたロシア国民楽派の作曲家、
モデスト・ペトロヴィッチ・ムソルグスキー(1839~1881)が作曲したピアノ組曲で、
彼の代表作であるだけでなく、ロシアにおけるピアノ曲の最高峰の一つといわれるほどの作品です。

ここで、ムソルグスキーについて忘れてはならない国民楽派について少し説明を。

19世紀半ばから20世紀にかけて、民族主義的な音楽運動を起こした作曲家たちを言います。
政治的な運動もありますが、音楽的にはそれまでのドイツ・オーストリアの器楽や、
イタリア・フランスの声楽など、人間的な感情表現に重点を置いてきたロマン派に対し、
自国の民謡や民族舞踊の楽式、音楽形式を重視するとともに、
その地方に伝わる民謡や史実を題材として交響詩やオペラを作曲しました。

主に東欧・北欧・スペイン・ロシアなど、ドイツ・フランス周辺国で隆盛しましたが、
この国民楽派の先駆として「ロシア五人組」が上げられます。
今回取り上げるムソルグスキーはこの中の一人で、他の4人(リムスキー=コルサコフ、
ボロディン、キュイ、バラキレフ)に比べてもっとも民族色が強く、
後のドビュッシーに多大な影響を与えています。


さて、話を本筋に戻しましょう。

この『展覧会の絵』は、友人の建築家・画家ヴィクトル・アレクサンドロヴィッチ・
ガルトマン(1834~1873 ドイツ名ハルトマン)の突然の死を悼んで、
2人の共通の友人である美術評論家ウラディーミル・ヴァシリェヴィッチ・
スターソフ(1828~1918)が催した遺作展で絵画と設計図など約400点が展示され、
その作品と芸術観を偲び、ムソルグスキーにより作曲されたものです。
そのため、この曲集は始めは『ハルトマン』と呼ばれていたそうです。

ハルトマンはロシア様式をその作品に取り入れており、
ムソルグスキーのロシア的な芸術観と共通する部分があったのでしょうか、
2人はよき友人として、親交を深めていたそうです。
最後に2人が会ったとき、ハルトマンは途中で気分を悪くしてしまい、
ムソルグスキーはその時、「どうしたの。少し休もう。」と言葉をかけました。
しかしその後まもなくハルトマンは動脈瘤で亡くなってしまい、
もっと気をつけてやれば良かったと、悔やんだそうです。
(1873年8月2日スターソフに宛てた手紙より)
そういった心情なども、この曲に表れているように感じます。

もともとピアノ組曲として作曲されましたが、一般的にはラヴェルのオーケストラ版でよく知られています。
これは指揮者でコントラバス奏者のクーセヴィツキーの委嘱により1922年に編曲されたもので、
それ以前にも、さまざまなオーケストラ版が編曲されましたが、
もっとも有名で演奏される機会の多いものが、このラヴェル版でしょうか。
また、ムソルグスキーの音楽はこの『展覧会の絵』に限らず、直接的で覚えやすいため、
映画やテレビなどに用いられ、また、さまざまな分野にも影響を与え、アレンジがなされています。

私の手元にあるものとしては、オーケストラが先のラヴェル編曲(以下R)版はもちろん、
ピアニストであり最近は指揮者・作曲家としても活躍している
ウラディーミル・アシュケナージによる編曲(以下A)版。
これは本当に偶然手に入れたCDなんですが、個人的にはラヴェル版よりも好きです。

オリジナルのピアノ(以下P)版ではアシュケナージ演奏のものと、
ラザール・ベルマン演奏のもの。
それからプログレッシブ・ロックの分野で、エマーソン・レイク&パーマーのもの(以下E版)。
こちらは以前お友達がブログで紹介して下さって初めて知ったものですが、
聴いてみるとアレンジの仕方がとても面白いです。
富田勲さんのシンセサイザーのものよりも好きですね。

また、14年ほど前になりますでしょうか、NHKの番組で、
この曲集の基になった絵を探すというものがあって(「NHKスペシャル 革命に消えた絵画」)、
その取材結果をまとめた本も手元にあります。
これは作曲家の團伊玖磨さんが中心になって取材、編集されたものですが、
こちらもなかなか興味深いものです。

これらの絵に関してですが、『展覧会の絵』とはいえ、あくまで、
ハルトマンの絵からムソルグスキーが着想を得て作曲したものなので、
実際に曲と同じタイトル、内容の絵があるわけではありません。
どんな絵かも分かっていないもの、発見されていないものもあり、
参考までに絵のほうもこちらにUPしてあります。
よろしければ併せてご覧下さいね。

では、上にあげたCD及び本を比較・引用しながら、解説・感想など
述べていきたいと思います。
感想に関しては、いつものように私個人の見解で、P版のほうで書いていきますので、
ご了承ください。


プロムナード(Promenade)

冒頭8小節は5拍子と6拍子が交互に入れかわり、やがて6拍子に落ち着きます。
この変則拍子はパッと聴きでは判りませんが、ロシアの農村に古くから伝わる土着の民謡は、
こういう風に1小節ごとに拍子の変わっているものが多いらしく、メロディーと言うよりは、
語り継がれてきた言葉の抑揚やイントネーションを楽譜にするとこうなる・・・
みたいな感じなのでしょうか。

ロシア的情緒を感じさせる旋律が次第に和音の厚みを増し、
次の『こびと』へとそのまま進行していきます。

E版は、編曲せずにそのままシンセサイザーのみで演奏しています。
シンセとはいえ、オーケストラ版に近い感じで、違和感なく聴けました。

ピアノで弾く場合は、ピアノがよく鳴る中音域を使うので、右手の薬指、小指で
メロディー音を響かせ、明白に浮かび上がらせるのが難しいですね。

参考までにピアノ譜とオーケストラ譜をこちらに載せてあります。
よろしければご覧下さい。
 

第1曲 こびと(Gnomus)

ロシアの物語に出てくる地底の宝を守る無数の怪奇なこびとが突然現れ、
曲がった足でグロテスクに動きまわったかと思えば、
周りの様子を伺うかのようにじっと息を潜め、そしてまた動き始めると言った感じの曲です。
常に地底の暗闇の中で蠢き、あるときには静まり、そして最後には散り散りになる・・・・・

しかし、これに当てはまる絵は発見されていません。
NHKの取材によると、ロシア美術アカデミーの研究者がスターソフの書簡などから、
これだと断言した絵は こちら(No.1)だそうです。

およそこの解釈に当てはまらなそうな絵。
ここから團伊玖磨さんは、興味深い解釈をされています。
「最初のプロムナードは、彼ら2人が目指していた芸術への力強い道。
 そこへ突然現れるこびとの威嚇的とも取れる音楽が表すのは、
 ハルトマンの突然の死を聞いたムソルグスキーの衝撃とそれに続く悲しみ・・・・・」
この解釈だと、このあと何度か出てくるプロムナードにも何かしら意味があるように思えます。

結構メリハリの利いた曲なので、各部分をきちんと分けないと、
とりとめのない曲になってしまうのと、
冒頭では長く伸びる音が減衰して聴こえなくなるまで自分の耳で捉えることが難しいですね。
ピアノ弾きは、この減衰する音を最後まで聴くという事が苦手だったりします。

ここにはP版、A版には「その音を充分のばす」という意味の記号がついていますが、
R版にはありません。

この解釈からは離れますが、E版は殆ど原曲をそのまま用い、
それにドラムが加わっている感じです。
このドラムの音、歯切れのよさが私は好きですね。
日頃、ジャズやロックなどを聴くときには、何故かドラムの音だけ拾って聴いてしまいます。


第2曲 古城(Il vecchio castello)

『こびと』の世界から抜け出て、静かで穏やかな場所に来たかのようなプロムナードを経て、
イタリアの古い城の情景へと場面は変わります。
何故イタリアかというと、この曲のタイトルがイタリア語で書かれているからだと言われています。

中世の吟遊詩人の物悲しいノスタルジックな旋律の歌を思い起こさせる曲です。
この曲は、左手に同じ音が最後まで一定のリズムで刻まれます。
専門的な説明はここでは省きますが、この音は音楽理論的に重要な音です。
この音の連打には和声的に曲が落ち着いていくというイメージがあるのですが、
私は実際に弾いていて、単に落ち着くのではなく、
吟遊詩人がこの場から離れたいのに離れられない心残りのように感じました。

こちらの絵(No.2)をよく見ていただくと、中央にはっきりと人間に描かれてはいなくて、
影のように描かれています。

吟遊詩人は、死してその肉体が朽ち果てても、魂はこの場から立ち去れないのではないか、
立ち去らなければならないことはわかっているのに、それほどまでに強い心残り。

メロディーは中音域から始まって上行(=昇天?)しかけるのですが、
高音域に到達することなく、また中音域へ戻ってきてしまう。
それならばと、色々な和音、サウンドで響きを変えてみる。
でも相変わらず鳴り続ける低音から解き放たれることはできない。
そして最後には諦め、ため息と、叫びのような和音で曲を閉じます。

R版とA版では、メロディーを受け持つ楽器が違っています。
E版では、『古い城』というタイトルの曲は、原曲のコードを使って
自由なメロディーになっているように思いました(コピーしたわけではないですが)。
ある曲のコードをそのまま使って別のメロディーを乗せるというのは、
確かベートーヴェンだったか、バッハだったか(はっきり憶えていませんが)にもあったと思います。
もう1曲『ブルーズ・ヴァリエーション』という曲があって、こちらは、
原曲のメロディーをテーマにしてジャズのようにアドリブ等の演奏になっているようです。
P版は、この組曲の中では弾き易いですが、解釈という点を含めると色々考えさせられてしまいます。


第3曲 テュイルリー(Tuileries)~遊びのあとの子供たちの喧嘩

絵の中の古城から離れ、現実の城のような重厚さを持ったプロムナードが少しだけ現れ、
やがて子供達の遊ぶパリのテュイルリー広場へと移っていきます。

広場で思い思いに遊んでいる子供達。
寄ったり離れたりしながら楽しそうにおしゃべりする子供達がいるかと思えば
喧嘩を始める子供達もいて、向こうにいる子供たちのはしゃぐ声が聴こえて来たり・・・
テュイルリー広場を所狭しと駆け巡る子供達の様子が描かれています。

この曲は、実際に広場を舞台とした絵があるわけではなく、
何人かの子供を描いた絵が、数枚あるだけです。
数が多くて載せられませんでした。

P版では手の届かない所があるので、それをどう工夫するかが難しい所ですね。
テクニック的には頑張れば何とかなるかも・・・って感じです。



さて、第1回目はこのくらいにして、次回は『第4曲 ビドロ』から始めたいと思います。


オリジナル(ピアノ)版はこちらで試聴できます。
関連URLでは、エマーソン・レイク&パーマー版が試聴できます。
ご興味がある方は、お聴き下さいね。


参考資料
 クラシック音楽辞典(平凡社)
 ピアノ名曲辞典(ドレミ楽譜出版社)
 その他参考資料はこちら


Posted at 2006/03/17 02:08:29 | コメント(7) | トラックバック(0) | ピアノ曲 | 音楽/映画/テレビ
2006年02月13日 イイね!

月光に寄せて。

月光に寄せて。今夜も綺麗な月が輝いていますね。
(お天気の悪い地方の方には、申し訳ないですが。)

さて、タイトルに「月光」と書きましたが、
今回はベートーヴェン(1770~1827)が
1801年に作曲した『月光の曲』として有名な
『ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 作品27-2』をご紹介します。

一般には「月光の曲」「月光ソナタ」などと呼ばれていますが、
実はこの曲名は、ベートーヴェンが付けたものではなく、
ベートーヴェン自身は、第13番と第14番のソナタには
「幻想曲風ソナタ」という標題を付けています。

ソナタ(という形式)なので1曲だけでなく、全3楽章から成っていて、
詩人ルードヴィッヒ・レルシュタープが、第1楽章を「スイスのルツェルン湖の
月光の波に揺らぐ小舟のよう」と形容したことからこの名が付いたと言われています。

この曲を、弾く側からの感想なども踏まえて書いてみたいと思います。


第1楽章

「月光の曲」というと、殆どの楽譜にはこの第1楽章のみが載っているほど、
良く知られています。
この楽章だけが「月光の曲」で、3楽章あることを知らない方も多いですね。

聴くと、とても静かで、確かに湖の小舟って感じなのですが、イメージ的には
月光の美しさというよりも、月の光の届かない影の部分のような暗さをも感じます。
嬰ハ短調で書かれているからかもしれませんが・・・。
これについては、最後に触れてみます。

弾く立場で言うと、とにかく弾きにくいです。
テンポがゆっくりなので、とっつきやすいのですが、つきつめて表現しようとすると
重箱の隅をつつくという言葉がぴったりな感じ。

また、1オクターブが楽に届く人でないと余計な苦労をしないといけません。
その上、右手の4もしくは5の指(薬指と小指)でメロディーを、
1、2、3の指(親指から中指)で伴奏を弾かなくてならないので、
タッチを変えなければならないこと、伴奏部分のリズムが定まらないこと、
メロディーに長く伸ばす音符が多いので、伴奏部分に消されてしまって
大きなフレーズとして捉えにくい等、なかなかイメージどおりには弾けません。
テクニック的に指先にかなりの集中力と、自分の出している音を聴くための
聴力を要求される楽章です。


第2楽章

1楽章のゆったりとした、暗い曲想とは変わって明るく、軽やかでリズミカルな感じの楽章です。
ピアニストでもあり、作曲家でもあるリストは、この楽章を「二つの深淵の間に咲く
一輪の花」と言っています。

両手それぞれが重音(音を2つ一緒に弾く)、単音(音を1つだけ弾く)、
オクターブに変化するので、それを踏まえて明るく軽やかに弾かなくてはなりません。
それから、リズミカル感を出すためのアクセントをつけるために、
逆にバタバタした印象を与えてしまうこともありますね。


第3楽章

この楽章こそ、この曲の真打ち、といった感じです。
「激情」という言葉がそのまま当てはまるような激しく、そして華やかな曲想で、
有名な第1楽章も、軽やかな第2楽章も、この楽章の前置きであるかのような楽章です。
(これは言い過ぎかな?)

多分にピアニスティックで、聴衆を圧倒させるような演奏力とテクニック、
それから体力(これが一番大事かも)を必要としますね。
弾けた時の充実感は、他では得られません。 うん、気分良いですよ~。
本当に「よしっ、弾いたぞっ !!」って言いたくなります。
(ただ夏向きの曲ではないです。弾いててバテますから。この辺りが体力勝負。)


ここまで、この曲について主に私の感想をざっと述べましたが、
この曲は当時ベートーヴェンの生徒だった伯爵令嬢のジュリエッタ・グイッチャルディに
献呈されていて、ベートーヴェンは彼女に心を寄せていました。
当時ベートーヴェンは知人に宛てて書いた手紙で、こう告白しています。
「・・・彼女は私を愛し、私も彼女を愛しています・・・
結婚して幸福になれるだろうと思ったのは、これが初めてです。
ただ残念なことに身分が違うのです。」
ここから、後々ジュリエッタはベートーヴェンの永遠の恋人といわれます。

また、この頃のベートーヴェンは耳の病気に悩まされていて、実らない恋と相まって、
この曲が暗く激しいものとなっているのではないかと思えるところもあります。

単に「月光」という美しい言葉からは想像できない、深い曲です。
関連URLでは、第1楽章のみ聴くことができます。
このサイトの「ベストピアノ100~究極のピアノ100曲!(CD1)」にあります。
何だか表示が見にくいですが、よろしければお試しください。
本当は全曲、特に第3楽章を聴いて頂きたいんですけど。

私がこの曲を実際に弾いたのは、もう10年以上前になるでしょうか。
ピアノ界においては、“新約聖書”といわれるほど避けては通れない、
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ集(全32曲)は、他の作曲家の曲を勉強していても、
私にとっては必ず戻って勉強し直したくなる曲です。


このブログ書いてたら、やっぱり弾きたくなりました。
今年中に講師演奏か何かで取り上げてみようかな。

長くなりましたが、最後まで読んでくださったあなた、そう、
今読んで下さっているあなたですよ、ありがとうございました。
お疲れ様でした。

※画像を2月13日AM11:00、編集いたしました。
 上から、第2楽章、第3楽章です。
 全楽章載せるのは無理でした。


Posted at 2006/02/13 02:31:27 | コメント(8) | トラックバック(1) | ピアノ曲 | 音楽/映画/テレビ
2005年11月14日 イイね!

練習曲 第12番 ハ短調 Op.10 No.12 《革命》

練習曲 第12番 ハ短調 Op.10 No.12 《革命》難しい曲名をタイトルにしましたが、
実はこの曲、《革命のエチュード》として
良く知られたショパンの曲です。

幻想即興曲、別れの曲、子犬のワルツ、
雨だれの前奏曲、英雄ポロネーズなど、
一般に知られた曲も多いショパンですが、
この《革命のエチュード》も、
その中のひとつに上げられます。

題名を聞いてご存じない方も、曲を聴けば「ああ、この曲ね。」と必ず言われると思います。

1830年、国内情勢の悪化などの理由により、ショパンはポーランドを離れますが、
その旅の途中のシュトゥットガルトで、ロシア軍がポーランド革命運動を鎮圧、
ワルシャワを武力奪還したとの知らせを聞きました。
祖国にいる家族、友人たちのことを思ったショパンは、その怒りを鍵盤に叩きつけ、
この曲が作曲されたといわれています。

ただ、確実な証拠があるわけではないので、あくまで伝説、ですが。

写真は、少しぼやけてしまいましたが、私が実際に使った楽譜です。
ヘンレ原典版を使用しています。
もう、10年以上も前のことなので、もう1回練習し直さないとちゃんと弾けないかな。

いつも、マニアックな曲ばかりなので、ポピュラーな曲を上げてみました。


Posted at 2005/11/14 21:02:03 | コメント(5) | トラックバック(0) | ピアノ曲 | 音楽/映画/テレビ
2005年11月08日 イイね!

小泉八雲の怪談によるバラード

小泉八雲の怪談によるバラード昨日のブログが御飯ネタばかりで、
四六時中食べてると思われてもいけないので、
本日は少しハイブローなネタで行きたいと思います。

「小泉八雲の怪談によるバラード」です。
作曲者はペール・ヘンリク・ノルドグレン(1944- )。
現代フィンランドを代表する個性派作曲家の1人です。

この曲集は、日本人ピアニストの舘野泉さんの委嘱により
1972年「耳なし芳一」が書かれたことがきっかけで、
その後もこの二人の共同作業のような形で進められ、
1977年に全10曲のバラード集が完成したそうです。

ピアニストの舘野泉さんは、フィンランドに居を移され、北欧音楽の普及に努めておられます。

この曲集の内容は、以下の通りです。

   1.お貞
   2.雪女
   3.無間鐘
   4.おしどり
   5.むじな
   6.ろくろ首
   7.耳なし芳一
   8.安芸之助の夢
   9.食人鬼
   10.十六桜

「怪談」と言うタイトルに惹かれて、楽譜もCDも購入してみたのはいいけれど、
そこは現代音楽、やっぱり難しい・・・・・。
でも弾いてみたいんですよ、いずれは。

しょうがない、地道に頑張るしかないか。


Posted at 2005/11/08 11:12:51 | コメント(3) | トラックバック(0) | ピアノ曲 | 音楽/映画/テレビ

プロフィール

「@ボォさん 1度行ってみたいんですよね。ドクターイエロー(T4)見ましたかー?」
何シテル?   05/20 16:44
最近はなかなかゆっくりログインする時間も取れていませんが、極たまに何してるでつぶやいたりしますので生存確認はそちらでお願いします~。
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ゴガクル 
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2014/12/07 18:52:21
 
長野県信濃美術館 
カテゴリ:Museo d'arte
2013/09/23 16:25:28
 
ムーミン公式サイト 
カテゴリ:Carattere
2010/02/26 21:09:37
 

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登録 2020年10月 セーフティーサポート装着 (全方位カメラパッケージ非装着) ...
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