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その日は用事が午後からでしたので、起床は午前10時頃でした。
ボロい下宿の２階に住んでいましたので地震には敏感でしたが、さすがに震源地から670kmも離れていては例えその時間に起きていたとしても気づかなかっただろうと思います。

目が覚めるとクセのようにテレビのスイッチを入れましたが、普段聞こえるはずのニュースや料理番組は時間になっても始まらなく、ヘリコプターからの映像は所々から黒い煙が上がる街を延々と映しているだけでした。
きっと生中継なんだろうとは思いましたが、それがいったいどこなのかは暫くの間分かりませんでした。それまで何度も何度も同じ原稿を読んだであろうアナウンスがその時間帯には無かったのです。

今と違ってインターネットへのアクセス手段がまだ手元には無く、テレビ以外に最新の情報を知る術がありませんでしたから、昼頃になってようやくそれが神戸の辺りだとテレビで知った次第です。

それでもまだ、身近な人間の中では情報が早かったようです。
午後に会った人達の中には地震のことを全く知らない方もいましたから。

友人が伊丹市に居ましたので心配しました。
後日その友人に聞いたところ、やっぱり色々と大変だったのは間違いなかったようですが、彼は地震の後の出来事で親しくなった女性と結婚することになったのでした。

1996年の初夏に彼の結婚披露宴が宝塚市であり、お呼ばれしたので行ってきました。
そのホテルから近かったので手塚治虫記念館を観て宝塚劇場の前を歩きましたが、応急処置だけで依然として残る歩道の亀裂に震災の凄まじさの一端を見た思いがしました。