アベノノミクスの影響は。
んなもん、業界によって異なる。
例えば燃油関係。
海外から原油を輸入し、生成し販売している。
原油価格は今年の1月で1バレル$94.65だった。
原油を精製しガソリンになる比率は26%
1バレル=約160ℓとすれば、そこからガソリンには約42ℓが精製される。
$94.65の26%は$24.6
そこからガソリン1ℓあたりの原油は$0.59
$95円とするなら56円位になります。
と地道に計算したら、
便利なサイトが有った。
計算式は書いていませんが、結果が同じなので同じような事をしているんでしょう。
このサイトから、税金を差し引いたらガソリンの原価は88円。
88円から原油代56円を引くと精製販売原価32円。
材料原価と製造販売原価の比率は64:36、約2:1。
では自動車の場合。
材料費の詳細は公開されていません。
巷で言われているのは大凡10%から30%とされています。
間を取って20%としてみましょうw
原油も自動車の材料も基本的に海外から輸入されています。
為替変動の影響を受ける分野です。
税抜き価格で比較すると、ガソリンは64%、自動車は20%が為替相場の影響を受ける事になります。
10%円安になったとして。
ガソリンは約6%、自動車は2%の値上がりになる訳ですが、材料費以外の比率が少ないガソリンはその値上がり分を利益で相殺する事が難しい、という事は理解いただけるところだと思います。
更に。
ガソリンの大半は国内消費です。
確かに輸出もしていますが、製品輸出入の比率は1:2で輸入の方が多いのでむしろマイナス要素。
国内でほぼ消費されていると言っていい状況から、円安による販売利益増大は望めません。
対して自動車。
平成24年度で見てみると。
国内生産数の約半数を輸出しています。
994万台生産して480万台輸出していますから。
自動車の輸入台数は24万台。
円安による利益増大が見込めますから、国内販売分の材料費が円安の結果多少上がったところで、充分に回収可能となります。
そんな事情から、円安が進行していますが、即値上がり傾向になる燃料と、価格が高く影響が大きそうな自動車はすぐに値上がりしないのですね。
もう一つ。
ガソリンって、必要だから買うものです。
俺、ガソリン大好きなんだよね、といって買う人は居ません。
自動車等々のガソリン内燃機関を動かすために買います。
石油関連企業の努力で需要が増えるものではありません。
値下げで需要が増える事が有りますが、前述のとおり、企業努力で値下げできる幅が限られます。
円安で価格上昇となれば、尚更需要は減りますから悪循環です。
この状況で、石油関連会社の利益が増えるか、そしてその従業員の給与が上がるかと言われれば難しいでしょう。
逆に自動車メーカーは利益も増えるでしょうし一時金増額にはつながるかもしれません。
為替次第の利益変動でベースアップするアホ経営者は居ないと思われますが。
このように、金融政策で全ての業界を繁栄させることは難しいです。
そこで経済政策と成長戦略が必要と言われていますが。
最近まで、公共事業は国家財政にとって悪の権化のように言われてきました。
今でもそう思っている人は多いでしょう。
10数年前、アホな行政がりっぱな橋を発注し竣工したものの、その先が行き止まり、なんていうのが散々TVニュースで報道されたりしていましたから。
私、鋼製橋梁メーカー勤務ですが、橋梁って公共工事以外に需要はほぼありません。
ちょっとウチに鋼製橋梁架けようか、なんて人居ませんからねw
公共事業費の削減により業界の合従連衡も進みましたし、老舗が潰れたりもしました。
まぁ、あれは過去に起こした大事故も遠因となっていますが…
その削減した財源を振られたところは儲かったでしょうけれど、こちらとしてはお先真っ暗感がありました。
今回のアベノミクスで、我々の業界は明るい展望が出てきました。
それでも発注見込トン数を見ると過去の好況期に比べると微々たるものではありますが。
少なくとも上向きにはなった。
公共工事が増えれば、燃料需要も増大するでしょう。
しかし、その政策でどこかが不遇になるのは理解しています。
我々が今までそうでしたから。
国家予算全体は増大していると言っても、削減された分野も有りますから。
経済政策で国家的には好況になるかとは思いますけど、全て上手く行くといった論調には諸手を上げて賛成できません。
IT化を進めれば紙業は落ち込むとかいろいろあります。
まぁ、上記の事情により、私としては今回の経済政策には賛成ですが。
とまぁ徒然に書いてしまいましたが。
経済通の方はどのレベルで物を見ているんでしょうね。
国家か、企業か、個人か。
いずれにしても、良くなるところが有れば悪くなるところも有るのが経済なんですけどね。
Posted at 2013/03/08 06:17:53 | |
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