
この
ネタの続きです。
前回まではヘッドとシリンダを取り外しダメージを見ました。
今回は腰下のバラシに入ります。
エンジンをバラす時には「特殊工具」=特工がどうしても必要な箇所が必ずあります。
工具をケチって手持ちの工具(ケチるとほとんどが打撃)でバラシを行うと工具の破損・部品の破損、最悪は不動車になることだってあり得ます。確かに特殊工具はメーカー品を購入するととても高額ですが。いまはインターネットでいろいろな店を検索できます。メーカー品の半額以下の値段で購入することも可能です。
それは、それなりの品かもしれないけど、何回もエンジンバラシをするわけでもないし割り切って購入したほうがいいと思います。作業も格段に楽になります。
まぁ〜前置きはこれくらいにして…。最初の写真はフライホイール側のジェネレーターカバーを取った状態です。
この手のエンジンのフライホイールはテーパー軸にキーで固定されているので普通じゃ分解できません。
特にクランクシャフトへの打撃は厳禁です。
焼き入れ部分が多く最悪欠ける場合があります。
欠けなくても小さなクラックが発生することも…。
フライホイールプーラーという特工が手元にあるので使用して取り外しました。
フライホイールに固定しクランク軸にボルトを押し付けてフライホイールを引っ張り出すイメージ。

工具を使い締め込んで行くと「ピキッ」って音共にクランクシャフトから離脱することができます。
以下写真はクラッチ側です。

KSR110は純正では遠心クラッチですが、どうしてもその乗り味が好きになれず新車納入時にレバー式に交換しています。
クラッチなどこういう駆動系のナットは7kgfmとか結構な高トルクで締め付けてあります。
しっかりした工具で舐めないように慎重に…。
私はインパクトで外しましたが…w
大物の部品を取り外した後は、オイルポンプやキックギアなどの小部品を外していきます。
その小部品や左右のクランクケースなどは結構なトルクのかかった固着したプラスネジが多くあります。
上手く外さないと簡単に頭が舐めてしまいます。ドライバーにスパナを掛けるタイプもありますが、今回はインパクトドライバーを使用して緩めました。

専用工具があれば確実に要領良く作業が進みはかどります。
今回はクランクシャフトも交換するんでケースからクランクを取り外さなければなりません。
クランクシャフトはクランクケースにインローでベアリングが圧入されており、これも普通じゃ抜けません。
クランクシャフト打撃厳禁!
でこんな「クランクケースセパレーター」って特工を使用します。
これはクランクケースの取付穴にボルトを固定しセンターの大きなボルトでクランク軸を押し付けケースからクランクを押し出す要領でクランクシャフトを離脱する特工です。

このセット状態でセンターのボルトを締め込んで行くと最初は固いですがジワジワと抜けてくれます。
他のエンジンだとベアリングがケースに残る場合がありますが、KSR110のクランクシャフトは一方はカムスプロケが、反対側はオイルポンプのギアが圧入してあるのでこういう抜き方をするとベアリングごと取れますね。
バラシに夢中であまり写真を撮ってないですが。
そうこうしていると、ミッションが拝めます。
ここまでバラシました。

クランクシャフトは見た目ダメージは見受けられませんが、あのヘッド周りのダメージ状態と、純正部品で1万5千円程度の値段から、交換が吉と判断。
結局…。下の写真がエンジン内にあったピストン・バルブの破片です。

エアで鉄粉を吹き飛ばし、パーツクリーナーで汚れを落としすっかりキレイな状態になりました。
今回は交換しない部品としてクラッチがあります。
新車購入時にボアアップした際に、社外品の強化スプリングを追加してセット荷重を大きくしています。
ですので、すでに摩擦板とプレッシャープレートの押し付け荷重を上げて高トルクにも耐えるようにしています。

KSR110のクラッチ(遠心クラッチ付きなのでセカンダリークラッチとか呼ばれてます)は湿式の5枚ディスクが標準で付いています。
これらは再利用するので一応バラして整備書と照らし合わしながら部品が正常か測定しました。
フリクションディスクは厚み3.1mm〜3.3mmであり5枚とも許容値です。
スプリング長も測定して「へたり」がないことを確認しました。
そのまま再利用していきます。
フリクションディスクの向きスチールプレート(クラッチプレート)との順番を確認し、トルクもしっかり守ってクラッチを組み上げておきました。
これであとは部品さえ届けば組み付ける事ができます。
今回は、タケガワ製のミッションを交換することとなってます。4速ミッションから5速ミッションへ変更する予定です。
モンキーの時もそうでしたがタケガワ製のミッションキットはギアを1速増やすとクランクケースに何かしらの追加工が必要になってきます。
いろいろ調べてみると、やはり左側クランクケースの追加工(ギアの逃し)が必要みたいです。
メーカーに送って追加工することはできるみたいですが、大した加工でもないのにお金を出すのもね〜。
ってことで休み中で時間もあるんで、ちょっと「NCフライス」を借りて加工してきました。
ここら辺は実は本職だったりするんですんなりと…。
①カウンターシャフト側「ケース合わせ面より下48mm位置までφ67mmの逃し」
②メインシャフト側「ケース合わせ面より下38mm位置までφ45mmの逃し」
③「ニュートラルスイッチ取付ボス部上部1mmの追い込み」
以上の3点の加工を行いました。

メーカーが強度計算したクランクケースに追加工を行うので耐久性云々の問題はあると思いますが、
このキットの追加工を指示通り削ってみると思いの外、削り代が少なく特に問題はないように思います(あくまで感覚)。
これでバラシは終わったんで次回は組み付け。
まだ、部品は揃ってはないけど…。