2020年10月11日
メンテナンスという行為は、内容を理解している人がやる事です。
誰とは言いませんし、書くつもりもありませんが・・・。
※ みん友さんじゃないのは確かだけど
メーカーが指定してくる内容には、全て意味があります。意味が無い事を書きません。
競技走行をされる方であれば尚更、理解頂けると思うのですが、タイヤであれば空気圧ですらメーカーが推奨値を記載しています。それに対して空気圧を必要に応じて下げたりして調整していく訳ですが・・・。
ホイールを変えた時のインセットですらスクラブ半径(キングピンオフセットの方が分かりやすいかも?)が変わってくるため、例え数mmの変化であってもハンドリングに結構効いてきます。具体的には、純正+45→+35にした・・・などです。純正状態を基準としているため、この例の場合だと純正基準でアンダーもしくはオーバー方向に変化します。(正確にはFFとFRで逆転します)
純正状態が最良とは言いません。
自分に合った走り方に対して、必要に応じて調整することです。
基本的には純正状態を基準として無理のない範囲が一番自然になります。
もっとも、足回りなんかのスペックにもかなり左右されますが・・・。
この辺りを何も考えずに交換して、アンダーが酷くて曲がらない or イン巻きが酷くて不安定な車だと騒ぐ輩は結構居ます。
話は逸れましたが、今回の話題としては『自分で簡単に出来るオイル交換』なんかが最たる例として挙げようと思います。
過去に何度か書いてますけど、今となっては旧車と言われるようになってきた15~30年前の車であれば、好きな銘柄を入れれば良いと思います。例えば添加剤無しの100%化学合成油とかね。自分が試してみて一番良かったor好きな銘柄を入れれば良いと思います。
ただし、オイル粘度に関してはそれなりに考えて選ぶべきですし、オイル交換の頻度に関しても、半年に1回か5000kmに1回というルールを守ればエンジンは長持ちします。サーキットなど競技に使われる方であれば、競技走行を終わったら可能な限り早めに交換が推奨されています。
それでは何故、15~30年前の車などは好きなオイルを入れても大丈夫なのに・・・昨今の一部の車についてはダメなんでしょうか。ここで書いた一部の車種とは、『オイルの規格について指定』がある車の事を指します。
僕が納車待ちのGRヤリスが、まさにそれに該当します。
ある方が、とあるSNSで画像を上げました。とある車種に使用する慣らし用の『捨てオイル(SN規格)』と『本命オイル(SL規格)』が届きました。 200kmほど走って交換して、本命オイルに交換して慣らしを終えたいと思うと。
某社純正オイルなんて使いたくないのだと。
捨てオイルだから問題ないのだと。
それについて指摘した方が数名居ましたが、
余計なお世話と切って捨てていました。
伝えたくても伝わらない人種かなと静観していると、1回目の200kmのオイル交換の写真が上がりました。200kmとは思えないほどに黒く変色していました。画像では詳細が不明でしたが、恐らく酸化した嫌な臭いとかなりのスラッジが出ていたと予想されます。そのまま本命オイルを入れたと思われますが・・・。
その翌日、全ての投稿が消されていました。
何故、消されたのか。
もしくは、本人が消してしまったのかは不明です。
その後、友人から某車種がエンジンブローしたらしいと聞き、
なんのこっちゃと調べてみるが情報の出所が分かりません。
(S耐車両かなと思ったけど違ったようです)
あちこち探してみましたが某掲示板の書き込み以外に見当たらないので、
僕の検索が杜撰なのか、もしくはTwitterなどの鍵垢なのでしょう。
同一人物なのかの判断は付きません。
始めにエンジンの初期不良については、匠と呼ばれる技能工が手組で仕上げているエンジンです。人間の手組である以上は、『ミスはありえない』とは言えませんが・・・この手の会社の技能工(匠と呼ばれるような社内資格?)が初期不良としてロールアウトさせるようなヘマを仕出かしますかね。僕自身としては、一番考え難いと思います。
残る可能性としても、慣らし運転中の4000rpm制限の中でオーバーレブしたところで壊れるとは思えませんし、エンジンが温まった状態で慣らし運転など関係あるかとレブリミッターに繰り返し当てていたのかどうかは本人しか知る由はありませんね。ただ、この場合はどんな車でも壊れて当たり前です。
もう一つの可能性としては、指定された規格外のオイルを使用したかです。
話を戻しましょう。
メーカーが指定してきた内容について、意味が無い物はありません。
SP規格やSN-Plus規格のオイルというのは、環境側面だけでなく物性的に必要だからこそ開発されたオイルです。特に、直噴ターボ車両ですね。ここ数年で、『 LSPI 』という単語を良く耳にするようになりました。
Low Speed Pre Ignition
この下線部の頭文字を取って『 LSPI 』と言います。
調べれば内容がいくらでも出てきますが、『 低速異常燃焼 』の現象を指します。
近年普及してきた直噴ターボエンジンでは、低速で深くアクセルを踏み込んで大きな負荷を掛けた際に、おおよそ6万回転に1回程度(1時間の走行で1回程度)の頻度で、ノッキングのような異常燃焼が稀に起こります。
これをLSPI現象と呼びます。LSPIが発生した場合、どんなダメージが発生するかと言うと・・・コンロッドに大きな負担が掛かり、最悪の場合はエンジンを損傷する可能性があります。
某掲示板の内容がどこまで正確か分かりませんが、『マフラーから煙(白煙か黒煙か不明)が出てエンジンが止まった』、『オイルを見たら少し減っていたので継ぎ足した』とあります。
オイルが減っていたという情報もあるので、白煙であれば確かにシリンダーやピストンが原因である可能性はありそうです。(オーナーさんがやらかした可能性も含めてです)
黒煙の場合、LSPIの可能性があります。国産車は、LSPI対応ではないオイルを使用してしまった場合には、ECUがノッキングの兆候をセンサーで検知すると燃調系や点火系で無理やりエンジンを保護しようとします。その為、すぐに壊れるという事はありませんが・・・実際には必要以上に燃料を噴射する必要があるため燃費が極めて悪くなったりします。それでも、壊れる時は壊れます。
やらないよりはマシというだけの話なので。
だからこそ、オイルメーカーなどは態々高い金を払ってでもLSPI対応のオイルを開発しました。ちなみにオイルの規格認定については、試験項目などに寄りますが1回で700万オーバーの金額が掛かります。果たして意味のない規格認定にお金を掛けるメーカーがあるでしょうか。
そんな事はありません。
『うちのオイルはLSPI対策品です』と販売出来る訳です。
規格というものは、統一するためのものです。
ある製品を使用する国が違っても、なんらかの機構が違っても、製造元が違っても、『規格認可』が得られていれば、使用に際して問題がないと保障出来るものです。本当に規格というのは無視して良いものですか?「何故、規格を制定する必要が出てきたのか」について、考えていないだけではありませんか?
僕も考えが古い人間です。
100%化学合成油が一番だ。 → 分かります
添加物なんて誤魔化しだ。入ってない方が良い。 → 分かります
しかし、時代の変化によって、環境側面を重視しなければいけなくなりました。燃費の向上やCOx・NOx・SOx削減・・・昔のままでは、法規制についていけなくなってきました。だから、それに対応出来るエンジンが必要とされました。そして、それらのエンジンに使用するオイルには添加剤を入れなければ、エンジンが保護出来なくなってしまいました。
だからこそ、開発されたオイルの規格が、
SN-Plus規格とSP規格になる訳です。
念のために書きますが、僕はオイルメーカーの回し者ではありません。単純に阿保らしいと言うよりは、馬鹿馬鹿しい理由で車を壊して騒ぐ輩が多く、はっきり言えば嫌いなだけです。特に好かれたいとも思いませんが。
ちなみにオイル粘度だって同じことが言えます。
何も考えずに、「『0w-20』なんて柔らかいオイルは怖い!!」だなんて理由で競技走行すらしないのに『粘度は硬ければ良い』と思っているのであれば大きな間違いです。
オイルの粘度が指定されているのにも理由があります。
もちろん、環境側面から燃費を向上させるためというのもありますが・・・。基本的には、車両の状態をベースに粘度を決める必要がありますが、例えば新車の状態では指定粘度で十分な訳です。
何故でしょうか、エンジンが消耗していない新品状態に近いからです。
オイル粘度を上げる理由はなんでしょうか、長年の酷使などで削られてしまったピストンとシリンダーの隙間を埋めるためです。ちなみに2ストほどではありませんが、結局はオイルもガソリンと一緒に燃えます。だから、オイルも減って行く訳です。白煙を出すというのは、大体がメカ的な理由でチャンバー内で燃えるオイルの量が増えている事に起因します。
オイルの粘度を上げると、上記のような不具合をある程度は抑える事が出来ます。また、競技などでは高温に晒される事でオイルの粘度が低下してしまうからです・・・だからこそ、粘度を上げる人が多い訳ですが、粘度だけでは実際にはそこまで都合の良いものではありません。
粘度の高いオイルは、熱保持量も高くなるからです。その分だけ、結局は空冷オイルクーラーの増設など冷却系の強化が必要になってきます。ヒートエクスチェンジャー付きであればラジエーターを変えてみるのも手ですね。
高温に強いオイルでなければ、競技に使えないのでしょうか。いいえ、スーパー耐久で走っているGRヤリスのオイル粘度も市販車両と大差無い筈です。例え変えていても常識の範囲内でしょう。
粘度の高い・・・高品質で価格も高いオイルを使わなくても、(もちろん基準となる品質は必要ですが)オイル交換の頻度を増やせば大差は無い訳です。もしくは、クーリングラップなどをまめに実施することでしょうか。
オイルは高ければ良いものもありますが、然程変わらないものもあります。
逆に安いオイルはそれなりの品質が多いですが、規格や使い方を正しく理解して守れば、高いオイル並みに車を保持する事が出来ます。
繰り返しますが、旧車などはエンジンのコンディション次第なので
必ずしもこの条件に当てはまる訳ではありません。
全ては、あなたの胸三寸です。
高いお金を出して買った、大事な車です。
活かすも壊すも自分次第。
Posted at 2020/10/12 00:23:37 | |
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