
F1ドライバの安定度を、①完走率 ②入賞率 ③表彰台率 ④優勝率で考えてみるとしましょう。
2006年シーズンのアロンソ、第7戦モナコを終えて
①完走率:100% ②入賞率:100% ③表彰台率:100% ④優勝率:57%
まさに圧倒的、これ以上何を望みましょう。
2005年初戦まで遡ってみても、
①完走率:92% ②入賞率:88% ③表彰台率:84% ④優勝率:44% (タイヤ問題により“自主的”リタイアのアメリカGPを含む)
と、文句のつけようが無い数字。優勝率の44%という数字、一時期のセナやマンセルと比較すると大した事無いじゃん、と思う人が居るかも知れませんが、道理が判っている人はこの裏に隠されたアロンソの“シーズン構成力”をご存知のはず。
もしも今シーズン、アロンソがマクラーレンをドライブしていたら、シーズンはアロンソとミハエルの一騎打ちとなっていたかもしれません。
一流のドライバが乗れば、1.5流のマシンでも1流のマシンに変身してしまう。やはりF1はドライバが主役なのです。
因みに同期間のチームメイト、フィジケラの戦績は
①完走率:72% ②入賞率:64% ③表彰台率:16% ④優勝率:8%
表彰台率/優勝率の圧倒的な差がドライバ・ポテンシャルの表れだと見て良いでしょう。速く強く、ミスの無いドライバと言われるフィジケラをもってしても全く歯が立たないアロンソの凄さを感じ取れる数字です。
前回のCSで森脇さんがいみじくも仰っていましたが、アロンソはその若さに似合わず冷静にシーズンを読みきったレース展開が出来るレーサーです。優勝が難しいと判断した時点で、2位ならばシーズンの残りの展開が自分にとってどうなるかを瞬時に判断し、自らを律する事が出来るドライバーです。
文章にすることは簡単ですが、これが出来るドライバーが如何に少ないかは詳しい人ほどご理解頂ける筈。
例え残りのシーズンでフェラーリ/シューマッハがルノーを上回るポテンシャルを見せ付けても、チャンピオンはアロンソで決定だと先回私が断じたのも、この“シーズン構成力”にあります。
ミハエルは逆転するためにはリスクを負わねばなりませんが、アロンソは冷静に計算して、自分に出来る95%の事だけをすれば向こうからチャンピオンが転がり込んでくるのです。
CG誌今月号で、稀代の名F1デザイナーのゴードン・マーレイが彼と一緒に戦ったF1レーサーたちをこう評価しています。
“「セナはファンジオやジム・クラークに匹敵する天才でした。とにかくミスをしなかった。その集中力は恐るべきものでした。」では、7度のワールド・チャンピオンに輝いたミハエル・シューマッハは?「あれほどたくさんのミスを犯すドライバは評価できません。せいぜいプロスト・クラスですよ(!)」”
マーレイにアロンソを評価させたらどうなるのか、私は非常に興味があります。きっと10年後の評価はセナやクラークと並び称されているのではないかと思えてなりません。
Posted at 2006/06/04 00:18:30 | |
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