梅雨明けから1週間、ホントに暑い日が続いてますよね~。
その暑い日の休日(昨日の日曜日)、シリーズとして続けていた、エンジンオイルの第4話を書いてみました。
今回はオイルメーカー(ブランド)のそれぞれの特徴を簡単にまとめてみたのですが、個人の主観はできるだけ除き、調査して判った事実や巷で言われていることを客観的に書くようにしてみました。
(ちなみに、これまでのものはこちらです。→
-その1- -その2- -その3- )
では、早速読んでいただきたいのですが、毎度のことながらにわか調査で書いてますので、ご意見・ご指摘大歓迎です。(笑)
■カストロール
イギリスが発祥の地ですが、技術的に大きく飛躍したのはUSカストロールが力をつけてから。現在はBP社と合併しBPカストロールとなっています。
特徴は高度水素分解精製された高粘度指数鉱物油(VHVI)を開発し、鉱物油ベースの高性能化学合成油を一般に広めたメーカーで、エンジン保護性能を第一に考える姿勢は、多くの欧州の自動車メーカーからアプルーバル認定(純正指定)を受けています。
マーケットとしては欧州を重視する傾向にあり、現在の主力製品であるEDGEシリーズは同じ粘度でも欧州向けと日本向けで仕様が若干違うと言われているようです。
■モービル1
アメリカ発祥の老舗。長く航空機のエンジンオイルの開発を行っており、現在でもその技術を活かした製品を市販しています。現在はエクソンと合併しエクソンモービル社となっているのですが、エンジンオイルのブランドとしてモービル1の名称は残しています。
特徴は数少ないPAOを精製できる技術を持った企業であり、比較的リーズナブルな価格で第4種のPAOベースの化学合成油を市販しているブランドとなります。
PAOだけで製造されているRPについては、エステル系を除くと潤滑・保護・ライフ・コストにおいて基本性能が秀逸で、カストロールと同じく多くの純正指定を受けています。
■フックス
ドイツの潤滑剤トップメーカー。独自のMC化学合成方式を用い、天然の鉱物性潤滑油を特殊な触媒を使用して350℃以上、300気圧の高温・高圧下で分子変換させたパラフィン系のベースオイルを使用しています。(MCはVHVIと似た製法のようです。)
特徴としては、粘度指数が高めであることとオイルの蒸発減量が少ないことが挙げられます。(通常、パラフィン系はオイル蒸発量が多めになります。)
このブランドも多くの純正指定を受けており安心してロングライフで使えると言われていますが、コスト面ではやや高めに位置しています。
■モチュール
発祥はアメリカですが現在はフランスに拠点を置き、世界で初めて自動車用化学合成オイルを発売したメーカー。
特徴としては、従来最先端とされてきたコンプレックス・エステルをしのぐベースオイル「ダブル・エステル」を開発し市販化。エステルの特性である分子吸着の特性を活かし、せん断による粘度低下ゼロを実現しています。
(注:モチュールのオイルは全てダブル・エステルではありません。エステルを全く使っていないものやコンプレックス・エステルのものもあります。)
エステル系オイルの代表格であり、動力性能の向上(吹けあがり等)を狙う場合に必ず候補に挙がってくるブランドです。
こちらもコスト面では高い部類に入るのではないでしょうか。
■ニューテック
これまでの大きなメーカーと違い、フランスのオイルメーカーレース部門のゼネラルマネージャーと数人のエンジニアが独立し創設された歴史の新しいメーカーです。
特徴としては、コストにとらわれない素材の選定や複雑な製造工程を持つなど、汎用的なオイルよりも高性能オイルの開発に力を入れています。エステル系をベースとしており、各種添加剤に依存しない純粋な高性能オイルとして知られているのですが、コスト面では高い部類に入ります。
■スノコ
米国モータースポーツ界では馴染みの深いブランドですが、もともと冷蔵庫やエアコンなどの冷凍機油を中心に開発していたメーカーです。
特徴は、ノンポリマーのエステルベースのオイルを製造していますが、国内に自社工場持っている唯一のメーカーとなります。(日本の国内製品でもエステル系のオイルは多く販売されていますが、ほとんどのメーカーはブレンドだけを行うブレンダーです。)
元々エステルを多用する冷凍機油を製造しているメーカーですので技術面でもコストパフォーマンス面でも優れたメーカーと言われています。
■BP
いわずと知れたイギリスに本拠を置くエネルギー関連企業。 スーパーメジャーと呼ばれる6社の内の1社です。カストロールと合併したためか、日本国内ではあまりBPブランドでのエンジンオイルはメジャーではありません。(カストロールに比べて。)
特徴は、バービスシリーズが看板ブランドとなり粘度種類は豊富ではないのですが、エンジン内に発生した汚れを微粒子に分散して油中に取り込み金属への再付着を防ぐ技術に定評があります。コスト面でも比較的安価に入手できるのですが、主成分はPAOなのかVHVIなのか調べきれてません。
■A.S.H
東京都墨田区に本社を置く国内企業。
100%エステル化学合成油を使用したオイルが有名で、添加剤(特にポリマー)の使用に関しては慎重な姿勢のようです。
エステル系+ノンポリマーということで、BMWユーザーでも使用される方が増えてきており、評価のほうも概ね良いものが多いと言えるのではないでしょうか。
ただし、長期使用に関する評価が少ないため(評価が悪いのではなく、製品自体が古くからあるわけではないので長期使用の評価が少ない。)総合評価は難しいと考えます。
■トータル
トータルは世界第5位メジャーに数えられる総合石油企業です。フランスが拠点になりますが、中東、アフリカ、北海など石油化学産業のリーディングカンパニーとして有名です。
潤滑油の分野でもクォーツシリーズの評判が高く、欧州の各自動車メーカーの純正指定も受けており欧州でのシェアは非常に高いようです。日本国内での知名度はそれほど高くなく、主成分の情報も非常に少なくて調べきれてません。
そのほかに、アジップ・エルフ・ワコーズ・ガルフなど、沢山のブランドが存在するのですが、これ以上の調査は物理的に難しいと判断しています。(要するに根気が続かないということで・・・。笑)
で、私なりの結論ですが、現時点ではエステル系を使用する理由が見出せていません。
エステル系は潤滑作用に関して言うと群を抜いていると思います。エステルを使用すれば更に軽やかな吹けあがりを手に入れ、ブリクションロスが軽減した分だけ実パワーも向上するでしょう。
しかし、私は現時点でB3Sに対してこれらの面で不満があるわけではありません。
継続的に掛かる費用、実際に交換できる環境、長年使い続けることなどを総合的に考えて、エステル系の選択はしないと思います。
長期にわたり連載してきた「オイルの話シリーズ」ですが、今回を持って一旦終了とさせていただきます。
素人のにわか調査を元に書いてますので、判りにくい文面や誤解を与えてしまいかねない部分もあったかもしれません。
そんな中、最後まで読んでいただいた方々には感謝申し上げます。
これまでまとめたことが少しでも皆さんの参考なれば幸いです。
えっ?
んで、アンタは何にするんだって?
え~っと、はい、あの~、3つぐらいにまでは絞ってるのですが・・・、まだ決めきれてません・・・。