旅記録の途中ですが閑話休題
ディーゼルの試乗車があるのでよろしければ ...
電話口に弾む二代目担当氏の明るい声は
(新しいクルマの)勉強会を終えて
(新しいクルマに)これまでにない魅力が宿っていることを知り
(新しいクルマは)十分な商品力を持ってる、イケるぞこれ!と
確信したビジネスマンのそれであり、
ネギを背負ったカモを探す営業マンのそれであり、
同意者を求める若者のそれでもあった。
残念ながら。ネギを背負うほどの財力を持たぬカモなので
熱心なビジネスマンがお勧めするであろう新商品に対し
判を押すどころか見積すら要らんのだけれど。
情熱的な若者の意見に同意することくらいのことはできるかもしれない。そんなわけで。
バイエルンのエンジン屋がプライドをかけて開発した(のであろう)DIESEL MINI に乗って
下町を走ったんである。
TEST DRIVE !! されたい MINI Crossover は新色のミッドナイトグレー
帳の降りた湾岸エリアを想わせるメタリックな質感が艶めかしい

試乗の前に。
(珍しくも)てメカニカルな解説を受ける。
JCW 試乗の時でさえも開けることのなかった
ボンネットフードの中には巨大なエンジンが居座り
これはもうMINI のエンジンルームではない ... 感が
四方隅々まで詰まっているんであった。
もともと情緒に欠ける MINI Engine の外観だけど
ディーゼル仕様は実用一点張りの素っ気なさで
色気も艶気も娑婆気もないのでありました。
せめて。カムカバーをグリーンにするとかさぁ ...
二代目担当氏が熱弁を奮うのはエンジン自体ではなくその遮音対策にあった。
入念に施された遮音材により車内での静粛性に問題なし!とのことだけど ...
二代目担当氏の始動でバックヤードから動き出した DIESEL MINI は確かに
ディーゼル特有のノック音を囁いているが、その音量はまったくもって小さい。
直噴化されたガソリンエンジンが発するインジェクターの雑音が少し大きくなった程度
とも言えなくはない感じである。
運転席を譲る二代目担当氏に代わって車内の人となる。
音も振動もない平和なキャビンスペースに、21世紀のディーゼルを感嘆す。
例の遮音材、その効果は絶大なものと思えた。
アクセルを少し踏む。回転計の針が僅かに動く。大きな MINI は静かに速度を上げる。
John Cooper の神経質な加速とは異なる大らかな加速に頬も緩む。
前方が開けた。アクセルを強く踏む。回転計のスケールに 6,000rpm 以上の余白はない。
大きな MINI は、大海原を突き進むクルーザーのようにゆったりと速度を増す。
John Cooper の爆発的な加速力には及ばぬが、それなりに速い。うむむ?
80 の文字が光ってるぞ、速度表示窓に 
それなりに、ではなくて。十分に速い!と訂正を入れる。
なんでしょう、この速度感のなさは

気付けば速度が乗ってるこの感じは
幅も長さも高さも大きくドライバー目線も一段高い
Crossover だから、と言えるけれど。やはり
低回転から力のあるディーゼルエンジンが演出
するドライブフィーリングではなかろうか、と。
ガソリン車に乗る自分は思ったのでした。
← この綺麗な排気管をご覧ください
二代目担当氏がほれぼれとする排気管に
ディーゼルの痕跡はない。
黒いススはもはや、20世紀遺産なのだ
そんな意味で。
日本導入のディーゼル搭載車を大きな MINI(Crossover、Paceman)としたのは
インポーターの勘所があたったような気がするんであり。
大きな MINI の包容力とディーゼルエンジンのゆとりは絶妙のバランスを成してるように
思えるからである。
スエズ動乱に端を発した石油危機が時代の空気を変えた1950年代末期
いかにもガソリンを必要としなそうな小さなクルマが誕生し、人々の共感を得る。
その ADO15 を生み出したアレック・イシゴニスが今の世に生きておられたならば。
軽油を燃料とする高効率なエンジンを得た MINI に拍手を贈るんではなかろうか ...
そんな想いを抱いた DIESEL MINI の試乗でありました。
Posted at 2014/09/22 10:52:01 | |
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