新型ディーゼルエンジンを搭載し、エレガントなこの車の性格によく似合っていると思います。
ディーゼルエンジンは高回転を使わず、低回転で粛々と速度を上げる走りをしますが、この4気筒の新型ディーゼルは太い低速トルクで、この重いボディをスルスルと加速させます。回転を上げない分、エンジンノイズも大きくならないし、排気音、吸気音も大きくなりません。ディーゼルノックだけが若干響きますが、窓を閉めた状態ではほとんど聞こえません。4気筒であるかどうかは、振動やノイズからはわかりにくいです。少なくともガソリンの4気筒とは全く違う、なめらかなエンジンです。1500回転くらいからの加速でも、エコモードでは極力シフトダウンをしませんので、よりなめらかな加速となります。そんな状況でもトルクがありますので、結構な加速をしてくれます。高速での追い越し加速もまた同じで、回転を上げなくてもかなりなめらかに動いてくれます。
その高速道路では、マイナーチェンジで標準装備となったレーダーセーフティパッケージなどで、ほぼ自動運転をしてくれます。前車に追従だけでなく、レーンキープもします。これがまた自然で、あたかも自分でステアリングを動かしているかのような錯覚に陥るような動きをします。つまりほとんどその機能を意識せずに高速走行を続けてくれるので、疲労軽減は圧倒的です。
またこれも標準装備のアダプティブハイビームアシストプラス。これにより、ヘッドライトについては全く何も考えなくて良くなりました。ON、OFFは以前から自動でしたが、そこに照射範囲まで自動で選択してくれます。しかもハイビーム、ロービームではなく、前方の状況によって複雑に照射範囲を制御しているのが見ていてわかります。とくに真っ暗なところでの照射はすばらしくきれいで、驚かされます。
エアサスはセットオプションですが非常に安価になりましたので必須です。高級車というには少々しっかり目の硬さですが、それでも十分しっとりした柔らかさではあります。ドアを開けて車高が上がり、駐車してロックすると車高が下がります。駐車中はちょい悪な車になります。走行中はさらに車高を上げることができ、段差を超えるときなどは便利です。
内装はマイナーチェンジで格段に質が上がりました。特にコンソールに無造作にあいていたドリンクホルダーにフタがついたのが、劇的な変化です。こんなことで質感がこんなに違うかと驚きます。後席が定員2名なのが、間違っても3名になってはいけないと思っていましたが、やはりここは維持されました。後席が2名がけというのは贅沢でいいです。フロントシートは背もたれの高さが短めですが、これはデザイン上仕方がないのでしょう。少し背もたれを寝かせたポジションがベストです。見切りも良く、車両感覚もつかみやすい、路面状況も見やすいと、セダンの中では抜群の運転のしやすさです。またボディサイズは少々大きめなのですが、実際に乗り込むと全くその大きさを感じさせません。というのも、ドアミラーの出っ張りが少ないからでしょう。狭い道で電柱にドアミラーをこすらないか気にすることもなく、スイスイ走れます。
トランクは決して広くないですが、深すぎないので使いやすいです。開けるときはバネの力でスッと開き、閉めるときだけ電動というリッドも、品の良い動きをします。ドアは重すぎず、大きく開くので乗り降りもしやすいです。サッシュレスなので上下方向に余裕は少ないですが、それでも頭をぶつけないよう気にするほどでもありません。こんなドアなのに、ボディの剛性感は非常に高く、安心できます。ステアリングは相変わらす大きく切れますので、本当に小型車のような転回が出来ます。ここは昔から変わっていません。エンジンが小さいので、V8大排気量を積んだ車のような鈍重さはありません。高級感を損ねない程度に、軽快な走りをします。実に気持ちがいいハンドリングをしますので、ますます大きさを感じません。
このボディに大排気量で暴力的な加速というのもいいと思いますが、そもそも大排気量でも粛々と走らせるのが格好いいところだと思いますので、それからするとこのエンジンはとても良い組合せだと思います。そしてさらに排気ガスはきれいで二酸化炭素も少なく、燃費も良いというわけで、ベストな組み合わせのひとつです。一番下のグレードですが、何も我慢させられる部分はありません。積極的に選べるグレードだと思います。