
USでのWRX STI、EJ257の車で今最も人気のあるタービンがGTX3076Rだと思います。タービンキットも複数のメーカーから発売されています。
日本国内のチューニングパーツ開発メーカーはとても対応が遅いです。WRX STIは日本での販売台数がとても少なく、特にEJ257のA-LineはWRX STIの総販売台数の半分ほどしか売れていないとされています。
2.5Lで排気量のあるEJ257用のビッグタービンキットは日本国内メーカーから発売されるのは望み薄です。出たとしてもいまだに10年前に開発されたタービンが採用されるのが国内メーカーの対応。
EJ257を選んだ以上、タービンキットを探すなら私は海外製で探します。
ちなみにこのタービンはEJ257以外ではRB26直6とFD3Sのロータリー13Bでの採用が多いように思われます。
まずは現在最も人気があり、最も情報があり、最も売れている上に最新のGTX3076Rについてです。
Perrinのオフィシャルブログから、GTX3076Rタービンについての記事があります。
ブログは2本立て
Garrett GTX Turbo Comparo Part 1 <<オリジナル英語記事
Garrett GTX Turbo Comparo Part 2 <<オリジナル英語記事
■パート1でタービン本体の比較

ハウジングのデザインはGTとGTXでほとんど同様。GTXはホイールが微妙に大きいので、開口部も少し大きくなっています。内径が大きくなっているだけでは無く、ブレードまでのインレットのカーブの角度も変わっています。

GTXは「New Aero」スタイルのホイールに変わりましたが、羽の先端が延長された事については発表していません。たぶんこれはボルグワーナー(KKK)の特許?のせいだと思われます。これはとても単純な手法ですが、よりエアフローを得る事ができます。
★GTシリーズとGTXシリーズのホイール比較。
11枚全ての羽がフルブレードになっています。上まで11枚全て伸びています。
同時に赤いライン、まっすぐ切れ上がっていたエッジ部分が外に向かって延長されています。この広さの分、風量が増えるわけです。
一般的にはフルブレードはピークブーストが得られる代償として低回転でのブーストの立ち上がりが犠牲になると言われています。
GTX3076RはGT3076Rのほぼ上位互換になっているとされていますが、ホイールの形状がこれほど異なっていると、実際に回してみないと真相は分かりません。
以降、続きのブログ記事では実際にWRX STIにGT3076RとGTX3076Rを搭載してダイナで性能比較を行っています。
Garrett GTX Turbo Comparo Part 2
テストは全てダイナパック。係数無しで1.0。
テスト車両は08のSTI
等長エキマニ Perrin
ターボキット Perrin (GT3076R、GTX3076R共にPerrinのキット)
前置きインタークーラー Perrin
触媒とフロントパイプ Perrin
メタノールインジェクションキット Perrin
メタノールインジェクションについては以前
日本で使われない手法で記事にしました
3ポートソレノイド Perrin
850ccインジェクター Deatchwerks
255lph燃料ポンプ Walbro
エンジン内部は
鍛造コンロッド Cosworth
鍛造ピストン Cosworth
ベアリング Cosworth
スタッド ARP
ヘッド純正、カム純正、ヘッドガスケット純正、TGV純正で殺してもいない状態
燃料は92オクタン、水/メタノールの混合比率は50/50

これがPWI-2、メタノールインジェクションキットです。
インマニ内に霧化した水とエタノールを噴射して吸気温度を劇的に下げます。また、メタノールがオクタン値を上昇させてノッキングを防止します。
今回のテストでの噴射量設定は1分800cc。
ECUはPerrinのいつものECUTEKでは無く、CosworthのスタンドアローンECU、Cosworth ECPro。
ダイナパックでの計測は4速固定で2000rpmから6800rpmまで。
設定時間は4秒で、ダイナパックが回り始める前に2000rpmを4秒維持。その前に2~3秒は100%フルスロットル。ファンは28mph(Perrinの風力計で測定)で、インタークーラーに風向きを固定。実走と比較して完全なエアフローをインタークーラーに当てる事は不可能だけれど、繰り返しのテスト、正確な比較にはこれで良いと考える。
全ての計測はECUがインテーク温度30度C表示で開始。ダイナの計測気温は58-60F。クーラント温度は全テスト通じて90度C。
■Garrett GT と GTXの比較
タービンはGT3076R、.82arハウジングとGTX3076R、.82arハウジングでの比較。
タービンの交換は1時間以内の作業時間で行われた(早い!)
■1.2barブースト
等長エキマニの温度で、温かい場合と冷えた場合とで計測。ブーストは1.2bar(17.4psi)設定。
GTXはGTよりもブーストの立ち上がりが50rpm遅れるただしこれは人間は気づけないレベル。GTXはGTよりも15hpパワーが出て、トータルで370hpに到達。
ここから先のテストはブースト設定を1.5bar、1.7barと上げていって続いています。
Garrett GTX Turbo Comparo Part 2全ての記事はここで読めます。
メタノールインジェクションを使って1.2barで370hp(実測)ですから、メタノール無し、日本のハイオクガソリンでは320~330hp程度になりそうです。ブースト1.4barでハイオクガソリンのみ、実測350馬力を安定で出す。これが純正ATで運用する場合は美味しいラインになると思われます。この用途ではGTX3076Rは本当に素晴らしいタービンだと思います。
私もタービンはEJ257との組み合わせでこのGTX3076Rにしようと決めていました。お店にも話して、補器類含めてこの年末に注文予定でした……。クリスマスセールで10%OFFになってましたし。
しかし!
ここで大きなライバルが出てきました。
Garrettの最新中の最新タービン、半年前に出たGTXの28シリーズから
GTX2867R
これです。

名前のとうり、主に2Lがターゲットの小径のタービンです。羽もGTX3076Rの11枚フルブレードから10枚へと枚数が減少。ですが、下がものすごい低回転からかかるのです。そして上も実測350馬力、1.4barほどまでなら十分。
EJ257で下も狙えるタービンとして大きな注目を集めています。
ビッグタービンへの愛がとても強いUSでも、下が伸びるという事でこのタービンを押す方々が出てきました。
これ、データ見れば見るほど良いタービンなのです。
次回以降に続きます。
Posted at 2012/12/26 14:31:31 | |
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