ぶらぶら不定期日記〜動かないクルマ

ぶらぶらで、シトロエンBXは最高に癒やされるクルマだと思います。



不思議なことにこのクルマ、調子が悪い方が愛される。
出来れば壊れて動かない方がいい。
その方が高性能ないいクルマに思えてくる。
V12もフラット・シックスも280馬力もターボもハイブリッドも低燃費もディーゼルもアイドリングストップも目じゃない。
別にエンジンなんかなくても、もうどうでもいい。

オリジナルの赤いボディカラーのペイントなど、太陽に焼かれてもうパネルごとに色が違って赤からピンクのグラデーションになっている方が芸術的で美しい。フランスのエスプリを感じる。ボンネットやルーフなどはほとんどクリアがはげちょろけている方が自然だ。工場から出た新車時からそうなっていてほしいくらいだ。

そんなシトロエンBXに癒やされる。
仕事から疲れて帰ってきたら、真っ先に『ただいま』と声をかける。『今日はどうしていた？』と休日ごとにていねいに洗車しているボディを撫でまわす。

妻子とは一言も口をきかないままに晩飯を食べて風呂に入ってから、ビール片手にパジャマ姿でシトロエンに乗り込む。室内のプラスチックが劣化した特有の匂いを嗅いで、『ああ、これだよ』と瞳を閉じてウットリする。室内の臭さがいい。そしてふかふかのシートでそのままうたた寝をしてしまう。その幸せ。

壊れてナンバーが外されてからも、オーナーの書斎として、庭の片隅で第二のカーライフを紡ぎ出せる、そんな希有なクルマがシトロエンBXだ。



アニメ『団地ともお』より


子供の頃は団地の児童公園のはじっこにポンコツスポーツカーが捨ててあって、よく運転席に座ってレースごっこをして遊んだものです。
青いボディに黒い幌のツーシーターだった。
今思えば、あれはホンダS800だったような気がする。
あれ以来、オープンカーが好きになった。

ホンダS800とS800クーペ