止まるブレーキングhttp://bm-zone.com/dorateku/step2/early_pedal.html
初期踏力のポイントフロントのブレーキは、なぜ大きい?で説明しましたように、ブレーキの容量は、荷重移動をあらかじめ想定して、設定されています。ということは、初期のブレーキで大切なことは、いかに速くブレーキの配分が適正化する前荷重の状態を作れるかどうかということになります。
では、上手に止める(減速する)フルブレーキの踏み方について説明しましょう。
上手なフルブレーキの踏み方は、基本的に踏み始めで「素早く・強く」踏むのですが、スイッチのように“ガツン”と踏むのではなく、
ある程度“ギュッ”と踏んでから踏力を合わせて行くのが正しい踏み方です。
イメージとしては、荷重移動後の最大踏力を10と仮定した場合、8ぐらいまでイッキに踏んで、ロック寸前の9.99まで“スゥーッ”と踏力を上げていく感じです。つまり、冒頭でも言ったように、これは荷重との密接な関連があり、“ギュッ”と踏むことで素早く前傾姿勢にして前荷重状態をつくり、その姿勢変化の度合いが増えるに従って、踏力を上げていくわけです。
この踏み方が、早くブレーキの配分が適正化する前荷重の状態の作り方です。
もし、このように前荷重状態になるにつれて踏力を強めていった結果、荷重移動終了後にタイヤがロックするような場合は、タイヤの限界をブレーキ踏力が超えてしまった証拠です。
また、フルブレーキがうまく踏めない人は、荷重移動をする前に、「ガツン」とブレーキを踏んでタイヤをロックさせてしまう(フロントタイヤに荷重が乗り切っていない状態で100%のブレーキを行ってしまっているから)か、もしくは、最初からジワっと、徐々にしかブレーキが踏めない人のどちらかです。決して、上手いブレーキングとは、踏み込んだ奥での踏力コントロールが絶妙かどうかではなく、いかに速く、ロックさせずに、フロントに荷重を移すことができるかで決まります。
止まるブレーキング
最大踏力時のコントロール初期踏力のポイントでは、ロック寸前の領域まで、いかに速くもっていけるかがテーマでした。そして、荷重がフロントに移りきった状態では、荷重によるタイヤのグリップと、ブレーキの前後バランスがとれて、一番ブレーキが効く状況となりますので、ここでは、ロックさせることなく、いかにそのロック寸前の状態をキープできるかが目標です。
これもブレーキ踏力のデータロガーをグラフ化した線形をみるとわかりやすいと思います。
グラフのように、ブレーキの踏みはじめから、踏力はどんどん強くなっていきますが、フロントへ荷重が完全に移りきるあたりから、踏力はキープ状態になります。
この踏力が“横へ走る”(踏力が強くならずキープされる)状況は、文章で書くと、とても簡単のように感じますが、じつはかなり難しいテクニックになります。
なぜなら、最大踏力になるまでの時間はスゴク短く、それまで、どんどん踏力が強くなっているわけですから、その流れを打ち切って、踏力をキープするには、かなりの熟練が必要です。
このときの失敗例としては、どんどん踏力が強くなる流れを打ち消せず、グリップの限界以上の踏力をかけてしまいロックしてしまう場合と、踏力が強くなる流れは、打ち消せるが、キープではなく踏力が緩んでしまう場合です。
グラフで説明すると、できるだけ速く、かつフロントタイヤがロックしない状況で踏力を一気に立ち上げ、最大踏力(これ以上強く踏んだらロックする踏力)近辺でグラフを折り、踏力が“横へ走る”状況を作れれば、かなりのブレーキングです。これができれば、「止まるための」ブレーキングは、OKです。
また、荷重が完全に移りきった後、踏力を上げても、ロックしない場合は、初期踏力の立ち上がりが、甘いと言うことになります。
曲がるブレーキング
曲がるためのブレーキングとは!?最大踏力を使って「短い区間で減速する」ことを目的とした止まるブレーキが終わると、コーナーを曲がるためにハンドルを切りはじめますが、その少し手前の、ブレーキをリリースする部分からが「曲がるためのブレーキング」となります。
「曲がるためのブレーキング」最大のポイントは、今までタテ方向(ブレーキング)に使用していたタイヤのグリップを、いかにスムーズにヨコ方向(コーナリング)のグリップに移行して、アンダーステアを出さずに曲がること(曲げること)です。いわゆる、タイヤのタテとヨコのグリップをオーバーラップさせるテクニックです。
では、まずイメージをつかんでもらうために、下記グラフを見てください。
曲がるブレーキングは、止まるブレーキングを説明する際に使用した踏力グラフの後半部分になります。
①の部分では、ロータとパッドの温度が上昇し、摩擦μが高くなったことに合わせるため、少しブレーキの踏力が緩んでいます。しかし、ブレーキの効きとしては、ロック寸前の状態を維持しています。
その後、②の部分で、ブレーキの本格的なリリースが始まります。このリリースにより、ステアリングを切り始めるために必要な、タイヤのヨコ方向のグリップを確保するための準備を開始するのです。
このときの失敗例としては、ブレーキのリリースと同時にステアリングを切り始めてしまうことです。なぜなら、ブレーキを緩めて、タテグリップの使用量を減らしたと同時に、ヨコのグリップは、すぐに立ち上がるのではなく、そこには「ラグ」が発生するからです。この「ラグ」を計算に入れないと、かんたんにアンダーステアとなってしまいますので、リリースからワンテンポおいて、ステアリングを切りはじめます。
③の部分では、ブレーキのリリース量にあわせて、ステリングを切り込んでいきます。そして、クリッピングポイントでブレーキは完全にリリースされ、ステアリング舵角は最大となります。ここまでが、曲がるためのブレーキの正しい方法です。
曲がるブレーキング
タイヤのタテとヨコの関係当然ですが、タイヤのグリップ力には限界があります。フルブレーキの状態にあるとき、タイヤのグリップ力すべてを止まるため(タテのグリップ)に使っているため、ステアリングを切っても進行方向は変わりません。アンダーステアを出さずにターンインを開始するためには、ブレーキを戻してヨコ方向に使えるグリップ力を確保してから、ステアリング操作を行う必要があります。
このように減速を伴うコーナーの進入では、ブレーキ操作による「タテのグリップ」と、ステアリング操作による「ヨコのグリップ」を、いかにタイヤの限界を超えないようにしながらオーバーラップしていくかがポイントとなります。
ですので、コーナリング中におけるグリップ状態の理想形は、コーナー進入区間のどの部分を輪切りにしても、タイヤの持つグリップ力を100%使い切っていること = 速いコーナリングの実現という図式になります。
そのためには、タイヤのタテとヨコのグリップ関係をきちんと理解しながらコントロールする必要があります。その指標となるのが、『タテ + ヨコ = 10までの法則』です。
『タテ + ヨコ = 10までの法則』とは、ステアリングを切ってコーナーを曲がっていくために、ブレーキを戻してタテ方向に使っていたグリップ配分をヨコ方向に移行したり、逆にブレーキングで短い距離で止まるためには、ステアリングを戻して、ヨコに使っていたグリップをタテに使うためのグリップに移行して、常にタイヤの限界を超えない走りを目指す方法です。
もう少し具体的に説明しましょう。
たとえば筑波サーキットの1コーナーのような、フルブレーキングを伴う右コーナーを想像してください。自分が装着しているタイヤがグリップする限界を10と仮定します。
まずは、止まるブレーキでタテのグリップのみ10を使って、短い区間で減速します。そこからコーナーを曲がるためにブレーキを9・8・7・・・・と少しずつ戻していきます。そして、曲がるブレーキで説明したタイムラグを計算したのち、さきほどブレーキを戻してヨコに使えるグリップを確保したぶんだけ、コーナーのRに従って1・2・3・・・・・とステアリングを右に切る量を徐々に増やしていきます。結果、その合計が常に10を超えないように、タテとヨコをオーバーラップするのが、『タテ + ヨコ = 10までの法則』の考え方なのです。
曲がるブレーキングを説明するとき、よく「ブレーキを残す」と言いますよね。正しくは、「クリッピングポイントまでブレーキを踏んで前荷重を残したまま、曲がる方向にステアリングを切る」ということです。『タテ + ヨコ = 10までの法則』でグリップの関係をコントロールできると、前荷重の曲がりやすい状況を作れ、アレッと驚くぐらいクルマはよく曲がるようになります。まさに魔法のグリップです。
曲がるブレーキングの目的は、タイヤのタテとヨコのグリップをうまくミックスさせて、ハイスピードでも、アンダーステアを出さずに曲がることです。そして、これができると、同時に有効な荷重移動も発生して、想像以上に速いコーナリングが実現するのです。ここでいう、有効な荷重移動とは、コーナリングに重要なフロントタイヤをグリップさせ、反対に、曲がることへの妨げになる、イン側リアタイヤのグリップを下げることで、よりスムーズに、そしてハイスピードなコーナリングが可能となるということです。
ただし、10のグリップ力をすべて使うことは、タイヤがロックするかしないかの紙一重の部分で、ちょっとリスキーです。イメージ的には、9.9を目指すように努力するといいでしょう。
また、ステアリング、ブレーキいずれにしても、『タテ + ヨコ = 10までの法則』を成立させるには、各操作は唐突ではなく、事前にしっかり準備し「ゆっくり」「ゆったり」が原則となります。ハンドルを突然ギュっと切り込んだり、ブレーキをスパっと離したりする操作は、瞬間的にグリップの限界を超えてしまいますのでNGです。
曲がるブレーキング
ブレーキ踏力を抜くポイント「タテ + ヨコ = 10までの法則」のもと、荷重によるタイヤの最大限のグリップ力を引き出すためには、ブレーキ踏力の抜き方がとても重要になります。
抜くポイントは、カク、カク、カクと段階的に戻すのではなく、ジワァ~と無段階的に戻すことです。そういう意味では止まるブレーキ操作の秘訣であった「素早く・強く」踏むとは対照的な操作になります。ブレーキのリリースコントロールは、かなりデリケートな操作が要求されるのです。
さらに、ハイレベルなブレーキのリリースコントロールを行うためには、ブレーキングからコーナリングへ移行する“つなぎ”の部分で、いかに無段階操作ができるかがポイントとなります。
しかし、いくらジワっと戻すといっても、ゆっくり時間をかけて戻すわけではありません。この、時間的な制約があるなかでは、特に、リリースの初期部分が難しく、頭のなかではわかっていても、ついつい段階的な操作になりがちです。
ところが、かなり難しいテクニックには変わりないのですが、じつはある動作をキッカケとして使うことで、意外や意外、精度が高く、かつ確実性にも優れた操作が可能となるのです。
その動作とは、足の指を広げることです。たとえば、家の壁でも柱でもかまわないので、フルブレーキを踏むように右足の裏で強く踏んでみてください。その状態から、足の指だけを広げてみましょう。すると、強く踏んでいる右足の踏力が“フゥッ”と弱まるのを感じるハズです。
つまり、実際のブレーキリリースの順番として、右足の指を広げる⇒ステアリングを切る量にあわせて、膝を曲げてブレーキを戻していくようにするのです。この足の指を広げる方法をつかって、ブレーキリリースの初期さえ精度の高いコントロールができれば、それ以降は「タテ + ヨコ = 10までの法則」に従って操作するだけで、ほぼカンペキな曲がるブレーキングができるようになります。
しかし、この部分で、踏力が徐々に緩んでいるのにも関わらず、ブレーキの効きが弱まらないことがあります。それは、リリースコントロール性能の悪い、張り付き感の強いブレーキパッドを装着した場合です。
こうなると、ドライバーは、なすすべがなく、張り付いたような強いブレーキのまま、ハンドルを切り、有効なタイヤのタテとヨコの関係も使えず、アンダーステアを誘発するか、一気にブレーキ踏力を弱めて、上手な荷重移動も行えないまま、コーナーへオーバースピードで進入するかしかありません。
このように、ブレーキリリースの始まりの部分では、ドラテクとブレーキパッドのリリースコントロール性能の両面とも精度が高いことがとても重要です。
曲がるブレーキング
ブレーキングで飛び込んだ時のポイントラップタイムの短縮を目指し、いつもより、少し奥までブレーキングの開始位置を遅らせた場合、注意しなければならないことがあります。それは、すべての動作をいつもよりワンテンポ早く開始する必要があるということです。
たとえば、バッティングセンターでボールを打つ場合、80km/hのボールを打つのと、120km/hのボールを打つ場合では、スイングを開始するタイミングが違ってきますよね?
80km/hでは、マシーンがボールを投げるのを確認してからスイングを開始しても、タイミングは合いますが、120km/hでは、マシーンがボールを投げるか投げないかで、スイングを開始しないと、振り遅れてしまいます。
これは、サーキットでも同じで、通常より奥までブレーキで飛び込むと、減速中の同じ位置でもスピードは高くなっていますので、すべての操作は早めに開始しなくては、コーナーに対してすべてが間に合いません。
当然、ブレーキのリリースポイントも、ステアリングを切り始めるタイミングもです。
上記のように、物理的に考えれば、どういった行動をとれば良いかは理解できますが、奥までブレーキを飛び込んだとき、ドライバーの精神状態はどうでしょう。
まず、いつもより飛び込んでいるのですから、早く減速したい心境が働きます。しかし、タイヤにはグリップの限界がありますので、いつも以上に強くブレーキを踏むわけにはいきません。
サーキットビギナーが犯すパターンとして、
レイトブレーキ → いつもより強いブレーキ → ブレーキロック → コースアウト
があげられます。
うまく、この状況が避けられたとしても、コーナーはどんどん近づいてくるけど、スピードは思うように落ちない状況となります。
そして、本来ならブレーキのリリースも早めに行わなければならないのに、体感スピードから、ブレーキが緩まず、その状況でステアリングを切るのでアンダーステアとなってしまいます。
このように、コーナーへ飛び込んだときは、心の中で、
減速したい気持ち VS 曲がることへの準備
が、戦うことになります。
そして、曲がることへの準備が優先できたときに、ラップタイムは短縮されます。
飛び込んだときこそ、ブレーキのリリースも、ステアリングを切り始めるタイミングも早くするが鉄則です。
そう、巧いドライバーほど、ステアリングを切り始めるタイミングは早く、ステアリンを切るスピードはゆっくりとなります。当然、ステアリングを切るタイミングが早いということは、ブレーキのリリースのタイミングも早くなくてはなりません。
コレが ダッ
上手なフルブレーキの踏み方は、基本的に踏み始めで「素早く・強く」踏むのですが、スイッチのように“ガツン”と踏むのではなく、ある程度“ギュッ”と踏んでから踏力を合わせて行くのが正しい踏み方です。
イメージとしては、荷重移動後の最大踏力を10と仮定した場合、8ぐらいまでイッキに踏む
コレが ギュュュュュュ
ロック寸前の9.99まで“スゥーッ”と踏力を上げていく感じです。つまり、冒頭でも言ったように、これは荷重との密接な関連があり、“ギュッ”と踏むことで素早く前傾姿勢にして前荷重状態をつくり、その姿勢変化の度合いが増えるに従って、踏力を上げていくわけです。
グラフのように、ブレーキの踏みはじめから、踏力はどんどん強くなっていきますが、フロントへ荷重が完全に移りきるあたりから、踏力はキープ状態になります。
この踏力が“横へ走る”(踏力が強くならずキープされる)状況は、文章で書くと、とても簡単のように感じますが、じつはかなり難しいテクニックになります。
なぜなら、最大踏力になるまでの時間はスゴク短く、それまで、どんどん踏力が強くなっているわけですから、その流れを打ち切って、踏力をキープするには、かなりの熟練が必要です。
コレが ン
①の部分では、ロータとパッドの温度が上昇し、摩擦μが高くなったことに合わせるため、少しブレーキの踏力が緩んでいます。しかし、ブレーキの効きとしては、ロック寸前の状態を維持しています。
その後、②の部分で、ブレーキの本格的なリリースが始まります。このリリースにより、ステアリングを切り始めるために必要な、タイヤのヨコ方向のグリップを確保するための準備を開始するのです。
このときの失敗例としては、ブレーキのリリースと同時にステアリングを切り始めてしまうことです。なぜなら、ブレーキを緩めて、タテグリップの使用量を減らしたと同時に、ヨコのグリップは、すぐに立ち上がるのではなく、そこには「ラグ」が発生するからです。この「ラグ」を計算に入れないと、かんたんにアンダーステアとなってしまいますので、リリースからワンテンポおいて、ステアリングを切りはじめます。
この文章が100%正解とは言わないが大まかに言えばこんな感じなのかな・・僕の場合感覚的には前加重にはならない。
前後のサスが一緒に縮む感じ