
深夜に ひっそり ひそかに ひそひかり どおんがらどおす。
いま ひとりの青い整備士に見送られるように ホワイトボディーのニューマシンがしずかに わずかにみぎに ハンドルを切って ピットロード へと むかう。
おとこは F1ドライバーでもある あの J.イクス。 ちぇんじゃないよ。
青いメカニックは エンジンの咆哮に神経をとぎらせる。
問題はないはずだ。 あれだけなんどもチャックしたはず、、、。万が一にも みすはゆるされない。
今日 この日 人知れず 走らせることができなければ 本番までには おおきな ディスアドバンテージを背負うことになる。
こんなところで つまづいていては24時間の長丁場は とても もたないだろう。
GTクラスではモビーディックの優勝は ほぼ確実。
そう 真のチャンピオンをきめるべきは このマシン。
不安をかき消すような 排気管からの さけびが イクスの勇気を奮い起こさせる。青のメカニックは エンジンのわずかな排気の不協和音にも 神経をとぎすまされている。
未完成じゃない。もう 十分テストに耐えられるところまではきているのだから、、、。
そして イクスは だれもこない ピットロードを一瞥し 青い男の期待と不安を同時に背中に感じながら だれもいない テストコースへと すすんでいったのであった。
ときに 1975年 欧州のどこかのテストコースでのできごと。
なお とうぜんですが これは まったくのフィクション。
しかし 1976-1977年シーズンでは 世界選手権では 2年連続で ルマン に勝利しました。
とくに1977年のルマンでは
3台ものアルピーヌ ルノーA442ターボに先行を許す展開。
2台のポルシェはすでにリタイア。
しかし トラブルでリタイアした J.イクス が急遽 残った4号車に乗車。
それでも レースのこり45分という段階で1気筒をうしなった 水平対抗6気筒ターボエンジンの死んだシリンダーをふさぐという応急処置をほどこした マシンは
レース終了直前に ゆっくりと動き出し ゴールラインをきり 2年連続4度目のルマン制覇 をポルシェにもたらしたのでした。
このマシンの名は
ポルシェ 936ターボ
おそまつさまでした。
Posted at 2017/01/10 04:24:07 | |
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