
時は 昭和63年 鈴鹿サーキットにWGPがきた
125ccクラスでは 上田しんやが鮮烈なデビューを飾ったさなか 500ccクラスは磐石と思われていた。予選1位はぜっけん1 W.ガードナー。キングケニー対Fスペンサーのバトルを身近で見てきた豪州の若者は ついにヤマハのエースを打ち破って オーツトラリアの速さを世界に証明して見せた。円熟のドリフト。
しかし 予選上位に でかいぜっけん34がいた。でかいゼッケンの速いやつは地元なら理解されるがそれ以外はまぐれあたりが天才。
レーススタート。予想通り ガードナーが集団を引っ張って メインストレートに帰ってきた。数周後 ノリック転倒とのアナウンス。そして ふと気づけば 先頭はガードナーではない 白いマシン。
スズキRGVγ。RGγで世界を翻弄したスクエアフォーは その後のホンダ対ヤマハのV4に遅れをとり 怪物たちの共演の前に 沈黙を余儀なくされ そして 地道な開発体制に入っていた。スクエア4があtったために開発が遅れたスズキのV4.それでも その出力はパワーのホンダにおよばないし シャーシー性能と浅海性ではヤマハには勝てない。はず。
しかし いま現実の先頭は すずきなのでした。
追走するチャンピオンには余裕が伺い無いのに 先頭の白いマシンは踊るように 鈴鹿を駆け抜ける。圧巻なのはヘアピン。普通ヘアピンは目いっぱい速度を落として 最小の半径で回ったら スロットルワイドオープンのタイミングのために ライダーは構えるものなのだが 34はほいっという感じでマシンをそのコーナーに放り込んだかと思うと くるっとまわして 誰よりも速く全開。旋回中には多少鳥不としていると思われるが 滑ったときにはすでにマシンはお越し気味で 測ったように出口を向いた際 完全なバランスで マシンが前回を待っている。そんなまわりかたするやつはいない。モトクロッサーの旋回に似てはいてもロードでそんなことで切るやつはいないし さらにはやいやつはまずいない。面白いように毎週ヘアピンで芸当を見せるシュワンツ。全然ミスしない。
ガードナーとの差が少し筒広がる。パワー区間では ガードナーが勝っているのに ついてゆけない。どこがどう速いというわけではないが 全体に早いのだ。楽しそうだし。
そして のこり3週。1秒以上は優にある差をちじめ追いつくため ガードナーは極限のプッシュ。
勝負はアドバンテージがある直線の速度。全開でウラストレートを駆け上がる。そして 恐怖の130R。かぎりなく300km/hに近い単車を最低限の減速で超高速コーナーに放り込む。いかなNSRでもガードナーの技術でもホンダのパワーでもそしてダンロップのスリックでも マシンは曲がらない。そのまま蘭オフエリアへ、、、。すでにマシンは暴走するバッファロー。とても持たないと思われたのに やつはまっすぐコースサイドを走る。ブレーキングしない(できない)。路面の抵抗で減速するが 時速250kmでは あっちこっちにぴょんぴょんはねる。跳ねると速度は落ちるが ころばないよういできるのか?
けっきょく200-300m転ばず土煙をもうもうと上げて 減速終了。ゆっくりそのばでましんをまわしてゆっくりコース横を逆に走る。蘭オフしたあたりに戻り 右左確認。やつは安全運転なのだ。そしてコース左サイドへ。全開。すべるリアタイアから砂を打ち払うように加速。
とてつもない綱渡り。なんというバランス感覚と制御する筋肉。
しかし レースはピノキオボーイのもの。確実な世代交代のはじまり。
その後 シュワンツはスペンサー並の一発の速さを見せるものの 年間では勝てない。
そこへライバル登場。いつの時代も 注目される男にはライバルが現れる。
スペンサーには老兵キングケニーが。マイクヘイルウッドにも、、、。そしてケニーコンプレックスのランディマモラ。バリーシーンもケニーには勝てない。なんかケニーばっかしだが 片山たかずみだって ヨーロッパに衝撃を与えた。かれらはそれぞれ得意技で世間を魅了した。ミスターかたやまの得意技は2輪ドリフト。単車のチェーンが上に張っているか下に張っているかを意識して丁寧にアクセルコントロール。中高速コーナーで名うてのワークスライダーを外からかぶせて並びかける。ほとんど接触しそうな距離で最小アンクルのドリフトをその速度で維持するのだ。おおくのヨーロピアンライダー達がその走りをラインをトレースしようとしたが命がいくつあっても足りないような微妙な制御が必要でだれもまねできない。直線で勝てないプライベーターのたかずみさんが勝つためには高速でコーナーに車をぶち込むしかない。放り込んだらそのまま丁寧に回る。そしてついに350ccクラスでチャンピオンとなった。坂田和人や原田哲也が活躍する20年も前の話。
話を戻すと シュワンツのライバルは W.レイニー。5年連続チャンピオンとなるが この5年間つねにシュワンツの速さに頭を悩ますことになるがそれはそれでレイニーの強さに津庵がってもいるのだろう。レイニーの得意技は予選をトップで通過してホールショットを奪い 最初の数周で十分なリードを稼ぎ その後巡航 だれにも背後を見せずにトップでゴールする。最初の2-3年このパターンに入ったレイニーにおいつくものはいなかった。シュワンツさえも。ところが4-5年目 3-5秒も突き放されたシュワンツが終盤追いつく場面が現れ始めた。5-10周で追い上げ始め 最終的に届いてしまう。ドッグファイトに入ったらシュワンツの気力充実。その攻撃をレイニーは防げない。
あるレースでこのパターンに入った最終ラップ 最後のシケインへの飛び込み。限界のブレーキングのレイニーをあざ笑うかのようによこをすり抜けてくるシュワンツ。ブレーキングの最後に ジャックナイフしやがった。そのまま ダイブ。あっけにとられる観客。そしてゴール。
そのご レイニーは3秒以上の差があってもシュワンツがきたら サインボードで確認したら極限のプッシュ。見えない敵との戦い。そしてリードを保ったまま最終シケインに入ったのにブレーキングミス。そのままシケインに入らずまっすぐ抜けてしまった。シュワンツはまだ50mくらいは後ろだったから余裕なのだが そんな情報はわからないのと 追い上げられて抜かれる恐怖と 目いっぱいプッシュした名残で 余裕のない極限のブレーキングをミスったわけだが 観客にはこの時代が読めない?わかっている物たちにはわかっていたのだが 自分よりバトルに強い男は 速さでは勝ってはいても きょうふのたいしょうであり 連続チャンピオンをも恐れさせミスさせてしまうらしい。
そして レイニー最後の年。最終戦までもつれたふたりのあらそいは 意外な形で終焉を迎える。レイニー転倒 後続車と絡む。そのまま病院へ。のちに下半身不随となる。このとしシュワンツ総合優勝。しかしその後はもうこの都市ほどの走りはできなくなった。
2-3年後 YAMAHAのピットには 車椅子の男。かれは今でも車椅子で若いライダーを見守る。マイクザバイクの心意気を受け継ぐ伝説のチャンピオン。体は動かなくなっても その気力は衰えない。彼こそしんのチャンピオンなのかもしれない。レースばかりでなく人生のチャンピオンなのだ。
ニキラウダに栄光を 石川岩男にも鎮魂を そして 無きアイルトンセナや超人フェラーリのヒトにも、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
Posted at 2013/11/28 12:13:57 | |
トラックバック(0) |
雨の土曜日 | 趣味