
近々厚生労働省の麻薬の立ち入り検査があるというので、ここのところ帳簿やらカルテやらのチェックに余念がないうちの職場。
自分は外科病棟担当ということもあり、麻薬を使用した患者さんのカルテをチェックしている。
先日も選挙の投票を泣く泣く?断念して休日無償出勤;
一般的にチェックされるカルテは麻薬を大量に使用した患者さんのものと相場が決まっている。
必然的に末期癌の患者さんだ。
癌が発症した患者さんのうちのおよそ3分の1に痛みがあり、中にはとても耐えられないほどの痛みに苦しむ患者さんもいる。
そういった患者さんも麻薬というクスリを上手く使うことで通常の生活を維持していける。
問診による痛みの評価を毎日して増量したり別のクスリを組み合わせたり、副作用を予防したり対処したりと治療そのものはそれほど難しいものではないのだが痛みに苦しむ患者さんはまだまだ少なくない。
患者さん自身の麻薬への悪い先入観、医療側の知識不足。要因は様々だが進行している癌に冒された患者さんの残された時間はそれほど多くはない。
カルテを読み返しているうちに今は亡きそれぞれの患者さんとのやりとりを思い出す。
どうせ効かないよ;と投げやりな患者、異常に話の長い患者、一言も話してくれない患者、Dr.に聞きづらい治療結果を聞いてくる患者、訪室する度に何かくれる患者、自分の娘を嫁にと紹介してくる患者・・・色んな患者さんがいた。それぞれに人生があり、考えがあり、大切なものがあった。
癌の進行を抑えられないことに憤りをぶつけてくる患者さんもいたが、それでも最後は痛みだけは何とかして欲しいと頼まれることが多かった。
痛みの治療は評価が客観的にやりづらく、患者さん自身の満足度に依存するので手間がかかり解決困難なことも多い。
しかし、治療があまり上手くいってない患者さんに痛みの具合を聞くときの得も知れぬ不安、逆に痛みから解放されて笑顔を見せてくれたときの安堵感。
もしも薄給の病院薬剤師という職業にやり甲斐というものがあるのならば、死を目前にした人達の願いを少しでも叶えるための手助け・・・いや、努力がさせてもらえることはその一つなのかもしれない。
もっともっと麻薬が頻繁に使われ(日本の医療用麻薬の使用量は欧米の1/6)、それに伴い大量生産されて値段が下がり(使用が少ないから大量生産できず、メーカーの生産を保護するために薬価が高い)、特別な意識なく使用され(Dr.によって考え方が全く違い、中には痛みの訴え完全無視のDr.も;)、全ての患者さんが等しく同じ治療を受けられる日が来ればと思う。
薬剤部の管理はとんでもなく忙しくなるけどね;
Posted at 2007/07/30 22:42:33 | |
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くすりやさんの戯言 | 日記