
先日癌で亡くなった患者さんのご主人がご挨拶に薬局を訪ねてきてくれた。
Dr.やNs.はより患者さん、そのご家族と身近に接しているためそういうことはあるが、薬局まで来てくれることは珍しい。
49歳の若い方で2年前に手術をし、抗癌剤治療をしたものの再発、転移が見つかり、それでも何とか抗癌剤治療を続けてきた。ジリジリと進行する癌にラジオ波なども併用したが基本的に進行癌は治癒できないためやはりその時はきてしまった。
新薬を投与したり、度重なる抗癌剤治療における服薬指導を行ったということもあるが、その優しい人柄故業務を越えて世間話をしたり、親しくさせていただいた。
ayumi♂の係長昇進にいち早く気づきお祝いの言葉を頂いたこともあった。特に一緒に外科病棟を担当している二人の女性薬剤師はかなり思い入れがあったことと思う。
ayumi♂個人としては全ての患者さんに等しいサービスを提供(それも全力で最良のものを)するのが医療従事者の使命と考えているので必要以上の介入は御法度と思うのだが、人間と人間が接するわけでそんなに割り切るのも実際には難しい。
こうしてご主人がご挨拶に来てくれたことを見ても良かったのかな?と感じた。
その患者さんが亡くなる数週間前から在宅治療に切り替えて治療を続けてきた。間近に迫った死期を予感した本人の強い希望そして意志と家族の手厚いサポートのおかげで自分たちの予想を裏切って長期にわたりその期間は続いた。
亡くなる日の前日に緊急入院したときの患者さんは限界まで衰弱してかつての面影はなかったという。
そんなになるまで患者さんを入院させなかったことを悔いてか、ご主人はこれでよかったのかと苦悩の言葉を口にした。
最後まで病院に戻ることを拒み、自宅での治療を望んだのは患者本人の強い意志、そしてそれを叶えてあげられたのは家族の強い愛情・・・全力を出し合った結果に間違いはないと信じたい。
返品された薬を廃棄してるとき、ふと入っていた紙袋の文字が目に入った。
GOOD TIME LIVING
英語がそれほど得意ではないのだが直訳すると
「快適な生活」って感じか。何のお店か知らないけど雑貨屋さんか何かかな。パッチワークが趣味の方だったからそれ関係か。
そんなロゴの入った紙袋で薬が戻ってきたことに何かを感じた。
人はいつか必ず死ぬ。自宅での死を希望する人は多いと聞く。しかし実際には病院での死が多いらしい。自宅で死ぬには家族側、医療側と色々苦労があるからか。
前述の
GOOD TIME LIVIMGを意訳して
良い人生としたとき、それは何か?
良い死に方(本人の望む死に方)ができたとき、
良い人生だったという考え方がある。
病院で働く人間は死に慣れていて効率を考慮しがちであるが、
本人の希望に沿えるような状況作りというものをしていかなくてはならないと感じた。
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Posted at 2009/07/26 10:33:18 | |
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