父のR35 GT-Rに
NISMOのスポーツリセッティングが搭載されました。
レンタルという変わった方式を採るスポーツECUで、
内容については概ねリンク先に書かれている通り
・シフトダウンのスピード向上
・中低回転トルクの向上
の2点なのですが、実はそこで触れられていないもう一つの重要な変更点があるのです。
ノーマルのR35には大変な持病がありました。
それは
「アクセルを踏み続けているとある一定のところで速度が伸びなくなる」というもの。
この症状はある特定の場所のみで発症しなくなるという噂もありますが、
全ての道路上で解消しようとすると、何かとうるさい保証が切れてしまうとされてきました。
しかしスポーツリセッティングの搭載によって保証が継続したまま持病が大幅に改善され、
日本国内で再発する可能性はほぼ皆無とのこと。
というわけで、足枷を外された状態のR35を試してみました。
某コースにて3速からの全開加速。
従来は途中で加速が停止していましたが、
スポーツリセッティングを搭載したR35は加速を続け4速へ。
以前からの特長である強烈な加速Gがツインクラッチの恩恵で途切れることなく続き、
気が付けば途方もない領域に達していました。
感覚的には息の長い加速感というよりもワープに近いものを感じました。
というわけでこれまで封印されていた領域を体験したわけですが、
それによって新たに見えた部分もありました。
スタビリティはさすがに高く、従来加速が停止していた領域を
ちょっとやそっと過ぎたくらいでは車そのものに対する不安感は皆無です。
そこからさらに進んで高速鉄道と同等の領域に到達すると、
極端にスタビリティが低下することはないものの、
横風や路面のギャップなどといった外部要因に対しては
多少気を使う必要が出てくるように感じられます。
そもそも自動車でこの領域を体験したこと自体そうあるわけではなく、
その多くない体験の中では確かに安定感が高いと言えるものの、
余裕しゃくしゃくというわけには流石にいかなくなってきます。
また、その領域では他の問題も出てきます。
元々R35の6速のギア比は低めに設定されているので、
その領域ではエンジンの回転数が高くなりすぎ、騒音が激しくなるのです。
当日がたまたま風が強めだったこともあるとは思いますが、風切り音も相当なものです。
メーカーでは高速鉄道と同等のスピードで快適にクルージング可能といったようなことを
謳っていたような気がしますが、ウソとまでは言わないものの、
隣の人と会話を楽しみながらクルージングと洒落込むには厳しいものがあります。
加えて言えば、出発時には真ん中あたりを指していた燃料計の針が
70~80km程度走行した後には下端に近いところまで下がっていたので、
それなりの代償も必要になるようです(笑)
効能として謳われている中低回転トルクの向上については確かにそれらしいものはあり、
高いギアのまま踏み込んだときの加速が以前より力強いと感じました。
このトルクなら、クルージングギアとして7速があってもいいように感じました。
R35の6速が低いというのは先にも書いたとおりで、
そのために高速クルージング時の騒音が少々気になるところもなくはないので。
しかしトルクが少々増しすぎたのか、ある高速コーナーで
3速パーシャルから少し踏み込んだところで路面の継ぎ目を乗り越えたのですが、
一瞬横に吹っ飛ばされるような挙動が出て瞬時にVDCが介入するといった場面がありました。
まだ全開までには余裕があるスロットル開度で、
以前であればVDC介入までは至らなかったのではないかと思うのですが。
異常なまでに高いと思えたR35シャシーの限界が意外なところで見えたのか?という気がします。
場面によっては従来より一つ高いギアを選択する方が安全かつ速いかもしれません。
シフトスピードについてはうっかりいつものクセでRモードを選択してしまったので
ノーマルモードの違いをちゃんと確認できなかったのですが、
特に変更されていないはずのRモードでのシフトアップ時のショックがちょっと増えたようです。
トルクが増えたせいなのか経年のせいなのかは分かりませんが。
NISMOスポーツリセッティング、装着するにも色々条件があるようですが、
「速さはノーマルで十分、バランスをあまり崩さずに持病(笑)を解消して乗りたい」
という人にはオススメできるかと思います。