
皆、それぞれが情熱的に生きていた昭和末期。
そんな時代を忘れる事ができない男が、昔を懐かしみつつ書いてみました。
尚、内容には一部不適切な部分がある為、フィクションとしてお読み頂ければ幸いです。
ストーリーの概略としては、自分が16歳の頃、バイクを買う為に働き始めたガソリンスタンド。。。
そこでの人間関係により、その後の人生が大きく変化すると言うお話しです。
よって話の中心はバイクや車の話題になりますが、それに関連して、当時の女性へのアプローチ(ナンパ)等にもふれていきたいと思います。
舞台は29年前の大阪市内。。。
世の中の景気はこの頃から一気に加速し、2年、3年後にはバブル絶頂期を迎えます。
当時の大阪的ヤンキー文化と、梅田やミナミの繁華街での華やかな遊びを紹介できれば・・・と思います。
当時、大阪の若者は車に何を求めたのか・・・
大阪では走り屋と呼ばれる人種にはどんな人が多かったのか?
走り屋以外の車の楽しみ方は無かったのか?
また・・・
同じ時期に大阪の中心部である梅田やミナミではどんな遊びが流行り、若者は何をしてきたのか。。。
当時、ミナミや梅田の人気のディスコはどんな様子???
クラブが大阪に誕生した時は???
当時、遊び人が好んだファッションは???
当時のナンパ手法とは???
そんな話を交えながら、書いていけたら良いかな?って思っています。
しかし、これは結構、時間がかかる作業なので、この企画・・・人気が無ければ、即打ち切りますよ(笑)
それでは、【必殺】ファンキー・スタンド
第一話 『給油の満タン男』
時代は今から遡る事、約29年・・・
私は16歳になったばかり。。。
当時、バイクが欲しく、働く必要があり、ガソリンスタンドで勤務する事になりました。
生憎、家の近所のスタンドには求人が無く、隣町のスタンドで働く事を決めました。
隣町と言っても、バイクで10分もかからない距離です。
面接に行った時の印象ですが、当時のガソリンスタンドとしては規模も小さく、設備も古く・・・ そして、先輩従業員も非常に恐そうな感じでした。
皆さん、制服は着用してるのですが、帽子は被らず、髪型もパンチパーマが多かったと記憶しています。
ただ、オーナーでもある所長が非常に温厚な感じで優しく、働きやすそうな印象でした。
そして・・・
このスタンドで働く事が決まりました。
今、思えばこれが人生の【転機】でした。
まず、本日は先輩を2人、同僚1人を紹介します。
1人目は、大木先輩。
この人は当時20歳の正社員・・・
18歳の頃、無茶な運転をして運転免許が取り消しとなり、失効中。
しかし、免許が無いはずなのに、普通にスタンドで勤務していたのは当時の謎でした・・・。
気が短く、常に好戦的で、気に入らない事があると勤務中であっても見知らぬ第三者を平気でシバくようなお方でした。
しかし、女性には非常に人気があり、女にモテたければ免許とエエ車が必要との定説を覆す人でした。
免許が無い=車が無い為、ファッション関係への投資が半端ではなく、Y’s等のDCブランドをカッコ良く着こなす超イケメンでした。
そして、もう一人・・・
先程紹介しました、大木先輩の中学時代の同級生でもある松三郎先輩です。
この方は昼は土木作業員をしており、その仕事を終えた夕方からスタンドに勤務していました。
その行動からわかると思いますが、素晴らしい体力の持ち主でした。
15歳から土方をしてる為、顔は真っ黒で、頭髪はパンチパーマー・・・
そして、言葉もありえないぐらい下品でした。
まぁ 大阪の人間でも使わないような、コテコテの大阪弁です。
まるで、『河内のオッサンの唄』の歌詞みたいな・・・(爆)
※標準語に翻訳された字幕付き
しかし、実際は見た目と性格は異なっており、かなり小心な側面がありました。
仲間と遊んでいる時に他のグループと喧嘩になった状況では、すぐに逃げだしたとの噂があり、松三郎先輩といてる時に喧嘩になっても彼は戦力にならない・・・って言うのが当時の常識でした。
あと、西沢。
彼は私と同じ年齢(16歳)のアルバイト。
丁度、同じ時期にバイトを始めた奴でした。
非常に真面目でバイクどころか、原チャリすら所有していなかった人物。
そして、当時はかなりの世間知らずでした。
では、このファンキースタンドで勤務する事になった数日後のエピソードです。
ある夜、1台のハイエースが給油の為、入ってきました。
その車は常連客で、建築関連の仕事をしている色黒で大仏みたいなパンチパーマのオヤジでした・・・
軽油を満タンとの事なので、窓を拭いて後、給油が完了したノズルを戻そうと思った瞬間、運転席より、どなり声が・・・
大仏パンチ 『おい! 満タンにせえって言うてるやんけ!』
デビル 『満タンになってますけど・・・』
すると、大仏パンチは車から降りてきて、私に向かってえらそうに言いました。
『ちゃんと満タンにせえ!って言うてるやろ?』
『ほら・・・ こうやって
車を揺すったら、まだ入るんじゃ!』
と言いながら、自分でハイエースを軽く揺すり始めたのでした・・・
この一連の流れを静観していた、大木先輩がこの時点で反応し、寄ってきます。
何か思いついたのでしょう・・・
大仏パンチは大声で怒鳴った後で、ハイエースの運転席に戻りました。
そして、大木先輩は、全員に集合をかけます。
その時、メンバーは4人。
大木先輩、松三郎先輩、西沢、そして私。
大木先輩に指示により、ハイエースの両側へ2名づつ配置につきます。。。
そして、号令と共に、4人でハイエースを揺すり始めました。
すると、ハイエースはすごい角度になって揺れはじめました・・・
さすがに運転席の大仏パンチも表情がこわばっています・・・
そして、『もう、そのへんで十分よ・・・』と気弱な発言をしています。
しかし・・・
その大仏パンチの訴えを聞こえないフリをし、大木先輩がダメ押しの一言・・・
『
お前ら!もっと気合入れて押さんかい!』
その瞬間、ギュィっ♪ ギュィっ♪とサスが軋む音を伴いながら、左右のタイヤが交互に浮き上がりはじめました。
そして、掛け声は、いつの間にか・・・
『オラオラ~♪・・・もっとイカんかい!』等、仕事中とは思えない言葉に変わっていました。
当然・・・
ハイエース給油口からは、軽油が激しく噴き出し、スタンドの床面は濡れまくっています!
このままいくと・・・
この車、横転するかも?って思いかけた頃でしょうか・・・
大木先輩が、必死でハンドルにしがみつく大仏パンチに満面の笑みを浮かべながら話しかけました。
『
お客様・・・ お車のゆすり加減はこれぐらいで宜しいでしょうか???』
その言葉を聞いた瞬間、自分が働き始めたこの職場は、非常にファンキーでアツいメンバーが揃っていると確信しました。
しかし、まだこの時点では、このスタンドを舞台に、数多くの事件が勃発し、自分自身の人生の中に大きな影響を与えていく事になるとは思いもしませんでした。
また、自分が勤務した数年後・・・
このスタンドは倒産する訳ですが、今ならその理由もわかる様な気がします。(爆)
第一話<完>
◆主要登場人物(今後 登場予定の人物も含む)
・所長
当スタンドのオーナー所長
髪型も七三分けの超真面目人間。
性格は非常におとなしく、温厚。
・奥さん
所長と対照的に活発で気が強い。
そして、性欲も旺盛。。。
若い従業員との不倫も・・・
・大木先輩
当スタンドの正社員
当時の年齢は20歳
かなりのヤンキー気質で、気が短く、暴れやすい
しかし、DCブランドの服を着こなし、常時数十人の女性を連れていたモテ男
愛用ブランドは、Y’s
東通商店街で女性に声をかけ、即ホテルに連れ込む事が出来るぐらいの『ナンパの達人』
10代の頃、無茶をした為、当時は免許取り消し状態
・松三郎先輩
大木先輩と同じ中学の同級生であり、当時の年齢は20歳。
昼間は土木作業員をしており、夕方から夜までガソリンスタンドでバイトしていた人物。
中学を出て、すぐに土方の世界に入った為、言葉使いが悪く、見た目もパンチパーマで人相が悪い。
しかし、気が弱い側面があり、喧嘩が発生したりすれば、仲間を見捨てて逃げる事も多い。
女にはモテない。
非常にミーハーで、峠を攻める走り屋が流行ってると聞くなり、S130ZからEP71へ乗り換えるが、
実際にヤマを攻める事は無かった。
・デビル
当時16歳の私。
当時乗っていた、バイク(GSX-R400)の費用を捻出する為に、このスタンドで頑張って働いていた。
バイトが入っていない日は、平日夕方の六甲(芦有ドライブウェイ)や茨木サニータウン攻め・・・
土曜日の深夜から日曜日の早朝は、毎週の様に阪奈道路を攻めていたバイク大好き少年。
・西沢
デビルと同じ年齢(16歳)のアルバイト。
当時は真面目でバイクは原チャリすら所有していなかった。
ただ、数年後には所長の奥さんとの不倫・・・また店のレジ売上金着服が発覚し、クビになる。
【大阪】走り屋伝説の第2話に登場するジェミニ・ディーゼルに乗る男と同一人物。
・ナマちゃん
このスタンドの常連客。
当時19歳 大木先輩、松三郎先輩の1つ下の後輩(隣りの中学の1つ下)。
当時、スカイライン・ジャパンから、新車のAE86に乗り換えたばかりであり、
走る場所も環状から箕面へ移行・・・。
名前の由来は、ナマズのような髭。
血の気が多く、気に入らないとすぐに人を殴る。
・かっちゃん
このスタンドの常連客。
大木先輩、松三郎先輩の中学時代の親友。
元ボクサー。
当時は反社会的勢力の現役構成員。
見た目も非常に恐ろしく、会話するだけでも恐怖を感じるレベル。
この時の愛車はクラウン・・・
しかし、この数年後にはベンツ560SELに乗る事になる。
・ジーコ
このスタンドの常連客。
大木先輩、松三郎先輩の中学時代の親友。
外車専門の塗装工場で働く職人。
しかし、客のフェラーリやランボルギーニを無断で乗り回し、ナビオ前でナンパを繰り返す極悪人。
ギャンブル好きで、常に金が無く、あちこちで借金を重ねる借金大魔王。
だまされた女性は数多く・・・。
愛車はフルスモークの430セドリック。
・タオ
このスタンドの常連客 。
そして、大木先輩、松三郎先輩の中学時代の親友。
仕事帰りに原チャリ(ジョグ)で給油の為に登場する。
車には全く興味が無い男であったが、当時の大阪ディスコ業界では有名なダンサーであった。
ミナミにあった某ディスコの女性DJと同棲しており、デビルの人生を変えたキーマンの一人でもある。
29年経った現在でも付き合いがある人物。
・ユウ
このスタンドの隣りに住む、大木先輩、松三郎先輩の友人。
年齢20歳。
当時、別のガソリンスタンドで働いていた人物。
バイクで箕面を攻めていた過去を持つが、車では走り屋の世界に無縁であった。
女好きでディスコでのナンパはプロ級。
彼女が5人いてる状況でも、ナンパを続ける執念がある人物。
しかし、気が短く、一緒に行動すれば良くトラブルに巻き込まれる。
世の中の渡り方を私に教えてくれた、大切な先輩。
・ナリカミ
このスタンドの常連客。
大木先輩、松三郎先輩の2つ下の後輩(同じ中学の2つ下)。
この時、デビルの1つ年上の17歳。
当時の職業は、自称ホスト。
後輩から没収したFZ400Rに乗っていたが、転倒により全損になった為、どこかでパクってきた原チャリ(チャンプ)に乗っていた。
血の気が非常に多く、当時から彼の周囲には喧嘩やトラブルが多発。
しかし、ヤンキー女には非常にモテる。
この2年後、デビルと共に走り屋の世界に突入し、その後自らレーシングチームを立上げ、会長となる。
その後も非常に関わりが多く、デビルの歴史上における重要人物の一人。
・オギ
このスタンドの常連客。
当時30歳。
表向きは高級自動車専門のブローカー・・・。
しかし、反社会的勢力とのつながりが深く、この人が店に来ると必ずトラブルが発生する。
非常に厄介な存在であったが、数年後 妙なきっかけで再会し、関わる事になる人物。
当時の愛車はカマロ。
ポケベルすら普及していなかった時代にショルダータイプの携帯電話を所有していた。
目つきが悪く、見るからにカタギでは無い容姿・・・
良く新地のお姉さんを連れていた。