悪魔のエッセのブログ一覧

「半クラしてみて」






教官が言う。






私は首を傾げつつ 半分クラクションの略だと思い
















「プッ！」と短く警笛を鳴らした…………。

















教官の笑い声が密室で飽和し





窓が曇りそうだった。






車に対するボタンの掛け違いが


この頃からだと気付いたのは





意外にも最近のことである。









教習所の教えは画一的で機械的なのが寂しく思う。






自動車学校に金八先生はいない。





校歌もない。





まして 同窓会なんてあるわけない……。





最終学歴に 自動車学校を書く者は 正常な人物と判断されないのです。







入学当初 半クラを 半分クラクションと間違えた 不良生徒は






やがて更生し 無事卒業に至った。







人相の悪い 免許証の写真が 卒業写真。











一方で








人生の卒業は 皆 霊柩車に乗る。




言わば 最後の乗車






この時 ようやく人は 全クラクションを 鳴らすことになる。






出棺クラクションは 天まで届くがごとく









強く 長く 鳴らす……。








せめて生きている間は 半アクセルのような生き方は したくないものです。









地に足をつけて生きるとは 床までアクセルを踏むことと








校長様は 校訓として御持ちであったのでは？








ただ……













全アクセルを 「全悪」と 書かないことを祈るばかりです。




















善悪わかる卒業生代表


悪魔のエッセ

マジックミラーごしの顔に 見覚えがあった。



特徴的な横顔



誠意のない態度









間違いない…。







あの男ですか？







はい。










罪名 「告白できずに ブルマ泥」




初犯ではなかった。彼は以前に 好きな女子生徒の 縦笛を吹いている。






愛は表現を誤ると たやすく 輝きを失う。








エッセも 車高調という縦笛を入れると 途端に 輝きを失うものなのか？




らしくない。熱でもあるのか？



どうゆう訳か 非難を浴びる。





縦笛は卑猥な旋律しか奏でない。










正直 パジャマで 冠婚葬祭という間瀬サーキットに出向く 恥ずかしさに 耐え難い時もある。




しかし一方で



ノーマルに拘る矛盾も 実は あわせ持つ







だがやはり





ノーマル抜け抜け足は 異常ありだ。




危険だ。




命がいくつあっても 足りやしない。



自分の矛盾を 棚に上げ チューニングで安全を渇望する。











「せめて香典をはずんでくれ！じゃないと化けて出て 末代まで呪ってやる！」






声にならない声だった……。





切なる願い





いや










「生前脅迫」だ……。





10分ほどの ビデオレターを関係各位に 配りたい。








罪名 「改造できずに 香典泥」





悲しい罪人である。






















明後日の墓掃除は 念入りに なるだろう。

「目的地周辺です」



無感情な声で ナビは自信満々に 私に告げた。



ところが



車は バイパスのど真ん中を 走行中だった……。





正確には





「目的地上空です」





と答えるべきだ。




もはや 悪意があるとしか思えない。



さんざ



右だ！ 左だ！と指示しておきながら








結果が これだ……。






古いナビを 信用した 私が馬鹿だったのかもしれないが






悪意ある指示に従うべきではないと 強く思ったのだ。
















走りに悩む若者に




「ブレーキ踏まなきゃ 速く走れるよ！」




という おざなりな指示も 大罪だ。






仮に 指示どうりに 走ったとすれば



彼はカーブ手前で ナビの 思わぬ声を 耳にするだろう。















「三途の川周辺です」







「お花畑周辺です」











そして



















「ナビゲーションを終了します…」




























今年も お墓参りに 行こうと思う………。