毎度です
アスファルト タイヤを切りつけながら暗闇走り抜ける黒い六連星です。
今日は語ろうと思います。長い文章です。
日本のスポーツカーについて。
和製スポーツカーが絶滅の危機に瀕してます。平成14年の排ガス規制改制によりシルビア、32Z、34スカイライン、RX-7、スープラなどが生産終了。その後細々と生き残ってきたセリカ、インテグラ、NSX、シビックタイプRなども次々と消滅に追いやられています。
目覚しく車の動力性能が向上し、フーガやレジェンド、レクサスGShなどの登場により速い車の意味が変わってしまいました。当然のことながら一昔前のスポーツクーペより僕の乗ってるB4のほうがよっぽど速いです。でも僕のB4は決してスポーツカーではないでしょう。せいぜいスポーツ(性に優れた)セダンとしか呼べません。
要するに不便で狭い車種を選ばなくてもスピードを得られるというこの状況がスポーツカーを絶滅に追いやっていると思います。
チャイルドシートの装着義務化、一台ですべて事足りるミニバンの台頭、衝突安全性への欲求などもユーザーからスポーツカーを離れさせた要因だと言えます。
しかし、それでいいのだろうか。
もちろん、安全であること、省エネであることを否定しません。
しかし、昨日テレビのニュースでダットサンスポーツの開発者が「ただそこにあり、ただ運転できるだけで幸せ」と語っていた、その言葉から僕は現代の自動車事情に大きな不安を禁じえなかったです。そうした幸せをもたらす自動車は10年後、20年後にどれだけ残っているのだろう、と。
スポーツカーの意味が僕の望む方向と大きくずれていってしまっていることもまた悲しく思っています。
スポーツカーが「体育会系」「走り屋系」のためになってしまっている。
そういうイメージが先行しているし、実際に殆どのスポーツカーはそういう眼でしか見てもらえない。本音で言おう。
30近い僕が街で乗るには余りに恥ずかしいものばかりです。スーツではちょっと乗れない。平成に入ってから生産終了されたスポーツカーってほとんど
「イタイ」イメージしかありません。乗ってる人には大変失礼ですが、大多数の人は僕と同じ意見だと思います。
だから僕は今、セダンなのです。ちなみにスカイライン、アテンザ、B4、ランエボ、インプは純然なスポーツカーではありません。戦闘力を伸ばしたセダンだと思ってます。
モーターショーではコンセプトモデルとして各社スポーツモデルを発表します。でもほとんど商品化はされませんね。実現してるのはマツダくらいです。
清水草一氏とテリー伊藤氏が「間違えっぱなしのクルマ選び」という本を出しています。
<抜粋>
「ビバリーヒルズのパーティに行く時、例えば冬だったら金髪の女の子が毛皮を着ているわけじゃない。
そんなところにS2000は似合わないんだよ・・・。(中略)自分だけ作業着着てるようなもんじゃないか!!」(テリー)
「スカイラインGT-Rね。あれは
中古車センターによく似会うんだ・・・RX-7とかGT-Rとか(中略)深夜にトラックのライトが悲しげに当たるような、そんな所が似会うのが、GT-RとS2000なんだよ!」(テリー)
言われてしまうとその通りなのです。
僕スキですよ。S2000も、GT-Rも、RX-7も。いい車だと思います。でもね、買えないんですよ。クルマ好きのテリーさんですらこう思うわけですから、おそらくもしも本当にスポーツカーを買ったら周りの人々は
白い目でしか見てくれません。自己満足であれこれクルマを買えませんよ。結婚して子供ができたら余計にそうだと思いますけど。
要するに大人が乗れるスポーツカー。これが欲しい。
40になっても50になっても乗れるような。

フェアレディZ。現実的に今の僕の理想に最も近い。日本のスポーツカーの歴史を受け継いでいるという気概も感じられるし、Zならスーツで乗れる。内装に耐久性がなく、初期のものはエンジンもバタバタうるさい。それでもまとっている
オーラは気高いと思ってます。B4を買うときもけっこう真剣に購入を考えましたが、当時は出たばかりで中古でも手が出なかったです。

スカイラインクーペ。Zの二人乗りを補填するために大人しいめに作ったクルマ、としか思えない。それでも乗り心地はあまりよくない微妙なクルマ。あまりに日本のトレンドを無視したデザインだし。時期GT-Rに期待します。
「今のスカイラインはアメリカ向けのデザインなので、日本では厳しい面がありますよ。
正直、日本じゃ売れるわけないと思います」(清水)

S2000。テリー氏は酷評してますけど、いい車だと思います。しかしノリがサーキットにより過ぎ。マイチェンされて多少マイルドになりましたが、それでも僕には街乗りが厳しい1台だと思います。ゆとり、というものを感じられません。
なんか逝き急いでる感じ。乗り手を選ぶ車だと思いますが、アメリカではバカ売れらしい。多分生産終了されたら「イタイ」車種になってしまうと思う。

RX-8。高回転でのエンジンの気持ちよさは他にはないものです。作りも安っぽくないし、
取引先の課長とか乗せても恥ずかしくない。観音ドアに賛否両論ですが、現実において家族の意見とか、周囲の目とかそういうものがクルマ選びに大きく影響することを考えれば、マツダスポーツが生き残るために必須だったのだと思います。RX-7復活要望がいまだにありますが、本当に復活したところで、出せ出せと言っていた人の殆どは買わないと思います。存続をかけたマツダの発明に拍手すべき。

ロードスター。これまでのスポーツカーを悪く書きすぎましたが、初代ロードスターは例外、と言うか別格。生産終了から10年近くになりますが、キレイにしていれば十分大人の満足を満たすクルマだと思います。このクルマを作ったことを世界中にジマンしていいと思います。現行モデルは・・・・・
尖ってないからダメ。個人的に受け入れられない。

MR-S。今ならぎりぎり新車で買えます。多分在庫がなくなったら終りでしょう。
トヨタの車種一覧のページをあけると、唯一のスポーツ&スペシヤリティカーになってます。トヨタからスポーツカーが消滅するという現象が日本の自動車事情を如実に物語っていると思います。もう少し売れてれば「次」があったと思うと残念です。前述の本にはこうありました。
MR-S・・・「売れないとなると、なんていうのかなあ、
マスコミは悪いところばっかり見出すでしょう。それって変だよ!」(テリー)
セリカ・・・「これまた完全に放置されてる。
トヨタにはセリカへの愛がまったくない(中略)中身に気合入ってないからなぁ。魂込もってない」(清水)

レクサスSC。もうこれはスポーツカーじゃない。かといってフェラーリやマセラティのようなスーパーカーでもない。なんだろう。
液晶大画面テレビ内蔵パソコンみたいな感じ。確かにおいしいんだろうね。でもあれもコレもで本質が見えない。スポーツカーに見るストイックさがない。って買えないから文句言ってるわけではないですよ。本質的にはおっさん臭いことをのぞけば文句のつけようもない車です。

コペン。大人の趣味を満たすという意味ではまさしくワンダフル・スモールである。セカンドカーが欲しいけど、維持費が・・・という日本の事情をよくわかっている。177センチの僕からすれば、もうちょっと広ければなあ、というのが本音だけど、トヨタ2000GTとかホンダS500だって広さの点では大差ない。
トヨタが失った意気込みをちゃんとダイハツが引き継いでいる。よって許す。
ということで、以上が2006年9月時点で新車で買える国産スポーツカーです。これで全部です。
輸入車には魅力的、意欲的なモデルが多い中、これはあまりに寂しいと思います。いつかはポルシェなんて僕の妄想も少しはご理解いただけたでしょうか。
「間違えっぱなしのクルマ選び」では第1章のしょっぱなでNSXとS2000について語ってます。実際の車種紹介では「これでいいのか日本のクーペ」を最初にもってきてます。
やっぱりクルマ業界に携わるのであれば、現状の日本のスポーツカーはかなり不安な状態です。大変面白い本なので興味を持った方は探してみてください。
繰り返しですが、広くて安全で便利なクルマを否定するわけでない。大きい車の存在感、そのものに魅力を感じるユーザーがたくさんいることも分かってます。しかしそれはそれ。
ある意味スポーツカーってハイヒールみたいなものだと思うんです。先が尖ってて、地に足が着いていない、でも美しい。それで出かけるのがしんどい時もある、体調悪いときとか特にきつい。けれど、見ていて美しい、本人も美しくありたいと思って使う。そういう危うい魅力が確かにそこにある。
「尖ったクツを履くという意識を自分の中にいれておかないと、歳をとるんだよ!」(テリー)
僕はいつもスニーカーみたいな楽なクツばかり履いている人には欲情しません。ホンダがテレビCMでヒールの踵を折ってしまったのが、個人的にショックでした。
長くなりましたが、みなさんはどう思いますか?
僕は歳をとっても尖ったクルマに乗ってみたいです。
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