ジワリとわかってくる
走り込むほどにこのATOM4の造り込みが
果てしない試行錯誤や
地道な作業の繰り返しの先に
信じられない完成度を身につけた
機械を超えるその存在感
マジ走る宝石かよ
と、湾岸ネタで初めてしまいましたが、とりあえず下道100km、
フルスロットル無しの流しで走ってみた最初のレビューをしたいと思います。
まあ正直、上のポエムでほぼ完結しているんですが。
(※ちなみにこの車両はウイングやカーボンパネルを除いたフルオプション仕様となっております。標準状態のATOM4ではまた違った感想になるかもしれません(たぶんそんなに変わらないけど))
◆第一印象
まず乗っての第一印象。
すべての所作に「一貫性」があります。
ステアリングの重さ、重心の移動、振動と路面情報、ブレーキタッチ…。
ライトウェイトカーにありがちな、一種の「危うさ」がほとんどありません。
回さなければ、感覚的には倍の重さの車に乗っているようです。
◆すこし踏むと…
それでいて、ちょっとだけ踏むと3000回転からの
猛烈な”キシュォオオオ!!”という吸気音が始まり、
4000回転から上は猛烈な加速です。
久しぶりにアクセルを踏んで「右足を車が追い越す」感覚を味わいました。
これは踏んでいる途中なのに加速レスポンスが早すぎて
アクセルペダルとクルマが踏んでいる途中の右足を追い越し、
向こう側へ逃げていくような感覚です。(実際には右足が加速で後ろに引っ張られている)
この感覚、ATOM2にはありましたが3にはありませんでした。
軽量フライホイール、カーボンホイールの影響もあるかもしれませんが、ちょい踏みでこれ😅
◆「噛み合っている」
いままでのアトムはエンジンがメインのクルマでした。
言い換えると、エンジンに対してシャシーとタイヤが噛み合っていなかった。
どうしても「エンジンに振り回されるクルマ」というところから離れられませんでした。
それはそれで楽しいのですが、限界は低い部分に合わされてしまいます。
歴代のアトムはひたすらシャシーを補強してきました。とくにエンジン廻りのパイプはどんどん多くなっています。
ATOM 3.5で一旦良いバランスまで持ってきました。
タイヤもやはり、15インチでは小さい…。
しかし、これ以上のグリップが出ると今度はクルマの重心移動が更に強くなり、シャシー由来の限界が出てきます。
アップライトやセンターハブも作り直さなければ持ちません。
いろんなバランスの上で、3.5はその時点でのウェルバランスのクルマとなっていました。
しかし今回、4を作るにあたって、エンジンの形が全く変わり、ターボになり、トルクが倍になる。
今までのシャシーを改良してどうにかするというやり方は限界に近い。
アリエルは決めたのでしょう。「完全に新しいクルマを作る」と。
結果的に出来上がったアトム4はシャシー、タイヤ、エンジンが「噛み合って」います。
きっちりと体型に合わせて仕立てられたスーツのように、すべての部分が自然に何事もなく機能していて目立った特徴が無いようにすら見えます。
状況にかかわらず一定の重さのステアリング。(まだ馴染んでない部分もあるのかも)
乗り心地が悪いわけではないのにほとんど姿勢変化のないシャーシ。
(おそらく、ブレーキ時のノーズダイブ、アクセル時のフロントリフトは3.5の1/3以下しか無いかも)
タン、タン、としっとり丸く路面をいなすオーリンズ。
踏めば踏むだけ咆哮を上げてトルクを吐き出しながらも、振動はほとんど増えないエンジン。
APレーシングのブレーキは固く、遊びが少ないもので、これまたローターを直接踏んでいるようなダイレクト感。
触るだけのブレーキも、ガッチリ掴みにいくブレーキも簡単に制御できます。
クルマは圧倒的スタビリティで入力に答えてきます。ちょっと無理な動作をさせてみようとしても、フラつき無くそのまんま入力どおりに動いてしまう。
完全に噛み合っている。仕上がっている。
偶然にこんな良いバランスになったハズは無く、小さなメーカーがどれほどの仕事をすればこの領域にたどり着けるのか。おふざけ半分に見えるアリエルが実はどれだけ真剣にクルマを作っているのかが想像できてしまいます。
いろんな海外のレビューで「大きい飛躍である」と言われていた意味がようやく体感できました。
そして、想像以上でした。
◆まとめ
「ライトウェイトスポーツカーとはこういうものであろう」という長所と欠点のオモテウラを裏切ってくるクルマです。完成度が高すぎてライトウェイトカーらしくない😅
それでいてつまらないクルマでは全くない。
将来三冠馬となるような名馬に初めて乗ったジョッキーが
「あ、こいつはものが違う。G1馬だわ」と思うように。
「こんないいクルマをよく作ったな」とか、「自分のクルマがこんなに良いクルマでいいんですか!?」みたいなわけのわからない喜びの感情が湧き上がってきます。
それでいて、世界と何一つ隔てられていない開放的な世界観。
ATOM4は現代ライトウェイトスポーツカーの結晶のようなクルマでしょう。
美しいクルマはたくさんありますが、世界が美しく見えるクルマはそんなにありません。
Posted at 2022/08/30 12:17:29 | |
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ariel atom | 日記