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　最終回です。エピローグです。そしてフィナーレです。船の格納庫に滑り込むのも大変な思いだったのだけれども、最終日は命の危険も、大袈裟では無く、簡易増した。

　淡路のパーキング・エリアで仮眠し目が覚めたのは7時頃だったと思います。明石海峡大橋の根元まで国道を北上。橋を渡りました。実は、この儘京都南まで高速を使ったんです。到着は10時頃だったかな。というのも、大晦日の昼頃まで主治医が“仕事をしているかもしれない”と、聞いていたので間に合わせる為でした。が、無念の空振り・・・。となると京都での所用は無くなったので、せめて“ラーメンだけでも”と思い横綱ラーメンへ（疲れてる為か、楽しめなかった）。そして昼前には京都を後にします。
　順調に進んで彦根まで来た時には限界。元日にオイル調達は難しいだろうと、オートバックスで購入し、そのまま車内で約2時間仮眠。フラフラで再始動。途中格別な話も無く、岐阜を越え土岐に着き、木曽路に入りました。丁度18時を過ぎた頃に、国道を反れた場所に在る道の駅の名前が『蕎麦の里』。“こりゃあ、良い！”とばかりに、坂を駆け上がって行くと、既に真っ暗闇の中・・・。ガッカリしていると雨脚が強くなってきました。ここで一抹の不安を憶え始めます。木曽路の反対側の入り口である、塩尻の西端部、木祖村辺りが、一番積雪が多く危険だからです。“蕎麦は松本に入ってからでも食べられる！”と踏んで、一気に進みます。標高を上げるに連れて、雨が固形になって行きます。木曽福島では路面も白い状態。まだ先は長い中、慎重に素早く移動を続けます。お陰で、矢張り木祖が一番降ってたけれども、まだ早い時間だった為か、無難に抜ける事が出来ました。そして塩尻と松本には雪が無い・・・。

　結局、松本でも蕎麦屋が見つからず、そのまま東に進路を変え三才山トンネルを抜け、上田に入って行きます。すると、突然の大吹雪！一山越えただけで、大違い！そしてこの吹雪が、僕の感覚を全て奪っていきました。京都でも彦根でも、立って歩くと目の前がグルグル廻ってた位です。吹雪が右に流れると、車が右に向かっている気になり左は左へ、真っ直ぐ向かってくると、前に進んでいる気分になって速度が落ちます。雪が渦を巻いた時は目が回る気分。こんな危険な気持ちになった事は過去に有りません。走ってたら谷に墜ちる可能性も考えました。でも、吹雪の中で車を停める訳にもいきません。
　そんな時、運良くトラックが迫ってきました。危険回避で、先に譲ると、トラックのブレーキ・ランプと側面に点灯しているランプが誘導灯になってくれ、僕が雪で惑わされずに済む事に気が付いたんですね。が、トラックは猛吹雪の中を70kmで進もうとします。藁一本の希望を逃せる筈も無く、必死で追走。お陰で小諸インターに辿り着き、ここでは吹雪も収まっていました。ここから国道でも帰れるのだけれど、身の安全確保の為に、小諸から高速を使いました。

　ゆっくり、高速を信州から関東へ下っていきます。そして横川サーヴィス・エリア。ここから実家は30分と掛からないんですが、油断大敵とばかりに休憩。時間は23:40頃。軽食コーナーが営業してて、すっかり諦めていた年越し蕎麦を食べる事が出来たんですね！本当に素晴らしい結末でした。家に着いたのは新年、0時半頃の事でした。〆

　さて、Ventoを受け取った時の話は後回しにします。

　Ducatiを受け取って、別れを告げたのは15時を廻った頃だと思います。走行距離も嵩み、福岡へ出て中国地方を再び走るなんて気力は起きません。そこで大分県から四国に向かう事にしました。一度は鹿児島から大阪を結ぶフェリーも考えたんですが、高過ぎるので却下。
　そんな訳で、桜島に渡り海岸線を北上、宮崎県の都城を目指しました。到着したのが17時頃だった気がします。さて、ここで不安が頭をよぎりました。都城から大分県の臼杵まで、一体どれだけの距離があるのか解りません。フェリー最終便の時刻は20:40。これを逃すと、翌朝まで足止めです。手元の地図は2002年作成で、高速が何処まで伸びているか解らないけれど、安全策で使いました。結果を云ってしまうと、これが功を奏し出航1・2分前で滑り込んだんです！

　当初、高速では安全速度で巡航。どちらにしろ交互通行で、時折追い越し車線があるだけです。しかし1時間くらい走っていて、焦り始めました。宮崎県でも北部の延岡まで繋がっているらしいけれども、その先大分まで、結構な距離が有りそうだったからです。時速と距離を計算し延岡着21:10になりそうなところ、ペースを上げて約10分稼ぎ出します。案の定、ここから大分は120km。推測で臼杵まで90kmと仮定。料金所で、“臼杵まで90分で行きますか？”と尋ねると”判らない”という返事。ここで「無理」と云われていたら諦めたかもしれません。これで良かったんです。幸いにも結構な距離が高速無料区間で走れたし、追いつき抜いた車は1台しか記憶に有りません。兎も角も、もう時速90kmでは間に合わない訳です。
　さぁ、無料区間も途絶。一路、国道を佐伯に向かいます。が、ここがかなりの峠で、荷台の様子を感じながら限界で走ります。無事に佐伯市に入ったものの、高速入り口に向かう道をロストした事に直感で気が付き、信号待ちで他のドライバーに訊いたら、案の定。急いで取って返し、ランクルをぶち抜きインターへ。佐伯〜臼杵間20km。出航時間20分前。もうベタ踏みです。臼杵には出航時間7・8分前に着いたと思います。港までは必死です。上手い具合に前の車に追いつくと、勝手にレストランか道を曲がったのか消えて行ってくれます（もう構ってられない）。が、しかし！その次に追いついたのが、パトカー二台・・・。もう、ここで“終了”と、諦めかけました。が、しかし！！一台は、何処かへ曲がって行き、もう一台は、署に帰って行きました。ここから1km強、祈りながらのドライブです。そして滑り込みセーフ！！駐車場では、スタッフが慌てて無線で連絡し、窓口では受付が取り乱す位（名前は平仮名で記入し、他省略・笑）のギリギリ具合でした。この後、船内で食べたシーフード・ヌードルの美味しかった事と云ったらありません！


　熟睡している所を起こされて我に返りました。気が付いたら、愛媛の八幡浜港に入港する直前でした。フラフラしながら車に乗り込むと、ハッチが開き出発。ここから徳島・淡路島を目指しました。時間は23:30頃だったと思います。先の出来事に疲労感を感じていたので、足止めされなかった安心感も伴い、四国は安全走行に徹しました。順調に徳島に入って、小腹が空いたのでコンビニでラーメンを啜り、仮眠しようと思ったんですが、店員の感じが凄く悪かった（！）ので、もう少し頑張って進む事にしました。そして、鳴門北から淡路島南の一区間、高速を使いパーキングで仮眠する事に。朝5時頃、軽トラックの中で眠りに就きました・・・。〆

　この日、朝からVentoを受け取れるかと思いきや、「午前中はボランティアに行くから、起きるに来てちょ！」と、云われたものだから仕様がない。朝6時半には目が覚めてしまったので、これまでの無謀なドライブ疲れを癒そうと、温泉探し。とても良い思い出がある桜島温泉（前回はユース・ホステルの温泉）を検索すると、開業は10時から・・・。折角、鹿児島に来て早起きしたのにネット・カフェに留まるのは勿体無い。そこで他を探してみると7時から営業している芦刈温泉なるものを発見！急いで身支度し、文字通り温泉に飛び込みました！

　まだ9時にもなってないというのに、結構なお客が来てて、繁盛振りを窺えたんですが、僕個人として残念だったのは、桜島の様な鉄分豊かな地獄温泉（？）っぽい、赤み掛かった湯では無く、無色透明でした。そんなに距離が離れている訳では無いのにね。銭湯より少し大きめの施設。でも地元密着型の様な雰囲気でした。ここから桜島温泉へ梯子も考えたんですが、10時に行って、12時の約束となるとリスクが伴うので自重することに。
　結果、それが正解だったんですが、九州を味わったのは久留米のラーメンと鹿児島の温泉のみになってしまいました。温泉三昧や大分のだご汁、熊本の馬刺、宮崎の地鶏、全てお預けに。

　こんな感じでしたが、九州が好きな事が再確認出来たので、“また遊びに来たい”と思った。それが一番の収穫かもしれませんね（笑）！〆