
この週末は天皇誕生日を含めて三連休って人も
多いのでしょうね、冬将軍もそろそろ帰り支度
し始める時期でもあるのでお出かけを予定して
いる方もいらっしゃるでしょう
我が家はカミさんが飛び石も含めて五連休をもらえてニコニコですが、おいらはカレンダーに
関係なく平常営業だったりするので何〜んの
イベントもございませんぞ!
お伝えした通りタフト君のプラシーボ効果的な
お遊びも終え、る〜くすさんも一段落したので
ちょいとヒマな時間が出来るとここ最近は
「動画配信サービス」に首までどっぷり浸かる
日々が続いております
旧作から新作まで手当たり次第に気になる映画を鑑賞している中、とんでもない一本に触れて
しまいました! それが
『PLAN75』
今作が長編劇場映画のデビューとなる早川千絵
脚本も自ら手がけた渾身の作品です
今から遠くない未来、歯止めがかからない
超高齢化社会の打開策として政府は新政策の
「PLAN75」を導入しました
75歳以上の高齢者に対して自らの生死の権利を保障し、支援する制度「PLAN 75」の施行
自ら “ 尊厳死 ” を選ぶ事が出来るのです
主人公のミチはホテルの客室清掃員をしながら昔ながらの団地に独りで暮らしています
しかしある日、高齢を理由に職場を解雇され
時を同じく住んでいる公営住宅からも退去する
ように言い渡されてしまいます
仕事と住まいを一度に失うミチですが前向きに
新たな就職先と住まいを探しに勤しむけれど
“ 独居高齢者 ” と言う厳しい現実に直面します
体調を崩していたお友達が誰にも看取られず
孤独死する現実を目の当たりにするに至り
政府が積極的に推し進める政策「PLAN75」
に申し込む事を決めてしまいます・・・
演じているのは「男はつらいよ」の妹サクラで
お馴染みの名女優倍賞千恵子さん
実年齢に近い役柄ですが凛としたオーラは
今も衰えず、笑顔が魅力的ですよね
一見すると荒唐無稽とも思えるシステム
「PLAN75」なのですが、劇中でリアルに
描かれています
昨今の「マイナンバー制度」への加入を求める
様々なキャンペーンや頻繁に流れるTVCMと
同様の催し物を街頭で行っていたり、不安を
払拭する啓蒙活動やテレビの特番などが流れて
社会に浸透している様子が淡々と描かれてます
対象となる高齢者ハードルは限りなく低くて
加入すると無条件で “ 支度金10万円 “ が支給されるなど細かな設定も作り込まれて現実的

もう1人の主役、加入者の対応にあたる役所の
担当者ヒロムを演じる磯村勇斗さん
窓口に訪れる老人に対して真摯に応対する
心優しい職員ですが、どこか事務的な印象を
上手く演じています
ある日申し込みに来た高齢者が疎遠だった叔父
だった事が彼の心情に波紋を起こしていきます
もう1人、「PLAN75」への疑問や加入者の
不安や悩みに電話で応対するオペレーター

成宮瑶子役の河合優実さん、コールセンターで
日々なり続ける電話に向き合う彼女は偶然に
ミチと繋がった事で「業務規約」に反して
深く関係を持っていくのです
ともすれば一日誰とも会話を交わす機会が無い
ミチにとって唯一気兼ねなく話せる瑶子は
かけがえのない存在、半ば強引に食事や
デート(?)に誘い出してしまいます
窓口応対の職員も電話オペレーターにしろ
「PLAN75」に関わる者は対象者へ個人的
に深入りする事を禁じています
繋がることで感情移入し業務に支障が出ない
ようにの配慮なのでしょうか?
皆が一線を超えないように対応する中で
瑶子はミチの人柄に触れていきます
物語の終盤、いよいよ最後の日を迎えるミチに
確認の電話を入れる瑶子はマニュアル通りに
説明しようとしますがその声は涙声になって
しまうのです
「PLAN75」を受け入れて “ 尊厳死 ” を
選択した高齢者が最後に行き着く施設では
その裏で最後の時を迎えた対象物を処理する
係員が黙々と作業を行なっています
遺体や所持していた遺品を始末する過酷な仕事
を請け負うのは高額の給料を目当てにする
外国人労働者も少なくありません

ここにも今の日本の現実が垣間見えますね
なんとも切ない物語で救いの無いエンディング
ですが… どこか優しく暖かく感じるのは
スポットが当たる三人の誰もが心根の優しい
人物だったからでしょうか?
中でもミチさんの最後まで前を向き進む姿は
輝いて見えていたのです
単なる映画作品、フィクションで片付けられる
内容ではありませんよね
太古の頃からこの国では幼子は“ 座敷童 ” と
なり老いて動けぬ者は “ 姥捨 ” される
そんな伝説が実しやかに残っていますよね
そして今の日本の現状を見てみると・・・
全く解決の糸口さえ見つからず進む少子化
医療の進歩により死亡率は下がり続けて
様々な政策が財政を圧迫する度合いは増す
何もかもが “ 負の連鎖 ”の歯車になって悪化し
続けているのが偽りのない事実
こんな先行きの見えない実情を打破する手段
誰もが解っていながら口にする事を躊躇う方法
脈々と受け継がれていた「口減し」を現代風に
大胆にアレンジし政策にまでアップグレード
したのが「PLAN75」なのでしょう
加入の条件や制約が極端に低いのは疑問ですが
“ 支度金 ” の10万円なんてなんだかリアルな
金額でゾッとしますよねぇ
良き伴侶に出逢い子供や孫に恵まれた人生を
送ってこれた人には想像も出来ない末路
日々の暮らしに追われ蓄えも無いまま
身内もおらずや親族との関係も絶った者たち
そんな境遇に立たされてたなら?
逆に誇れるような人生を歩んできたとしても
老いさらばえた我が身の後始末を子供達に
委ねるのを拒む人がいるかも知れません
もし国家として破綻する可能性が大きくなれば
「PLAN75」が現実のモノとなる日が来る
かも知れませんよね? まぁ75歳が妥当か?
は別にして、加入条件を満たしたアナタは
このプランを受け入れるでしょうか?
そんな事を真剣に考えてしまう作品です。
もし実現するとしたら…国会議員の皆さまには
強制的に加入してもらいたいものです!
Posted at 2024/02/22 09:46:07 | |
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