この記事は、
「プリウス」がハッキングされる現実について書いています。
恐らく元記事で言っているのは2013年の7月に米国のビジネス誌Forbesに掲載されたもとが元になっていると思われます。
Hackers Reveal Nasty New Car Attacks--With Me Behind The Wheel (Video) - Forbes
動画も公開されています。
使用されたのはトヨタ プリウスとフォード エスケープです。
車載制御用コンピュータをリバースエンジニアリングで解析し、その結果を用いノートパソコンと車載制御用コンピュータを繋いで実際に車両制御系に侵入し、ドライバーの意図しない急加速、ブレーキングなどの試験状況を公開しかなり話題になりました。
実験を行ったのはサイバーセキュリティの専門家、しかもDARPAから助成を受けている組織です。なんらかの形で有線接続を行えば車両制御の乗っ取りが出来てしまう、これはメーカーの技術者も認めています。
実験に使用された車種はどちらも量産市販車ということで心配になるかもしれませんが、内装を剥がし制御コンピュータに直接接続しなければいけないため、現実に所有している車が運転中にハッキングされると言うたぐいのものではありません。
最近、新しい自動車の安全技術として自動運転が注目されています。また自動車のICT化、いわゆるネットワークと車をつないで、より便利に、より安全にしようと言う試みは既に始まっています。例えばトヨタのG-BOOKなどでは、ネットワークと連携してドライバーの赤信号見落としを検知し自動でブレーキをかけるなんてものがあったりします。
もっと身近なものでは、スマホアプリと連携、エンジンのリモート始動、キーレスエントリー、盗難防止などがあります。これらは純正のものもありますが、後付のものもあり幅広く市販されています。ROMチューンやフルコン制御もハッキングです。
これらはOBDのコネクターに接続されています。OBD標準ポートはCANと繋がっています。このOBDは古くからあるもので、セキュリティ対策が甘いと言う指摘は以前からありましたが、電子制御化があまり進んでいない時代だったのと、ここまでネットワークというものが密接に関わるようになると考えられなかったこと、非常に手間がかかり現実的ではないのであまり問題にななりませんでした。
最近は電子制御化が進み、ついにステアバイワイヤも登場しました。今回の実験はそれに警鐘を鳴らす意味もあるのでしょう。
この実験では有線で接続を行っていますが、先に書いた通りネットワークと車が密接に関わってくるとネットワークからのハッキングに対してしっかりとセキュリティ対策を施すことが重要です。実際、この手の技術ではセキュリティ対策を前提として進めていかなければいけないという方向になっており、市販されている車にも何らかのセキュリティ対策が施されています。
自動運転はまだ先の技術と言えますが、衝突防止ブレーキ制御や前車追従クルーズコントロールなど駆動、制動、操舵系などに様々な介入が出来るようになっています。これらの基本制御系がネットワークを介してハッキングされることになれば、自動車を通じてサイバーテロを起こすことが可能になってしまいます。
どのようなファイアーウオールを構築しハッキング防止を図るのかを現在のメーカー単位での対策ではなく国際標準として制定すべきでしょう。
また自動車だけのセキュリティ対策では完全とは言えません。スマートフォンアプリと連携する場合はスマートフォンアプリのセキュリティ対策も重要になってきます。
現時点ではネットワークを介したハッキングしてどうこうはできませんが、これからの自動車技術、車社会の発展には外せないポイントだと言えます。
Posted at 2014/04/26 10:40:23 | |
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