僕のMINI

Miniに憧れはなかった
むしろ嫌いな車のひとつだった

ある冬の夜、当時シルビアを走らせていた私は、
除雪されたばかりの大きな通りから脇道に入るため
50cm位の雪山を勢いよく突破した
カメになって脱出不能にならないようにつけた勢いは
その先の信号で止まっている車にぶつかるまでおさまらなかった

そう、オカマをほってしまった
アーモンドグリーンの綺麗なモンテだった
シルビアは全く無傷だった
ナンバーすら曲がっていなかった
が、Miniはトランクもテールランプまわりもぐっちゃりだった
悪いことをしてしまった

それがMiniとの出会いだった
自分が100パーセント悪いとわかっていても
事故をした相手の車両にプラスのイメージを持つはずもなかった

タイヤショップの走行会がきっかけで
シルビアでサーキットを走るようになった私は
ある草レースイベントでMiniを見かけた
爆音を奏でるMini達は国産デートカーとは
全く違う雰囲気を醸しだしていた
当時はまだMiniのワンメイクが成立していた
全身で大地を駆けるその小さな姿が私の脳裏に焼き付いた

妻のディスカバリーの1年点検で訪れたディーラーで
"Mini生産中止""残り120台"の記事を目にした
新車が買えることすら知らなかった
カタワになってしまったシルビアに代わり
気軽に乗れる足車が欲しかった私は
ブルーのマニュアルが残っていたら買う、
と見積もりをとって買ってしまった
当時子供のいなかった私は
カタログの背伸びをする小さな男の子の写真に
なぜか夢を抱いていた

手元に来たMiniは想像以上にかわいく思えた
そして想像以上に遅かった
私は勝手に遅くても許されるのがMiniだと思っていた
スピードを出すのが嫌いな妻は気に入ってくれたようだった

修理で代車がないのでというシルビア乗りの友人に
遊び車として残していたカタワシルビアを貸した
電柱だかガードレールだかにぶつかって
廃車にされてしまった
Miniがメインカーになった
スピードジャンキーの私は
250ガンマがあるのでそっちで我慢しようとおもっていた

3年と少しはドノーマルでMiniを乗った
インジェクションの手間いらずと持ち前の低速トルクで乗りやすく
バッテリーあがり以外故障はなかった
シルビアを亡くした私は悪い虫が疼きだした
吸排気くらいは替えたいと思い
エアクリーナーとLCB、マフラーを交換した
5000回転も苦しそうだったMiniが7000まで回るようになった
やればできる子だと言うことを思い出してしまった

ろくに知ろうともせずにただ乗っていたのが祟った
6回目の冬を越えた頃、ボディーの錆は手をつけられないほどになっていた
身体も衰えていた
2スト250のバイクを満足に走らせることができなくなってきた
100万を超えるボディー補修の見積もりと同じような金額で
2輪車のようなキャブのパワーのありそうなミニが買えることを知った
2輪を降りる決意をした
錆に弱い最終型には可哀想なことをしてしまった

現在のMiniが来た
S.U.ツインキャブの音
あふれ出るパワー
申し分なかったが悪い虫がうずき出した
情報はいろんなところから手に入るし
全国のいろんなMiniも見ることができる
自分だけのMiniをつくっていく楽しさを知ってしまった

偶然にもサーキットを走る機会と仲間にも出会えた
ここみんカラでも沢山の友達ができた
Miniをとおして私は今人生を大いに楽しんでいます


p.s.
長文おつきあいありがとうございます
思いつくまま書いてしまいました
が、自分を振り返ることができて
なんとなくですが良かったと思っています
なんていうか、今後ともよろしくお願いします