青春の思い出話し♪ 〔よっちゃん家〕

オイラは大阪生まれ大阪育ちの 大阪大好き関西人(笑)

オイラが義務教育真っ只中の頃は まだ長屋やボロボロのプレハブ住宅や掘っ建て小屋みたいなのがそこら辺にゴロゴロあって その中でもグンを抜いてボロボロの家に済んでたのが同級生のよっちゃん♪

よっちゃんの家はトタン屋根で今にも崩れそうな平屋！ 裏側には廃材が斜めに支えてあり つっかえ棒の役目を担ってる！

そのさらに後ろはブロック塀を挟んで墓地になってた！


学校で授業中でも 台風なんぞが接近すると
『先生 台風が近づいてるのでよっちゃんちが危険です！家に帰してあげてください』
『そっか……よし、ほな帰っていいぞ！』

先生も事情は知ってるんで 理解力抜群♪




よっちゃん家は家族もいいかんじ！
建設現場で働く酒好きの親父さん 物静かで笑顔が素敵なお母さん ２歳年下の弟 耳が遠いうえに恐ろしいまでに無口で ほとんどコミュニケーションの取れない 頭がツンツンのおじいちゃん…！




ある日友人達と放課後にこんなテーマで熱く そりゃもう熱く語り合ってた♪


『よっちゃん家は押したら倒れるんやないやろか？』

２時間程に及ぶ 激しい討論の末に「倒れる派」と「倒れない派」が決裂
らちがあかんって事で 集まった２０人程で金を賭けてやってみようって事に…

みんなでよっちゃん家の前に集合して 家の中からまずはおじいちゃんを連れだし テレビや冷蔵庫…家電類を運び出し 貴重品も持ち出す！

これで準備万端
『おい、手を抜くなよ！おもいっきりいけよ…！』

そうそう なんで貴重品や家具など外に持ち出せたかと言うと
この掛け声の主がよっちゃんだからです(笑)

あろうことかよっちゃん本人は「倒れる派」の一人 当然賭けに参加してるよっちゃんは本気で倒しにかかってる♪

そうこうしてると よっちゃんの掛け声で
『おっしゃ！いくぞ。１・２・３…うぉりぃやぁぁぁ～』
掛け声と同時に皆で押すと

『ガラバキガラグガバキガシャーン…』

そんなに力も入れてないのに 簡単に倒れ崩れ落ちるよっちゃん家…
よっちゃんはガッツポーズで 歓喜を表してる！


あの恐ろしく無口でコミュニケーションの取れないおじいちゃんは 倒れる瞬間 目をひんむいて『ウガァ』って叫んでた…
始めておじいちゃんの声を聞いたのはこの時です！


裏に回ってみると屋根は見事なまでにブロック塀を撃破して 塀越しにあるお墓まで撃破！

幸い怪我人こそでなかったが しばらくして皆事の重大さに気づき 最寄りの駅まで行ってよっちゃんの親父さんが帰ってくるのをまち やっと帰ってきた親父さんは真っ赤な顔ですでに酔っていた！

ご機嫌に酔ってる親父さんによっちゃんが事情を説明すると 『家を押したら倒れたやって…そりゃええなぁガハハハハァ！愉快や』

親父さんを引き連れ家の付近まで帰ってくると現場はエライ騒ぎに！
よっちゃんのお母さんと弟は抱き合いながら泣いてた…
じいちゃんは
『そりゃもう凄かったんやから…音ももう『ガラバキガラグガバキガシャーン…』って大迫力で』なんて あれだけ無口だったおじいちゃんも頭がおかしくなったのか 野次馬相手に解説してた！

親父さんはしばらく呆然と立ちすくみ 皆をボコボコに…


大変なのはその後周りへの謝罪や お母さんが必死に貯めた貯金もブロック塀とお墓の修繕費に消えてなくなったらしい…


話しによるとその後よっちゃん一家は会合や集会 冠婚葬祭に使われる会館の２階に仮にしばらく住んでたらしく お通夜で泣いてる人達とふすま一枚隔ててよっちゃん一家が普通に生活してるなんとも奇妙な感じに…

そうそう 葬式があるたびに余った寿司を貰って食べてたみたいで 時折『誰か死なんかなぁ…アイツの婆ちゃん何歳やったっけ？』なんて不謹慎な言葉もしばしば…


半年くらいして 町内会の寄付や同級生のカンパなどでプレハブやけど風呂付き エアコン付き ベランダ付きの家が建った♪

それを見て友人はじめ君は『俺ん家も倒れへんかなぁ？』なんて事を言ってた！





自分の子供が主になって我が家を薙ぎ倒す…

この先まだまだローンが残ってるオイラ…笑える反面笑えない思い出ですね！





今日も一日ボチボチとね♪











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