
日常。
通勤電車、住家から一つ二つ離れた駅で、
彼女は乗って来る。
果てしなく長い車輛の最後尾、端から三つ目のドアだ。
派手目な服装に茶色いパーマヘア、そしてあどけなさが残る化粧気のない顔。
彼女の朝はここから始まる。
車輛に乗り込み、その華奢な体に似つかわしくなく仁王立ち。
鞄の中から、緑色の化粧ポーチを取り出すと、小脇に抱え、まず化粧水から工事が始まる。
顔面オールペン。
名探偵明智小五郎の助手である
小林少年が所持している探偵七つ道具顔負けの道具たちが、入れ替わり立ち代わり、
彼女の顔に細工を加えて行く。
その間も電車は走り続け、幾つもの駅を過ぎる。
幾つもの減速G、旋回ヨーを体で感じつつも、決してバランスを崩す事なく工程は地帯なく進む。
すばらしい。
30分もたったころだろうか、電車は都心に近付き過密な乗車率がピークを迎えようとする頃、
彼女の手は突如としてその動きを止める。
その時電車の窓に映る彼女の顔は、乗車して来た時のそれとは全く異なる物となっていた。
そう、例えるならば、
普通の魚圭号が、カウンタックになるような、
・・・・言い過ぎた。
さすがに空にむかってドアは開かない。
そこまでいったら、
道端の蛙が、お姫様・・・いわば、
はしのえみになるような事件です。
まぁ、訂正すると、
普通の魚圭号が青くなってフルエアロになるような、そんなかんじでした。
所詮その程度の出来事です。
日常ですから。
しかし、職人芸だねぇ~。
お見事。

Posted at 2007/07/06 23:10:18 | |
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