2014年06月27日
「水素社会」を展 望する~道路新産業開発機構の資料~
水素・燃料電池戦 略ロードマップ 2014/6/24
これらを投稿した際に、 有機ハイドライドの活用が、水素の輸送・貯蔵時に、
「既存のガソリンスタンドに係るローリーやタンク等の設備を活用し得る方法」 として、2020 年代頃まで、国が重点的に関与する事を紹介しました。
※今年2014年までが実験で、2015年から実用のスケジュールでした。
※石油業界の方々は、当然ご存じなハズ。
(なぜ、自分たちを省みないT社やH社に、唯々諾々と従っているのか?相当つらいハズだが)
とはいえ、有機ハイドライドとは何か?ついて、 もう少しかみ砕きます。
有機ハイドライドは、「常温常圧で液体」として扱えることが最大の特徴です。
また、取扱分類がガソリンと同等の第4類第1石油類のため、 タンクローリーやガソリンスタンドなど、既存のインフラを活用して、 水素を輸送・貯蔵することができるものです。
ベンゼンに水素を化学結合させたシクロヘキサンですが、これは、
1分子のベンゼン(C6H6)に3分子の水素を化学結合させると 1分子のシクロヘキサンになります。
また、 ナフタレンに水素を結合させたデカリンですが、これは、
1分子のナフタレンに5分子の水素を結合させると1分子のデカリンができます。
そして、化学結合した際に、体積変化がナイのです。 (水素と化合しても1つの分子のままなので)
さらに、 「水素の漏れ」の問題もあります。 液化水素タンクの場合ですが、1日あたり全体の数%から10%も漏れだしてしまっている。 研究室で使う小さなタンクですと、下手をすると1日持ちません。 ・・・液化水素ですら、自然に漏れだす。
・・・水素の分子があまりに小さく、金属結晶の隙間(結晶粒界)をすり抜けるのです。
・・・完全に漏れを止めるには、単結晶の高圧タンクが必要。
これが、有機ハイドライドは、「分子量が大きく、常温常圧で液体」でありますので、
水素ガスの様に、結晶粒界をすり抜ける事ができません。
・・・さて、70MPaの高圧タンクは、どれだけ漏れを無くしているだろうか?
・・・高圧タンクをカーボンで補強しても、閉じ込め性能は上がりません。
※FCVを取得した人に聞くしかナイかな?
ですから、 運搬や保管といった面で、高圧タンク保存や液化よりも大きなメリットがあるのです。 ・・・既存設備がそのまま使えて、安全性が担保されているのは、大きい!
そして、コスト。 ベンゼンやナフタレンは、安い!
「有機ハイドライドは石油精製所から大量に流通市販される製品です。
コスト的にも、今、有機ハイドライドは㎏100円程度でして、 普及時には石油と同程度かもっと安い値段で、流通させることも可能なのではないか思います。」
出典:第二回「有機ハイドライド」が 拓く水素社会
とはいえ、有機ハイドライトにも課題があります。
1つ目は、水素を取り出す際に、200℃~300℃の高温が必要であること。
2つ目は、水素を取り出す際に、現在は白金という触媒を必要とすること。
1つ目の高温が必要な点は、燃料電池の発熱(約400℃)を回収すれば良いのですが、
2つ目の白金を使う点は、資源の面でつらいものがありますので、
今後、白金を使わない方式が望まれます。
ただ、日本の自動車では、こうした方式は採用されないのですが、
風力発電の発電量変化を吸収するためのプラントが、既に、商業レベルとなっております。
こうした Power to Gas が、安全に活用されるのであれば、
自然エネルギーという不安定なエネルギーを安定利用できることになるので、
期待したいと思う次第。
※自然エネルギーに、ベース電源化の可能性が出てくるのです。(残るは、コスト問題のみ)
以下、参考資料
有機ハイドライド を利用する燃料電池用水素貯蔵・供給システムの試作
有機ハイドライドを用いた水素 供給および燃料電池運転特性 ※これは、市川 勝(北海道大学教授)が支援していた。
Posted at 2014/06/27 17:30:27 | |
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