フィンランド編
※フィンランドは、北海油田をもっているため有数の石油産出国であるが、
EV普及先進国、いや、EV普及ナンバーONEだったりする。
そうした理由も含めて、報告書をかみ砕いてみる。\(^_^ )
※のところが、私のコメントなので、読む時間がナイ方は、図表とココだけ読んで下さってもわかる様に書いているつもり(^^;
※根拠が「~が言っていた」みたいな程度で、世を騒がせようとする方がいらっしゃるので、原文提示(補足つき)を行っていますので、トータルな文量が多くなっています。趣旨ご理解賜れれば幸いです。m(_,_)m
※図表は、入力し直しはせず、範囲指定のイメージ複写を行っています。(改竄なんてナシ\(^_^ ))
よって、少々のボケ図は許してください。m(_,_)m
1.背景
ノルウェーは大西洋に面して北欧の西側に位置しており、面積は日本と同程度である一方、人口は少ない。
豊富な河川環境と高低差に恵まれており、95%の電気を水力でまかなっている。
従って、発電分野のCO2排出量は少なく、運輸部門におけるCO2排出削減が相対的に重要な課題となっている。
なお、京都議定書については、1990年基準比で2012年まで10%の削減が課されている。
2012年に環境省の発表したノルウェーにおける気候変動対策においては、自主的な2020年までの30%削減、2050年までにカーボンニュートラルな社会を目指すという目標が掲げられている。
運輸部門については、2020年までに新車販売のCO2排出平均を85g/km以下にすることが目標に定められている。
※具体的な期限つき目標がアルために、EVを普及したいとのこと。
大事なのです。数値目標。
・・・って、オランダもそうでした(^^;・・・なぜ、日本では、できない?
2.EV/PHEVの普及に関する現状
1)推進体制
ノルウェー政府におけるEV推進担当は交通情報省(Ministry of Transport and Communications)であり、その管轄下に設立されたTransnovaが予算執行管理を実施している、2013年の予算は87.2百万NOK(約15億円)であった。
Transnovaの予算は、
①代替燃料の技術開発と使用促進
②公共交通や海運・鉄道運送の促進
③交通量減少
に充てられており、実証実験も多く実施している。
EV/PHVのユーザ団体としては、Norwegian Electric Vehicle Associationが挙げられる。
本団体は1995年に成立し、2012年時点での会員数は法人・個人合わせて5,000程度である。
当初は法人会員が主だったが、現在は一般消費者の個人会員の方が多い。
ノルウェーにおける電力業界の組合代表組織であるEBLも一定の役割を果たしている。
EBLは、交通情報省からの委託により、2008年に運輸部門電動化アクションプラン「Action Plan for Electrification of Road Transport」を作成した。
また、オスロに拠点を持つ研究者団体(NPO)であるZEROも急速充電インフラの拡充等に関与している。
ZEROは、ノルウェー社会の CO2排出ゼロを目指す団体であり、30名以上の技術士・経済学者・政治学者・情報通信学者から構成されている。
※体系立てて実施している様に見える。(^^;・・・隣の芝生は青く見える・・・だけか?(^^;
日本は宣伝不足か?未実施なだけか?
(マスコミが政局報道ばかりで、こうした政策報道をシナイからか?(^^;)
・・・って、おいおい、オランダ編でのコメントと同じか(^^;
※でも、EV/PHVのユーザ団体が1995年に成立し、2012年時点での会員数は法人・個人合わせて5,000程度で活動している事も、他国にはナイ特徴。(日本も古くから存在しているものの、会員数がそれほどでもナイ)
ロビー活動もしっかりしているのだろうか?(^^;
また、2008年に運輸部門電動化アクションプランを作成していたことと、それを実行しているのが、
当たり前なのに、すごい。
2)車両普及状況
ノルウェーにおけるEV/PHEVの普及の現状を以下に示す。ノルウェーでは、EV中心に普及が進んでおり、2013年12月末でのストック台数は既に2万台に到達している。
販売の状況はというと、2013年後半に、EVの新車販売における市場シェアは10%に近付きつつある状況である。2013年9月のテスラの販売台数は616台であり、新車販売全体の中で最も売れた車種となった。翌10月には、日産リーフが716台で首位をとるなど、EV販売が好調な状況である。
これまでのEVの車種別販売推移を以下に示す。新車種発売開始に伴う市場構成変化の様子がうかがえる。今後、BMWのi3やVWのe-up!等新たなEVの市場投入が予想されるため、益々競争は激化するものとみられる。
3)充電インフラ動向
充電インフラの現状について、以下に示す。
現時点では、急速充電インフラは、エストニアほど整備されているわけではないが、新たな急速充電器設置計画(87基増設予定)もあり、今後整備が進む予定である(下図参照)。
急速充電器は主として南ノルウェーの海岸に沿って設置されている。
公共普通充電器については、4,317基がノルウェー中に設置されており、多くの場合駐車場に設置されている。これにより、出先充電が可能であり、日常生活におけるEVの利便性向上に貢献している。
なお、ノルウェーにおける急速充電器と普通充電器の設置と運用はTransnovaが実施している。現在、利用は無料である。無料充電は少なくとも2014年末まで続く予定である。
4)用途・ユーザ動向
ノルウェーのEV普及の特徴として、個人ユーザが多く、一般消費者に受け入れられている点が挙げられる。以下に、保有者の属性推移を示す。同図において、「menn」は男、「kvinner」は女、「virksomheter」は企業を意味する。
また、セカンドカー(世帯2台目以降の車両)への普及が進んでいる点も特徴として挙げられる。
交通情報省の作成した電動化アクションプランによると、ノルウェーにおける自動車保有・利用実態として以下が挙げられている。
・全世帯の87%が自動車を保有しており、39%は2台以上を保有(自動車保有世帯の約45%がセカンドカー保有)。
・一日の平均走行距離は43㎞であり、全トリップの80%が走行距離100㎞以下、40%が3㎞以下。
従って、航続距離の短い用途であれば、EVがセカンドカーとして十分機能できるということになる。
一方、ノルウェー電動車両協会が実施したEVユーザの自動車世帯保有状況結果を以下に示す。
これによると、EVユーザではセカンドカー保有比率が85%ということであり、一般のセカンドカー保有率45%と比較し、かなり高い水準となっており、EVがセカンドカーとして利用されていることの1つの証左となる。
EVの用途について次に示す。
EVの用途として、近距離走行の多い通勤と買い物、勤務後活動が主要な使用目的であることがわかる。
一方、休日使用は少ない。
※まさに、「EVで旅行には行かない。」というのが、ノルウェーの国民の考え方なのだろう。
むしろ、通勤や買い物などの日常行動範囲をEVで、環境に配慮する運用が根ざしているのだろうか?
合理的である。(PHEVの認知はどの程度進んでいるのか?興味がある。(^^;)
3.EV/PHEVの普及に関する取り組み
1)経済的インセンティブ
EVのイニシャルコストを下げるべく、ノルウェー政府はEV購入促進のための優遇措置を取っている。
取得税制関連措置としては、以下が挙げられる。
・VAT免除。
ノルウェーにおいて、VATは25%と高い。EVはVATから免除され、購入価格が20%下がる。
・自動車登録税免除。
自動車が初めて登録される際に課される税である。
車体重量、CO2とNOx排出、エンジン出力によって決まる。
ノルウェーに最も多い車種であるVWゴルフの自動車登録税は1台当り通常45.000-75,000 NOKである。
ランニングコストに対する金銭的なインセンティブもある。
・有料道路通行料金免除。
2000年代に入って、ノルウェーで有料道路の数が増えた。
EVは通行料金が免除されている。
オスロの場合、片道の料金は20-150NOKであり、有料道路を通勤で使用すれば、
年間30,000NOKを超えることもある。
・無料駐車。
駐車が有料になっている都市で、EV は無料駐車することができる。
・自動車税減税。
ノルウェーで自動車を保有すれば年度ごとに自動車税を納税しなければならない。エンジン車の年間2,885-3,360 NOKに対して、EVは420NOKとなる。
・フェリー料金割引。フィヨルドの多いノルウェーではフェリーが多く使用されているが、EVは減額で利用できる。
これら、政府のインセンティブは、
1)いずれも普及台数が5万台に至るか、
2)2018年かいずれかまで継続予定である。
ノルウェー全体の保有台数は250万台程度なので、政府は、EVが全体の保有台数の2%に達するまで優遇措置を継続することになる。また、現時点では、PHVは上記の補助金やインセンティブの対象外になっている。
これら経済的インセンティブによるEVとエンジン車の5年間の費用負担比較結果を以下に示す。
EVに関する統計や情報発信を行っているTransnova内の組織Gronn Bilがホームページで発表しているもので、年間15,000㎞を5年間走った場合の日産リーフとVWゴルフの維持費を示している。
リーフとゴルフを比較した場合、5年間で計算した場合Leafが98,391NOKと安く、コスト意識の高い消費者にとっても購入しやすくなっていることがうかがえる。
2)その他のインセンティブ
ノルウェーの主要都市では、ラッシュ時間帯の渋滞が問題となっており、郊外から都心までバスの専用レーンがある。EVはバス専用レーンの使用が許可されており、毎日郊外から通勤しているユーザにとっては大きなメリットである 。EV識別のため、 ナンバープレートに「EV」の二文字が追記される。しかしバスレーンの優遇により渋滞も起きており、道路管理当局ではEV台数とバスレーン通行実態の把握を注視していくとの見解を示している。 都市部にEV 専用の駐車場がある。それらには普通充電器が付いている場合が多い。
3)過去の取り組みの経緯
ノルウェーにおける過去のEV普及促進の経緯を以下に整理する。
1970-1980年代:BakelittfabrikenやStrommens Verkstad、ABBによって電気自動車の原型が開発された。Pollution Control Act が1981年に制定され、環境保護への意識が高まる。
1990年代:政府による実証実験で EVが町を走行するようになった。
フィンランドのThink社がEVの商品化をした。
当時からEVは、
①産業振興、
②大気環境改善、
③電力効率化、
④国内産電力利用 という観点から、使用が推進された。
同時期に、EVのユーザ団体が誕生し、ノルウェーのEV産業が本格化、現在の普及の礎を作った。
2000年代:EV優遇施策が相次いで導入されるようになった。EV生産は2000年代前半を通して低迷したが、後半になると生産も販売も加速し始めた。
ノルウェーにおけるEVの歴史と促進施策導入の時系列について以下に示す。
青線は、EVの販売フローを示している。
この図から、2010年代に車種が相次いで発売される前から、インセンティブが導入されていることがわかる。
※ノルウェー政府のEV購入促進のための優遇措置は、オランダ同様に幅広い。
また、古くからEV普及への活動が始まっていて、今に至る。・・・時間もかかる。
(でも、必要な時間だと思う)
4.EV/PHEV普及施策の評価
ノルウェーのEV関連団体の実施している調査から、EVユーザの評価がうかがえる。
下図にEVユーザの購入要因の内訳を示す。選択肢としては3つまで複数回答可である。
有料道路の通行料の免除とVAT免税と燃料費が安いという三つの要因が最も効果があるとユーザは評価している。
※日本では、これほどの普及措置は行われていない。と、思う。
(知らされないだけじゃナイよネ?(^^;)
※また、時限的な普及施策であるので、免税などの施行期限以降に、EVの販売がどの程度落ち込むか?
・・・って、また同じコメントか(^^;
・・・日本のEV普及施策が乏しすぎるのだ。(; ;)
とはいえ、古くからEV普及への活動が始まり、国民への理解が進んでいることは、頼もしい。
海外のこうした活動は、学ぶところが大きいと思うのですが、どうでしょうネ?=>経済産業省の役人の方々?それとも、環境省?
※この資料では取り上げられなかったが、フィンランドには
ノルウェーに本居を置く電気自動車メーカーThink社が2011年に破産していた。
Think社といえばコミューターサイズの、その名も”City”という量産型コンパクトEVの設計をおこなっていた。
「伊藤忠商事」が資本・業務提携し、日本を含むアジア市場における販売権を獲得していた。
また、電気自動車(ベース車両:マツダ・デミオ)にTHINK社製ドライブシステムとEnerDel社製リチウムイオン電池を搭載していたという。
※破産した理由については、情報を得ることができなかったが、
少なくとも、「フィンランドにはコミューターサイズのコンパクトEVは浸透できなかった。」と言えよう。
いくら国民のEV認知度が高いといえども。だ。
※以前、トヨタがEVを大々的に作らない理由として、
「電気自動車(EV)が普及すると、コモディティー化が一気に進む恐れがある。
動力源が電池とモーターを中心とするシンプルな構造で、部品点数が従来車に比べて大幅に減る。日産自動車や三菱自動車などが積極的にEVの販売と普及に力を入れているのに対し、トヨタは距離を置いている。」
と言っていた。
だが、Think社が2011年に破産していたことから、
「コモディティー化した様なクルマは生き残れない。」
また、他のEVが生き残っている。いや、成長しているのは、
それでも「コモディティー化していない」ということではなかろうか?
※専門用語とおぼしき単語には、説明を加えました。
でも、難しいことは、カキコミを願います。\(^_^ )
ご意見も、お気兼ねなく。\(^_^ )
次回は、エストニア編です。
人口がおよそ百万人で、GDPも102位(188ヶ国中)の国だが・・・
Posted at 2014/11/07 13:26:20 | |
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