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2014年11月07日 イイね!

三菱商事がEV拡販の調査報告書を経産省に提出していた。#4エストニア編

エストニア編

※のところが、私のコメントなので、読む時間がナイ方は、図表とココだけ読んで下さってもわかる様に書いているつもり(^^;
※根拠が「~が言っていた」みたいな程度で、世を騒がせようとする方がいらっしゃるので、原文提示(補足つき)を行っていますので、トータルな文量が多くなっています。
趣旨ご理解賜れれば幸いです。m(_,_)m
※図表は、入力し直しはせず、範囲指定のイメージ複写を行っています。(改竄なんてナシ\(^_^ ))
よって、少々のボケ図は許してください。m(_,_)m

さて、 本調査報告書にある様に、三菱商事はエストニアでの次世代自動車普及政策に関わり、 実証したことの報告書なのだが、 そもそも、なぜエストニアなのか?(^^;

これは、三菱商事のサイトに記載があった。
エストニアから温暖化ガスの排出枠1000万トン分を購入した際に、その支払いの一部をなんと三菱自動車の電気自動車=EV『i-MiEV(アイミーブ)』507台の提供で賄おうというのである。
さらに、EVの普及に不可欠な急速充電器を165台同国内に設置、一般 消費者の購入補助制度も導入することで、エストニアにおけるEV普及に寄与しようというのだ。


※なぜ、三菱商事はエストニアと組んだのか?

エストニアもかつては、ほかの旧ソ連の国と同様、効率の悪い火力発電所がたくさんあった。
けれども、1991年に独立すると、北海道の約半分、人口130万人の小国であるエストニア単体にとって、大半の発電所が無用の長物となった。
こうした発電所を廃棄した結果、CO2の排出量が激減したのである。

2005年に発効した京都議定書で、エストニアは2012年までにCO2の排出量を1990年比で8%減らすように義務づけられているが、 そのための努力もほとんど必要ない。

一方、日本は環境先進国だったことが、こと排出権取引に関しては仇(あだ)となっている。
2008年から2012年の間で、CO2の排出量を1990年比で6%減らすことを義務づけられているのだ。
この削減は、自国で努力するのが原則だが、もともと日本は国際的な ルールができる前から、省エネルギーに取り組んできていたため、既に削減の余地がほとんどない。

他国からの排出権の購入が必須の日本と、文字通り売るほど持っているエストニア。

両国のニーズをつないだのが三菱商事だった。

エストニアと三菱商事が取ったのは、テクノロジースワップという仕組みである。
テクノロジースワップとは、CO2の排出権取引の方法の1つだ。
ひとことで言えば、CO2の排出権と、環境技術が盛り込まれた製品とを「物々交換」できるという仕組みである。

※まさにEV「i-MiEV」とエストニアの排出権枠とを交換したわけだ。
 だが、実効的なCO2削減策が限られる日本でも、経済力だけでなく、技術や製品を活用した手法が生かせることを、実証してくれたと思う。

1. エストニア国における電気自動車普及プログラムの成果の体系化

エストニア政府では、三菱商事株式会社と締結したグリーン投資スキーム(GIS)に基づく排出権取引契約で得た代金を原資として、 同国における電気自動車普及促進プログラムである「ELMO」(Electromobility in Estonia)プロジェクトを実施している。
同プロジェクトにおいては、以下に示す大きく3つの活動を実施しており、本章ではこれら主要活動の状況について、エストニア政 府・関係機関(エストニア経済通信省の外郭団体であるKredex等)からの情報・データ等を整理の上、取りまとめる。
・公的機関でのi-MiEV(507台)利用
・CHAdeMO仕様の急速充電器インフラ整備
・一般消費者向け補助金支給



2.EV/PHEVの普及に関する現状
補助金応募状況の分析 EV普及のための施策の一つとして、エストニア政府はEV/PHV購入補助金を支給している。

補助金の主要目的は
①交通による汚染を減らす
②運輸部門における再生可能エネルギー割合を増やす

補助金対象としては、以下が挙げられている。
・EV/PHVの購入またはリース ・1台当り 1基の普通充電器

補助金申請条件、並びに補助金支給額について以下に示す。






現在エストニアで発売されている車種について価格と補助金額を以下に整理した。
PHVについては、補助金支給条件が電池容量ベース になっていることからPriusは金額が少ないことに注目すべきである。




2014年1月6日時点での補助金利用状況並びにEVの市場シェアについて以下に示す。
これまでに、296件の申請が行われ、259件の申請が認可されている。
よって、補助金を通じて259台のEVが購入されている。
申請数が2013年に入ってから倍増しており、ともに新車販売シェアが上昇している。
2013年Q4に入ってから、EVの市場シェアは1%を超えた。




※補助金ありきでのEV普及ではアルが、この短期間でのEVシェア1%超えは、立派ではなかろうか?
 もちろん、今後の継続性が問われる。

レンタルの利用状況分析

2013年7月にELMOレンタルというカーシェアリングサービスが開始された。
本サービスでは日産Leaf 16台、三菱i-MiEV 8台利用可能となっている。
現在、レンタル場所はTallinnに4か所、Tartuに1か所ある。
レンタル料金プランを以下に示すが、この金額には車両レンタル費に加え充電電力費も含まれており、利用者は燃料費込のレンタル サービスとして利用することができる。




ELMOレンタルを利用するには、インターネット上の利用登録が必要である。
登録後、スマートフォンでレンタカーを予約し、ウェブ アプリケーションで車両の利用開始操作を行う。
レンタルセッション終了後、同じくウェブアプリケーションでレンタカーのドアをロックする。
ELMOレンタルの登録者の推移を以下に示す。
レンタルサービス開始直後は利用登録者が多く、7月には494件の登録があった。その後登録者は減っているが、11月でも200人はいる。
性別でみると、女性より男性の登録者が多い。




省エネルギー効果の分析 本節では、2012年9月2013年10月の13か月間のEV走行による省エネルギー効果について整理する。
当該期間におけるEV総走行距離は下表①に示すように、3,626,236㎞であった。

これをガソリン車で走行したとすると、 下表①×③の613.20tのCO2が排出されることとなるが、EVをグリーン電力で充電しEVのCO2排出原単位を0g/㎞と仮定(※)すると、その差分である613.20tがEV導入によるCO2排出削減効果として評価できる。

同様に、省エネルギー効果についても、EVとガソリン車のエネルギー消費量差分でもって評価することができ、625GJの省エネルギー効果が得られる。

(※)エストニアにおいては、ELMOプログラムで導入されたEVの消費電力については、政府使用のiーMiEV507台、補助金交付した EV/PHVのいずれにおいても、グリーン電力での利用が義務付けられている。
具体的には、政府使用のiーMiEVについては、社会福祉省が走行距離等をモニターしており、消費電力見合いのGreen Certificate を社会福祉省が毎年購入している。
補助金交付先のEV/PHVについては補助金交付の条件として消費電力見合いのGreen CertificateをEV/PHVオーナーの義務としている。




※走行距離のモニターが面倒かもしれないが、実効性の評価には極めて有効な手法と考えられる。
 グリーン電力の普及ともセットになっているユニークな手法ではなかろうか?

2. エストニア国へのEV/PHV導入戦略案

本章では、エストニア国の実施しているEV/PHV導入施策の効果を検証したうえで、EV/PHVのさらなる普及に向けた政策の改善案を策定する。
現在実施中の施策の効果はエストニア側より受領したデータ、具体的にはカーロガ・急速充電器・補助金のデータ並びに整理した一般アンケート調査のデータをもって検証を行った。
さらなる普及施策の改善案は、効果検証で使用したデータの他、第4章にて整理する優良事例やエストニア政府とのディスカッション 等で得た情報をもとに策定した。

2.1 各施策の効果検証 個別の施策効果を検証する前に、エストニアの一般消費者が望ましいと考える施策と実施されている施策が一致しているかどうかを確認する。
整理した一般アンケート調査において、EV普及に当っての有効な施策に対する国民の評価が示されている。
最も多い75.9%の支持を受けた施策は購入補助金であり、続いて、税制優遇、安価な電気料金、路上駐車の規制緩和、充電器の補助金が有効施策とみられている。
このうち、現在実施されている施策は購入補助金、安価な電気料金、充電器の補助金である。
なお、エストニアの場合、法人税は既に優遇されているため、EV普及のための税制優遇措置検討は劣後するとの政府見解であった。 従って、税制優遇を除いた主たる施策は既に実施されているのが現状であるといえる。




※エストニア国民から支持を受けたEV普及施策には、購入補助金、税制優遇、安価な電気料金、路上駐車の規制緩和、充電器の補助金が有効施策ということだった。
 現在実施されている施策は購入補助金、安価な電気料金、充電器の補助金ということだが、きちんと実施している。

2.1.1 急速充電インフラ構築

エストニアは2012年に全国を覆う急速充電インフラ網を構築した。
これは、電欠や航続距離に対する不安を和らげ、EV普及促進のために行われたものである。
急速充電インフラは政府(KredEx)によって運用されているが、現状の稼働状況では事業として成立しづらい状況である。
エストニアにて急速充電網の運営・管理の委託を請けているABBによると、充電インフラの事業化が実現するには1 日6回以上の利用がないと厳しいということであった。
現状、そのような稼働が実現できているのはタルトゥの一部の急速充電器のみであるが、急速充電器の利用自体は堅調に推移しており、今後EVユーザが増加してくれば、事業化に向けた展望も描けてくる可能性がある。
また、現在の急速充電インフラ設置状況については、ユーザは評価していることを考慮すると、課題は急速充電器の配置というよりは、EVユーザ(かつ急速充電利用者)が少なすぎることにあると考える。
次の課題として、EVユーザ、特に急速充電利用可能性の高い長距離ドライブを実施する個人ユーザの増加が挙げられる。


※充電インフラの事業化が実現するには1 日6回以上の利用がないと厳しとされるなかで、EVユーザー増加とのニワトリと玉子的な問題に対して、インフラ整備を精力的に進めている。


2.1.2 購入補助金
エストニア国で提供されている補助金は車体価格の最大半額補助であり、相当大きな支援措置となっている。
認可される補助金申請件数も確実に増えており、2013年4四半期目には61件の認可がおりた。
これは、同期間中に販売された新車の1.4%に相当する数値である。
シェアの観点ではエストニア国がカリフォルニア(1.8%: 2013年1~6月)にさほど劣らず、日本(0.9%:2013年度)より普及が進んでいることを意味する。




補助金の支給により、EV販売価格は相当程度引き下げられており、例えば、日産Leafの価格は:17,450に、三菱i-MiEVの価格は:14,450となっている。
エストニアの一般消費者のEVに対する価格感応度に対する回答結果では、価格が?15,000程度 であれば、半分以上の人はEVを購入してもよいとなっており、補助金支給でi-MiEVはその価格帯に入ってくる。




※ 一般消費者のEVに対する価格感応度が、エストニアでは調べられているが、日本ではどうだろうか?

2.2 エネルギー・環境政策、交通政策との親和性を考慮した各施策の重要度の決定

エストニアにおけるエネルギー・環境政策及び交通政策を俯瞰し、現地の状況とマッチしたEV/PHV普及施策を検討する必要がある。
ここでは、エストニアにおけるEV/PHV普及施策検討に必要な論点を抽出したうえで、現状の評価を行う。
まず、エストニアの基本情報並びに電源構成を以下に示す。






エストニア政府では、2009年に「National Development Plan of the Energy Sector until 2020」を発表しており、 2025年までに最終エネルギー利用における再生可能エネルギー比率を25%まで引き上げる(2005年時点では18%)としている。これは、欧州連合全体の2020年における再生可能エネルギー比率20%を上回っている。

今後、エストニアは、エネルギー安全保障とCO2排出削減のため、電源多様化と再生可能エネルギーのさらなる導入に向かって努力をするとしている。
また、2013年に電力小売市場の完全自由化も達成された。


※石炭火力発電が多いとは言え、再生可能エネルギー比率の向上目標は、極めて意欲的だと言える。

※日本での電力小売市場の自由化は、2016年に予定されているが、2016年。(^^;)
 しかも日本は、エネルギー安全保障施策やCO2排出削減策も策定されていない。
 何しろ、天然ガスやLPガスで作る超高圧水素を使うFCVで、化石燃料依存の解消とCO2排出削減を唱える始末だ。(T_T)
 経済大国の日本が、小国エストニアに及んでいない。・・・情けない。(T_T)

2.3 EV/PHVのさらなる普及に向けた政策改善案の策定
2.2で整理した論点を踏まえ、第4章で整理する先進地域優良事例を参考にしながら、エストニアにおけるEV/PHVのさらなる普及に向けた政策改善案を検討した。検討した施策一覧を以下に示す。




なお、政策改善案検討にあたっては、
・EV/PHVのエンジン車に対する経済性を向上させるための施策
・EV/PHVユーザに対する追加的インセンティブとなりうる施策
・EV/PHV導入に対する規制的施策
・EV/PHVの普及環境整備に資する施策
・エストニア独自の事情に対応した施策 といった観点で、考えられる施策をリストアップした。 これらの観点は、欧州EV導入先進国等の優良政策事例調査から導出した政策パッケージ を踏まえ抽出したものである。


※こうした報告書が、経済産業省に提出されたのが今年(2014年)2月だったが、半年以上経過した現在も、EV普及施策は大して増えていない。(T_T)
Posted at 2014/11/09 08:32:51 | コメント(0) | トラックバック(0) | 次世代自動車 | 日記
2014年11月07日 イイね!

三菱商事がEV拡販の調査報告書を経産省に提出していた。#3フィンランド編

フィンランド編

※フィンランドは、北海油田をもっているため有数の石油産出国であるが、
 EV普及先進国、いや、EV普及ナンバーONEだったりする。
 そうした理由も含めて、報告書をかみ砕いてみる。\(^_^ )

※のところが、私のコメントなので、読む時間がナイ方は、図表とココだけ読んで下さってもわかる様に書いているつもり(^^;
※根拠が「~が言っていた」みたいな程度で、世を騒がせようとする方がいらっしゃるので、原文提示(補足つき)を行っていますので、トータルな文量が多くなっています。趣旨ご理解賜れれば幸いです。m(_,_)m
※図表は、入力し直しはせず、範囲指定のイメージ複写を行っています。(改竄なんてナシ\(^_^ ))
 よって、少々のボケ図は許してください。m(_,_)m

1.背景

ノルウェーは大西洋に面して北欧の西側に位置しており、面積は日本と同程度である一方、人口は少ない。
豊富な河川環境と高低差に恵まれており、95%の電気を水力でまかなっている。
従って、発電分野のCO2排出量は少なく、運輸部門におけるCO2排出削減が相対的に重要な課題となっている。




なお、京都議定書については、1990年基準比で2012年まで10%の削減が課されている。
2012年に環境省の発表したノルウェーにおける気候変動対策においては、自主的な2020年までの30%削減、2050年までにカーボンニュートラルな社会を目指すという目標が掲げられている。
運輸部門については、2020年までに新車販売のCO2排出平均を85g/km以下にすることが目標に定められている。


※具体的な期限つき目標がアルために、EVを普及したいとのこと。
 大事なのです。数値目標。
 ・・・って、オランダもそうでした(^^;・・・なぜ、日本では、できない?

2.EV/PHEVの普及に関する現状

1)推進体制

ノルウェー政府におけるEV推進担当は交通情報省(Ministry of Transport and Communications)であり、その管轄下に設立されたTransnovaが予算執行管理を実施している、2013年の予算は87.2百万NOK(約15億円)であった。

Transnovaの予算は、
①代替燃料の技術開発と使用促進
②公共交通や海運・鉄道運送の促進
③交通量減少
に充てられており、実証実験も多く実施している。

EV/PHVのユーザ団体としては、Norwegian Electric Vehicle Associationが挙げられる。
本団体は1995年に成立し、2012年時点での会員数は法人・個人合わせて5,000程度である。

当初は法人会員が主だったが、現在は一般消費者の個人会員の方が多い。
ノルウェーにおける電力業界の組合代表組織であるEBLも一定の役割を果たしている。
EBLは、交通情報省からの委託により、2008年に運輸部門電動化アクションプラン「Action Plan for Electrification of Road Transport」を作成した。

また、オスロに拠点を持つ研究者団体(NPO)であるZEROも急速充電インフラの拡充等に関与している。
ZEROは、ノルウェー社会の CO2排出ゼロを目指す団体であり、30名以上の技術士・経済学者・政治学者・情報通信学者から構成されている。


※体系立てて実施している様に見える。(^^;・・・隣の芝生は青く見える・・・だけか?(^^;
 日本は宣伝不足か?未実施なだけか?
 (マスコミが政局報道ばかりで、こうした政策報道をシナイからか?(^^;)
 ・・・って、おいおい、オランダ編でのコメントと同じか(^^;

※でも、EV/PHVのユーザ団体が1995年に成立し、2012年時点での会員数は法人・個人合わせて5,000程度で活動している事も、他国にはナイ特徴。(日本も古くから存在しているものの、会員数がそれほどでもナイ)
ロビー活動もしっかりしているのだろうか?(^^;
また、2008年に運輸部門電動化アクションプランを作成していたことと、それを実行しているのが、
 当たり前なのに、すごい。

2)車両普及状況

ノルウェーにおけるEV/PHEVの普及の現状を以下に示す。ノルウェーでは、EV中心に普及が進んでおり、2013年12月末でのストック台数は既に2万台に到達している。




販売の状況はというと、2013年後半に、EVの新車販売における市場シェアは10%に近付きつつある状況である。2013年9月のテスラの販売台数は616台であり、新車販売全体の中で最も売れた車種となった。翌10月には、日産リーフが716台で首位をとるなど、EV販売が好調な状況である。
これまでのEVの車種別販売推移を以下に示す。新車種発売開始に伴う市場構成変化の様子がうかがえる。今後、BMWのi3やVWのe-up!等新たなEVの市場投入が予想されるため、益々競争は激化するものとみられる。


3)充電インフラ動向

充電インフラの現状について、以下に示す。
現時点では、急速充電インフラは、エストニアほど整備されているわけではないが、新たな急速充電器設置計画(87基増設予定)もあり、今後整備が進む予定である(下図参照)。
急速充電器は主として南ノルウェーの海岸に沿って設置されている。




公共普通充電器については、4,317基がノルウェー中に設置されており、多くの場合駐車場に設置されている。これにより、出先充電が可能であり、日常生活におけるEVの利便性向上に貢献している。
なお、ノルウェーにおける急速充電器と普通充電器の設置と運用はTransnovaが実施している。現在、利用は無料である。無料充電は少なくとも2014年末まで続く予定である。




4)用途・ユーザ動向
ノルウェーのEV普及の特徴として、個人ユーザが多く、一般消費者に受け入れられている点が挙げられる。以下に、保有者の属性推移を示す。同図において、「menn」は男、「kvinner」は女、「virksomheter」は企業を意味する。



また、セカンドカー(世帯2台目以降の車両)への普及が進んでいる点も特徴として挙げられる。
交通情報省の作成した電動化アクションプランによると、ノルウェーにおける自動車保有・利用実態として以下が挙げられている。
・全世帯の87%が自動車を保有しており、39%は2台以上を保有(自動車保有世帯の約45%がセカンドカー保有)。
・一日の平均走行距離は43㎞であり、全トリップの80%が走行距離100㎞以下、40%が3㎞以下。
従って、航続距離の短い用途であれば、EVがセカンドカーとして十分機能できるということになる。

一方、ノルウェー電動車両協会が実施したEVユーザの自動車世帯保有状況結果を以下に示す。
これによると、EVユーザではセカンドカー保有比率が85%ということであり、一般のセカンドカー保有率45%と比較し、かなり高い水準となっており、EVがセカンドカーとして利用されていることの1つの証左となる。




EVの用途について次に示す。
EVの用途として、近距離走行の多い通勤と買い物、勤務後活動が主要な使用目的であることがわかる。
一方、休日使用は少ない。




※まさに、「EVで旅行には行かない。」というのが、ノルウェーの国民の考え方なのだろう。
 むしろ、通勤や買い物などの日常行動範囲をEVで、環境に配慮する運用が根ざしているのだろうか?
 合理的である。(PHEVの認知はどの程度進んでいるのか?興味がある。(^^;)


3.EV/PHEVの普及に関する取り組み

1)経済的インセンティブ

EVのイニシャルコストを下げるべく、ノルウェー政府はEV購入促進のための優遇措置を取っている。

取得税制関連措置としては、以下が挙げられる。
・VAT免除。
  ノルウェーにおいて、VATは25%と高い。EVはVATから免除され、購入価格が20%下がる。
・自動車登録税免除。
  自動車が初めて登録される際に課される税である。
  車体重量、CO2とNOx排出、エンジン出力によって決まる。
  ノルウェーに最も多い車種であるVWゴルフの自動車登録税は1台当り通常45.000-75,000 NOKである。

ランニングコストに対する金銭的なインセンティブもある。
・有料道路通行料金免除。
  2000年代に入って、ノルウェーで有料道路の数が増えた。
  EVは通行料金が免除されている。
  オスロの場合、片道の料金は20-150NOKであり、有料道路を通勤で使用すれば、
  年間30,000NOKを超えることもある。
・無料駐車。
  駐車が有料になっている都市で、EV は無料駐車することができる。
・自動車税減税。
 ノルウェーで自動車を保有すれば年度ごとに自動車税を納税しなければならない。エンジン車の年間2,885-3,360 NOKに対して、EVは420NOKとなる。
・フェリー料金割引。フィヨルドの多いノルウェーではフェリーが多く使用されているが、EVは減額で利用できる。

これら、政府のインセンティブは、
1)いずれも普及台数が5万台に至るか、
2)2018年かいずれかまで継続予定である。

ノルウェー全体の保有台数は250万台程度なので、政府は、EVが全体の保有台数の2%に達するまで優遇措置を継続することになる。また、現時点では、PHVは上記の補助金やインセンティブの対象外になっている。

これら経済的インセンティブによるEVとエンジン車の5年間の費用負担比較結果を以下に示す。
EVに関する統計や情報発信を行っているTransnova内の組織Gronn Bilがホームページで発表しているもので、年間15,000㎞を5年間走った場合の日産リーフとVWゴルフの維持費を示している。
リーフとゴルフを比較した場合、5年間で計算した場合Leafが98,391NOKと安く、コスト意識の高い消費者にとっても購入しやすくなっていることがうかがえる。




2)その他のインセンティブ
ノルウェーの主要都市では、ラッシュ時間帯の渋滞が問題となっており、郊外から都心までバスの専用レーンがある。EVはバス専用レーンの使用が許可されており、毎日郊外から通勤しているユーザにとっては大きなメリットである 。EV識別のため、 ナンバープレートに「EV」の二文字が追記される。しかしバスレーンの優遇により渋滞も起きており、道路管理当局ではEV台数とバスレーン通行実態の把握を注視していくとの見解を示している。 都市部にEV 専用の駐車場がある。それらには普通充電器が付いている場合が多い。

3)過去の取り組みの経緯
ノルウェーにおける過去のEV普及促進の経緯を以下に整理する。
1970-1980年代:BakelittfabrikenやStrommens Verkstad、ABBによって電気自動車の原型が開発された。Pollution Control Act が1981年に制定され、環境保護への意識が高まる。
1990年代:政府による実証実験で EVが町を走行するようになった。

フィンランドのThink社がEVの商品化をした。
当時からEVは、
①産業振興、
②大気環境改善、
③電力効率化、
④国内産電力利用 という観点から、使用が推進された。
同時期に、EVのユーザ団体が誕生し、ノルウェーのEV産業が本格化、現在の普及の礎を作った。

2000年代:EV優遇施策が相次いで導入されるようになった。EV生産は2000年代前半を通して低迷したが、後半になると生産も販売も加速し始めた。

ノルウェーにおけるEVの歴史と促進施策導入の時系列について以下に示す。
青線は、EVの販売フローを示している。
この図から、2010年代に車種が相次いで発売される前から、インセンティブが導入されていることがわかる。




※ノルウェー政府のEV購入促進のための優遇措置は、オランダ同様に幅広い。
 また、古くからEV普及への活動が始まっていて、今に至る。・・・時間もかかる。
 (でも、必要な時間だと思う)


4.EV/PHEV普及施策の評価

ノルウェーのEV関連団体の実施している調査から、EVユーザの評価がうかがえる。
下図にEVユーザの購入要因の内訳を示す。選択肢としては3つまで複数回答可である。
有料道路の通行料の免除とVAT免税と燃料費が安いという三つの要因が最も効果があるとユーザは評価している。



※日本では、これほどの普及措置は行われていない。と、思う。
 (知らされないだけじゃナイよネ?(^^;)
※また、時限的な普及施策であるので、免税などの施行期限以降に、EVの販売がどの程度落ち込むか?
・・・って、また同じコメントか(^^;
・・・日本のEV普及施策が乏しすぎるのだ。(; ;)

 とはいえ、古くからEV普及への活動が始まり、国民への理解が進んでいることは、頼もしい。
 海外のこうした活動は、学ぶところが大きいと思うのですが、どうでしょうネ?=>経済産業省の役人の方々?それとも、環境省?

※この資料では取り上げられなかったが、フィンランドには

ノルウェーに本居を置く電気自動車メーカーThink社が2011年に破産していた。
Think社といえばコミューターサイズの、その名も”City”という量産型コンパクトEVの設計をおこなっていた。
「伊藤忠商事」が資本・業務提携し、日本を含むアジア市場における販売権を獲得していた。
また、電気自動車(ベース車両:マツダ・デミオ)にTHINK社製ドライブシステムとEnerDel社製リチウムイオン電池を搭載していたという。


※破産した理由については、情報を得ることができなかったが、
少なくとも、「フィンランドにはコミューターサイズのコンパクトEVは浸透できなかった。」と言えよう。
いくら国民のEV認知度が高いといえども。だ。

※以前、トヨタがEVを大々的に作らない理由として、
「電気自動車(EV)が普及すると、コモディティー化が一気に進む恐れがある。
 動力源が電池とモーターを中心とするシンプルな構造で、部品点数が従来車に比べて大幅に減る。日産自動車や三菱自動車などが積極的にEVの販売と普及に力を入れているのに対し、トヨタは距離を置いている。」


と言っていた。

だが、Think社が2011年に破産していたことから、
「コモディティー化した様なクルマは生き残れない。」
また、他のEVが生き残っている。いや、成長しているのは、
それでも「コモディティー化していない」ということではなかろうか?

※専門用語とおぼしき単語には、説明を加えました。
 でも、難しいことは、カキコミを願います。\(^_^ )
 ご意見も、お気兼ねなく。\(^_^ )

次回は、エストニア編です。
人口がおよそ百万人で、GDPも102位(188ヶ国中)の国だが・・・
Posted at 2014/11/07 13:26:20 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日記

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